すごいぞ!高松④ がんばれ近代建築 | tokyoarukiのブログ

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東京町歩きと読書の備忘録です。
東京の城東を中心に、歴史を学びながら歩いて・・・・・のはずが、香川県にお引越し。

突拍子もない海外ネタなど織り込みながら、高松を散策してまいります。

気まぐれかつ浅学ではありますが、
よろしくお付き合いください。

実は、働き始めた。まさかこの年齢で、再就職することになるとは思いもしなかったのだけど。

地方の利だろうか??夫の伝手で話が来て、後先考えず見切り発車で働き始めた。

 

けれど、久しぶりの社会復帰はなかなか厳しく、時間は削られ、休日は家事に明け暮れ(嘘ですね、体力温存でダラダラする時間に当てられ)、ブログからすっかり遠のいてしまった。

 

まあ・・・ブログの当初の目的である「ボケ防止」就労によってある程度カバーされるだろうから・・・

(「ある程度カバーされる」とあえて書いておこう。働いているとなかなかのポンコツぶりが自覚できる。少なくとも自覚は出来る。)

 

 

だけど、撮り貯めた写真の整理も必要だし、勤労を含めた目の前の現実から離れるためにも、たまにはブログを更新しなくちゃ。

 

 

 

 

さて、本題。

ここに一冊の本がある。「日本の近代建築ベスト50」

 

 

 

 

近代建築の中でも、1920年頃から始まった鉄・コンクリート・ガラスを主材料とした日本の「モダニズム建築」を解説している。

 

今春にリニューアルオープンした東京上野の国立西洋美術館(行きたかったなあ・・・)は、近代建築の巨匠ル・コルビュジエの作品だ。

彼の作風(ピロティ、自由な平面、自由な立面、水平連続窓、屋上庭園)は、その後の日本の近代建築に大きな影響を与え続けた。

 

 

そして、高松市には、本書で紹介されたベスト50のうち、2つの建築物がある。

 

 

門外漢の私でもその名前を知っている丹下健三の設計による「香川県庁舎」(1958年)と、その庁舎の斜め向かいに位置する「香川県文化会館」大江宏設計、1965年)だ。

 

 

竣工当時の香川県知事・金子正則が、丸亀出身の画家・猪熊弦一郎(白地に赤で有名な三越の包装紙のデザインをした人!)を介して丹下健三、大江宏らを招いて、優れた建築を次々と実現させたのだ。

 

 

香川県庁舎は戦後に建てられた庁舎建築としては全国初、国の重要文化財に指定されることが昨年決まった。

 

 

一時期「箱物行政」などと言って揶揄された地方行政による建築には違いないが、「箱物」と言っても、それが住民に歓迎され利用され、経済効果に繋がれば問題はなく、加えて、こうして建築物そのものに歴史的、文化的な価値が加われば猶よろしい

 

 

ヨーロッパの美術館に納められた絵画にしても、描かれた当初は、王族や貴族の道楽や自己顕示の為に制作されたものが多く、それに目くじらを立てたところで、その芸術的価値の前にはぐうの音も出ない。庶民の我々は、王族貴族に依頼され、芸術家によって魂を吹き込まれた芸術作品群をありがたく拝ませていただくだけだ。

 

だから、日本近代建築における代表作が簡単に拝める環境の高松に、私はすごく感謝している。

 

 

県庁舎ゆえに、常に門戸は開かれている。

ル・コルビュジエの流れを組むピロティ(2階の重みを柱だけで支える1階部分)は、県庁に用がなくったって素通りできる。

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、「すごいぞ!高松」である。

 

 

因みに高松市内には丹下健三設計による「旧・香川県立体育館」というのもあって、船の形をした個性的な建築物なのだが、こちらは老朽化・耐震基準不足から閉館中

 

 

前述の県庁舎は耐震補強工事が可能だったが、こちらの建物はそれが難しく、閉館8年近くなるが、いまだ保存活用か解体かを模索している状態らしい。

 

 

 

 

そして、それに代わる新・香川県立体育館が港近くの広場に建設中だ。

 

 

「箱物」には違いないのだが、それによって地元民の生活が便利になり、地元が活性化し、更に景観がよくなるのであればウェルカムではないかしら。

瀬戸内海に向けて広がる空間(海と空)と建築物がうまくマッチすれば、素晴らしい景観を生み出し、高松は世界に誇れる港湾都市になるのではないかと思っている。

 

 

 

▲今は海に向かって空間が広がっている

 

▲静かな海沿いの遊歩道

 

 

ここは「がんばれ!高松」と言いたい。

 

 

そして最後に、自分自身にもエール。

「ポンコツなりに がんばれ!」。

今や人生は100年時代らしい。そう長生きしたくないと言ったところで、長生きしてしまうかもしれない。働かせていただけるのなら、がんばろう。

 

出来れば、耐震補強的なリニューアルを頭に施したいところだがね・・・笑

 

そんなことを考えていると、「旧・香川県立体育館」が妙に愛おしくなってきた。