欠けたる望月 161/240 (平安時代叢書 第十一集) | いささめ

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 藤原道長が激怒した朝廷の体制であるが、治安四(一〇二四)年時点ではこの表の通りである。

役職位階氏名年齢兼職
太政大臣従一位藤原公季六八歳
関白左大臣従一位藤原頼通三三歳
右大臣正二位藤原実資六八歳右近衛大将
東宮傅
内大臣正二位藤原教通二九歳左近衛大将
大納言正二位藤原斉信五八歳中宮大夫
権大納言正二位藤原公任五九歳按察使
権大納言正二位藤原行成五三歳
権大納言正二位藤原頼宗三二歳春宮大夫
権大納言正二位藤原能信三〇歳中宮権大夫
前権大納言正二位源俊賢六五歳民部卿
大皇大后宮大夫
中納言従二位藤原兼隆四〇歳左衛門督
中納言従二位藤原実成五〇歳右衛門督
前中納言正二位藤原隆家四六歳大蔵卿
権中納言従二位源道方五七歳宮内卿
皇大后宮権大夫
権中納言従二位藤原公信四八歳左兵衛督
春宮権大夫
使別当(二月〇三日去之)
権中納言正三位藤原朝経五二歳
参議正三位藤原経通四三歳治部卿
右兵衛督
大后宮権大夫
参議正三位藤原資平三九歳皇大権大夫
侍従
近江権守
参議従三位藤原通任五二歳大蔵卿
美作守
参議従三位藤原兼経二五歳右近衛中将
参議従三位藤原定頼三三歳左大弁
備後権守
参議正四位上藤原広業四八歳伊與権守

 かなり藤原氏が多いと感じたであろうが、それよりもさらに根深い大問題があった。

 こちらが藤原忠平の子孫たちの系図である。

藤原氏系図

 表に記した面々のうち太政大臣藤原公季は議政官のメンバーから除かれるから、この時点で議政官を構成するメンバーは二一名となる。

 その二一名のうち一八名が藤原忠平の子孫である。源氏二名、そして、藤原北家の一員ではあるが藤原冬嗣の子孫ではなく、大学を出て役人となりキャリアを積み重ねて議政官入りした藤原広業、この三名しか藤原忠平の子孫以外の人がいないのである。ちなみに、藤原広業は藤原有国の次男であり、キャリアの積み重ねという点では父と同じ道を歩んでいる。

 これは異常事態とするしかない。


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