9月29日(日)、10月5日(土)、北鎌倉にある其中窯(きちゅうよう)にて、陶芸家の河村喜史(きふみ)先生のご指導のもと、『手びねり茶碗づくり』を開催しました。本行事は定員の関係で2日に分けて開催され、1日目は5名、2日目は9名の会員が参加しました。

私は1日目に参加しました。当日は大船駅に集合し、タクシーに乗って10分ほど、其中窯は閑静な住宅街の中にありました。



山を背に、まるで山居のような佇まいの数寄屋建築が会場でした。辺りは自然にあふれ、流れる空気が違うように感じられました。



作陶体験の前に先生と歓談の時間があり、奥様が出してくださったお菓子とお茶をいただきながら、お話を伺いました。

其中窯は、北大路魯山人が昭和の初めにこの地に開いた登り窯「星岡窯(ほしがおかがま)」を魯山人の死後、陶芸家の河村喜太郎氏が受け継ぎ、名付けたのだそうです。その後、息子の又次郎氏に継がれ、現在は孫の喜史先生が作品を制作されています。

先生のお話は、「其中サロン」という作陶会が始まった経緯や、茶道との関わり、陶芸に対する先生の考え方などにも及び、とても楽しいものでした。

とはいえ、時間も来たので、いざ作陶体験へ!作業場では看板猫のジジたちもお出迎えしてくれました。



作品は2点を制作することができ、1点目は茶碗、2点目は各々自由に作ることになりました。

河村先生のご指導は、各々の感性を重視しており、最初に作り方を一通りご教授いただいた後は、自身で進めていきます。



先生の手つきを思い出しながら、皆思いのままに、サイズ感、使い勝手、フォルム、質感などを考え、手びねりしていきます。



時折先生の神の手!の施しを受けながらも、それぞれ個性ある茶碗が出来上がりました。



皆さん仕上がりが違っていて面白かったです。茶碗は12月に開催する青年部親睦茶会でお披露目する予定です。



2点目は、さすが皆さん茶人といいますか、茶道具としても使えるものを制作していました。



作品を作り終えると、奥様がお茶室にお招きくださいました。こちらのお茶室、照明が間接照明となっており、雰囲気がとてもよく、なんだか落ち着きます。季節を感じさせるお軸、花入れ、お花も拝見させていただきました。



そんな中、奥様お手製の主菓子(確か『月明り』という銘でした)と薄茶をいただきました。とてもきれいでおいしいお菓子でしたので、手作りと伺い、びっくりしました。



その後、ついに魯山人の窯の見学へと向かいました。この登り窯で現在、河村先生が様々な作品を制作されています。



実際に窯で焼いた作品も見せていただきました。「作品には物語が大事」と先生はおっしゃり、遊び心も感じられます。なぜこのような形になっているのか理由がある、とのお話でした。



そんな素晴らしい作品が制作されている窯に、私たちが作ったものも窯入れされるのです。こんな素人たちの作品を歴史ある窯で焼いていただける。なんと有難いのだろう。窯入れの日は見学が許されるとのことですので、今から楽しみです。

魅力的な空間に体験、そしておもてなし、経過した時間に対して密度の高い経験をさせていただいたと感じています。機会があれば、またお世話になりたいと思いました。



作陶体験の後は、河村先生の器で料理を提供しているという建長寺のレストラン「点心庵」でランチ会をしました。料理と器を楽しむ、ちょっとおしゃれですよね。



それに作陶体験をしたことによって、器ができるまでの工程も少しは想像できる。ちょっとだけ視野が広がったかな。そんなこんなで2時間ほど雑談。



普段、青年部の方々とゆっくりお話しする機会がないので、良き時間となりました。今後も、行事に参加していきたいと思います。(Y.A.)