10月26日(土)、其中窯で作品の火入れが行われ、会員6名が見学に行きました。

登り窯の火入れは、とても朝が早いそうです。

河村先生によると、窯の中の陶器の並べ方や、本格的に温度を上げる前からの温度と湿度の調整、それらによって作品のデキに影響が出るので、気が抜けないとのこと。しかも、その日の温度や湿度など、天気によってさらに細かな調整が必要になるそうです。

それを薪という材料で熱することで、陶器に起こる変化、それが楽しみであり、醍醐味でもあるそうです。

早朝から始まった準備を経て、窯の中の温度計が1000℃を超えるのは、ようやく20時や21時になってからだそうです。

私たちは20時ごろに伺いました。窯までの登り坂には街灯がありませんので、真っ暗な道をスマホのライトをたよりに歩いていくと、奥様が出迎えてくださいました。今日はいつもより見学の方が多いと仰っていました。



とても気さくな河村先生ですが、この日ばかりは火に専心しておられるので、見学者の対応は奥様がされているようです。


私が窯のそばに到着して少し経つと、河村先生の声が上がり、本格的な薪入れが始まりました。炎が一気に吹き上がります。


窯の中には温度計が設置されていますが、分かるのは温度計のすぐそばの温度だけ。窯の中全体の温度や環境を感じ取るのは、まさに職人技です。



河村先生がこだわった薪は、同じくこだわりの土の隣に山積みにされていました。


登り窯自体もだいぶ年月を重ねているので、だましだまし使っている部分もあるとのこと。



この窯で、この薪で、この日、この時間、河村先生によって焼かれて生まれる、それぞれの作品のそれぞれの変化は、まさに一期一会だと思いました。作品が出来上がるのが楽しみです。(H.A.)