(1)前置き
北村比左嘉容疑者(55歳)は、児童買春・ポルノ禁止法違反(所持)の容疑で逮捕されていたが、本日9月29日、準強姦致傷の容疑で再逮捕された。
今後も、再逮捕がある可能性があるが、現在の時点での処断刑はどうなるかを考えてみる。
結論的には、有期懲役の場合は、「5年以上23年以下の懲役」が処断刑になる。
ちなみに、刑法などに定められている刑を「法定刑」という。
法定刑からさまざまな計算をして導き出される、特定の被告人のために科される刑の範囲を「処断刑」と呼ぶ。
そして、処断刑の範囲内で最終的に裁判官が決めた刑を「宣告刑」という。
(2)児童ポルノ所持の法定刑
児童買春・ポルノ禁止法の正式名称は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」だ。
この法律の7条3項によると、児童ポルノの所持罪の法定刑は、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」だ。
(3)準強姦致傷罪の法定刑
準強姦致傷罪の法定刑は、平成29年改正前の刑法181条2項で「無期又は5年以上の懲役」となっている。
(4)併合罪加重
この2つの罪は、刑法45条の併合罪となる。
仮に裁判官が無期懲役が妥当であると判断した場合には、そのまま無期懲役に処せられる。
裁判官が有期懲役が妥当であると判断した場合は、次のようになるだろう。
仮に準強姦致傷罪の犯行が平成17年の刑法改正以降であった場合には、有期懲役は1月以上20年以下であり(12条1項)、有期の懲役を加重する場合は、30年にまで上げることができる(14条2項)。
併合罪加重は、一番長い長期の1.5倍を長期とする(47条前段)。
ということは、20年の1.5倍だから30年になりそうだけど、それぞれの長期の合計を超えることはできない(47条後段)。
したがって、20年+3年=23年が上限となるから、長期は23年になる。
短期は、長い方がそのまま来るから、5年である。
(5)結論
結局、有期刑の場合の現時点での処断刑は、5年以上23年以下の懲役となる。
この範囲内で、裁判官が妥当と考える刑が宣告刑となる。
なお、今出ている情報をもとにして考察したものであり、今後、余罪が出てくる可能性もある。
また、刑法は数次にわたり改正されている。
勘違いや誤解もあるかもしれない。
あくまで、試しに考えてみた程度である。