「シュテファン王」(ハンガリー第一の恩人) Op.117 | Beethoven's works collectorのブログです

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以前にX(旧Twitter)から、今まで抜粋でしか入手してなかった「シュテファン王 Op.117」の全曲を入手しました。(教えてくれたフォロワーさん、ありがとうございます)

NAXOS JAPAN 『BEETHOVEN König Stephan, Op.117 』

そのベートーヴェンの劇音楽「シュテファン王」Op.117について。






正式なタイトルは

コツェブーの祝典劇「シュテファン王、またはハンガリーの最初の善政者」のための音楽 (序曲と9曲)Op.117




【作曲】1811年
【初演】1812年2月9日
【出版】1826年ウィーンのアルター・シュタイナー社(序曲のみ)
全曲の総譜が1864年に、ブライトコップ・ウント・ヘルテルより出版されました。

出版の際には「シュテファン王の大序曲」と書かれていました。

(曲目)
・序曲 
・第1曲 男声合唱「王候は彼らの行いを静かに語り」
・第2曲 男声合唱「暗い迷路を」
・第3曲 勝利の行進曲 
・第4曲 女声合唱「無垢の花が撒かれるところ」
・第5曲 メロドラマ「あなたには祖国がある」
・第6曲 合唱「新しく輝く太陽が」
・第7曲 メロドラマ「君たち高貴なハンガリー人」
・第8曲 宗教的な行進曲 合唱「万歳、我らの国王」
・第9曲 メロドラマ「畏敬に満ちて飾る」
・終曲の合唱「万歳、我らの子孫」
 
「シュテファン王」op.117は、姉妹作「アテネの廃墟」op.113のように芝居じみた所がなく、単純な筋でシュテファン王(セント・イシュトワン 1001〜1038)を讃える作品。

作曲の動機は、1812年にハンガリーの主都ブタペストのドイツ劇場が新築されるにあたって、オーストリアの皇帝、フランツ一世がベートーヴェンに、コツェブーの祝典劇「シュテファン王」と「アテネの廃墟」の作曲依頼をしました。
開演は、フランツ皇帝の誕生日1811年10月4日にされる予定でした。

結局、初演は予定より延期され、1812年2月9日にハンガリーのドイツ劇場のこけら落としに際して、戯曲「シュテファン王」と「アテネの廃墟」の2曲が同時に上演されました。

前半に「シュテファン王」が上演され、後半に「アテネの廃墟」が上演されました。

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「シュテファン王」Op.117のあらすじ(資料より)

霧深い曠野、11世紀のハンガリーを背景に、矇眛なハンガリー民族が、シュテファン王の君臨によって次第に文化に赴き、霧晴れて光明に導かれるという筋のあらましで、舞台面がハンガリーに終始しているだけにベートヴェンは旋律や楽器の使い方を意識して、ハンガリー的なものにしたと注目される。ベートーヴェンはこの作品にシュテファン王に対して忠誠の意を表明した。

そして、ここにはベートーヴェンから

「ペストの新劇場開きには何かをするように、私が心から良く思っている髭面共を助けてやるために」

と書かれていた。

コツェブーとは、(アテネの廃墟)の作詞者でロシア皇帝の特派文学者だった。彼が暗殺された機会をとらえて反動首相メッテルニヒは、出版と言論と思想の自由を全て粉砕しようとした。
新聞やパンフレットには厳重な検閲を施し危険な精神を息詰まるような監視のもとにおくため、大学の中に特殊な管理機関をおき、革命の陰謀を審理するための委員会をもうけた。

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ここからは個人的な感想。

私は「コツェブーの祝典劇「シュテファン王、またはハンガリーの最初の善政者」のための音楽 Op.117」の
第4曲 女声合唱「無垢の花が撒かれるところ」が中でもお気に入り。(もちろん、全曲好きです)
 
序曲と同じ旋律なんだけど、なんだか女声で華麗に歌うことによって、まるで、花が咲いたように愛らしく、尚且つ、やさしい作風になります。
この作品は、例えベートーヴェン愛好家でも

「シュテファン王の序曲なら聴いたことがあるけど、全曲聴いたことはないな」

 と、ほとんどの人はそう答えるのではないかと思います。巷でも、極めて演奏回数は少なく、序曲でも稀です。

ベートーヴェン愛好家の方にはお薦めしたい作品です。