きょうだい児とは、障がいのある兄弟姉妹をもつ子のことです。

自分が生まれた時、もしくは障がいのある弟や妹が生まれた時から、きょうだい児としての生活が始まります。

 

 

前回の記事は、こちらです。

 

 

 

 

きょうだい児は、ストレス耐性が高い傾向にあります。

その理由としては以下のことが挙げられます。

 

 

・障がいのある兄弟姉妹がいることで、小さい頃から特別な経験が多い

・我慢が当たり前で、ストレスをストレスと感じていない

・辛い出来事を消化する術を身につけている

・ストレスを認識しないようにしている

・ストレスに対して許容できる範囲が広い

 

 

などです。

これまでに経験したことがないことをやらなければいけない時、自分一人だけでやらなければいけない状況に陥った時、人はストレスを感じやすくなります。

 

 

とりわけ、きょうだい児は、他の人が経験したことがないことや初めて経験することを、小さい頃から、早い段階で経験していることが多いです。

 

 

・一人でのお留守番

・まずは一人でやってみてと言われる

・障がいのある兄弟姉妹の分も頑張ってと言われる

・苦手なことも乗り越えないと先に進めないことを知っている

・一人でできるでしょと期待される

 

 

本来ならは、家族と一緒にやることが必要なイベントなどでも、家族の付き添いがない、もしくは時間が短いために、一人でやることが増えていきます。

 

 

”一人でできてすごいね”

”こんなことまでできるようになったんだ”

”これなら、もう一人前だね”

”いつも自分からやってくれるね”

”今回も先を越されてしまった、いつもすごい”

”小さいのに、よく頑張っているね”

 

 

周りの人たちから、こんな言葉をかけられます。

 

 

”すごい”

 

という言葉をよくかけられますが、実はきょうだい児には、何がすごいのかよく伝わっていません。

なぜなら、それをやること・できることは当たり前であり、特別なことではないからです。

 

 

そのため、”すごいね”と言われると、社交辞令のように”ありがとうございます”と言ってしまいます。

やっていることの、何がすごくて、何が他の人と違うのか、説明してくれないとわからないのです。

 

 

【目が見えない人に対して、どのように声をかけたらいいのか、どんな対応をしたらいいのか考えてみよう】

という学習内容がありました。事前に教材などでは学習していることです。

 

『誰かやってみたい人いませんか?』

 

そう声をかけられて、誰もやってみたいという人はいませんでした。

だったら、やってみようじゃないか!と思い立ち、実際にやってみました。

体験の全てが終わった時、例の如く、周りの人から”すごいね”と言われました。

 

 

「どこがすごいんですか?」

 

あまりにも気になりすぎて、聞いたことがあります。

その人は、こう答えました。

 

”自分からやってみたいと言ってくれたことや、実際にやってみて、スムーズにできていたこと”

 

 

その言葉を聞いた時に、「なんだ、そんなことか」と思ってしまいました。

 

・事前に学習できる内容があったこと

・やったことがないからやってみたいと感じたこと

・教材に書いてあるとおりにやってみただけ

・特別なことは何もしていない

 

 

事前に知識が入っているものや見たことがあることは、初めてのことでも、イメージすることができます。

そのため、初めてのことだけれど、初めてではないという感覚です。

 

 

だけど、周りの人からすると、

 

・やったことがないことをやりたくない

・失敗したら笑われてしまう

・どうやっていいかわからない

・別に自分がやらなくてもいい

 

 

と消極的な考えが多いことを知りました。

きょうだい児の中でも、このように感じている人もいるかもしれません。

でも、ある程度のことは、難なくこなすことができるのは、きょうだい児の特徴だと考えています。

 

 

・同じ出来事でも、経験している内容の深さが違う

・短時間で経験している頻度が多い

・やってみようという自発的な行動を起こしやすい

・どんなことでもできないことはないと理解している

・やれば、必ず結果がついてくることを知っている

 

 

小さい頃からの家庭環境や周囲の人との関わりの中から育まれた力です。

少しくらい大変だと思っても、やってみたら実は簡単だった、ということも多いです。

 

 

このような経験がきょうだい児には、積み重なっています。

周りの人が、ヒーヒー言っている中でも、涼しい顔をしてやり遂げられるのはきょうだい児ならではですね。

 

 

 

 

そんなきょうだい児を妬む人も出てきます。

 

・いつも目立って腹がたつ

・自分だけできると思っている

・むかつくからいじめてやろう

 

 

一部の人から言われる、嫌味や嫌がらせが続いてくると、我慢強いきょうだい児でも、辛くしんどいと感じてしまいます。

それを悟られないようにするのも、きょうだい児は得意です。

 

 

 

だけど、やっぱり、表情が暗い、いつもより元気がない、自暴自棄になっているように見える、など態度に現れます。

このような様子が見えた時には、少しだけ気にかけてほしいです。

 

”何ともない、大丈夫です”

 

そういう人が多いでしょう。それは、これまで耐えてきたものが壊れてしまうのが怖いからです。

どんなことにも耐えられるという、セルフイメージが崩れてしまうことを恐れています。

 

 

 

そんな時には、過度に干渉せずに、ただ寄り添ってください。

そうすることで、自分から話をしたり、安心できるような行動を取ったりするようになります。

 

 

ストレス耐性が高いと言われている裏には、実は小心者の姿が隠されています。

ちょっとしたことで、挫けてしまう部分があるところも、受け入れてもらえると、きょうだい児が過ごしやすい環境を作る一つになっていきます。

みんなが、自分らしく毎日を暮らせるようになったらいいですね。

 

 

次回に続きます。

【きょうだい児】自分1人だけの時間、ありますか?