きょうだい児とは、障がいのある兄弟姉妹をもつ子のことです。

自分が生まれた時、もしくは障がいのある弟や妹が生まれた時から、きょうだい児としての生活が始まります。

 

 

前回の記事は、こちらです。

 

 

 

 

きょうだい児は、母親に依存されやすい傾向があります。

その理由は、以下のことが挙げられます。

 

 

・積極的に障がいのある兄弟姉妹の手伝いをする

・優しい言葉をかけてあげられる

・大変な思いをしている母親を助けたい

・母親の役にたちたい

・母親の気持ちに寄り添うことができる

・できる限り期待に応えようと動く

 

 

 

きょうだい児は、ある程度自分一人でできることが増えるので、手がかかりにくいです。

余裕がある時には、積極的に手伝いをするため、母親から頼りにされることも多くあります。

男女ともに、依存されやすいですが、どちらかというと、女の子がより依存されやすいです。

 

 

ミニママとして、なんでもやりたがる女の子が多く、主体性を生かそうと母親もお願いすることが増えるためです。

初めは、主体性を生かそうとして、頼み事をしていますが、次第に母親のサポートをする役割に移行することがあります。

 

移行している時には、ほとんど気がつきません。

しかし、違和感を覚える瞬間がやってきます。

 

 

・あれもこれもと頼むことが多い気がする

・簡単に見えるけど、思っているより大変なことを頼まれる

・イライラしているのが伝わってくる

・いつもより口調が強い

・同じことやっているのに、怒られる

・愚痴や小言を聞かされる

・『わかってくれるよね!』と同意を求められる

 

 

毎日ではないですが、このような機会が増えていきます。

大きくなってくると、やれることが増えていくので、その分、要求される内容も多くなります。

 

 

頼りにされること自体は、嫌じゃないですが、高度な内容を求められたり、頻度が多くなったりすると、負担に感じるようになってしまいます。

でも、大変な思いをしていることを知っているので、母親からの頼みを断ることができません。

 

”お願いしてくれているんだから、やってあげないと”と母親のために、自分の時間を割くようになります。

都合が悪くて、母親からの頼みを断ると、悲しそうな顔をする母親の姿を見ることになります。

自分の時間も大事にしたいと思う一方で、”母親の役に立てなかった”と罪悪感を持つこともあります。

 

 

 

次第に、家族の中でも、母親のサポートをする役割として、何かあったらお願いされるようになります。

『大変な時は手伝うからね』と言われても、やっぱりできない!となることが多いので、結局やり慣れている人にそれが回ってきます。

 

 

”結局、誰もできる人いないじゃん”

 

”だからもっと早くから、一緒にやってきたらよかったのに”

 

 

他の家族に対して、このような感情を持ってしまうこともしばしばです。

母親も、いつも申し訳ない、という気持ちを持っているので、何にも頼まない時ももちろんあります。

頼まれるのが当たり前と思っているので、頼まれない時には、”大丈夫かな”と不安になってしまいます。

 

 

 

 

大仕事を終えて、母親と二人きりの時間が確保できた時。

何気ない会話から、楽しい内容で終始会話することもあります。

学校での出来事や、職場でのあれこれを聞いてくれることもあります。

 

 

しかし、

何かしらトラブルがあった時には、母親から愚痴を聞かされることがあります。

 

『今日は、大暴れして落ち着かせるのが大変だった』

『いつもは自分でできるのに、甘えてるみたいで全部やってあげた』

『先生から、もっとしっかりやってください、って注意を受けた』

『なんでいつもうまくいかないんだろうね』

 

その日にあった、小さなことから大きなことまで、母親の気が済むまで聞かされます。

 

 

”そうなんだ、大変だったね”

”先生も手伝ってくれたらよかったのにね”

”最近体調悪そうだったから、疲れてるのかもね”

 

 

あまりにも、長くなると、「うん。」「へぇ。」「そっか。」とそっけなくなってしまいます。

聞いてるのも疲れちゃうんです。

途中から、話しの内容が入ってこなくなることもあります。

 

 

 

母親に依存されることが多く、何をしているのかわからなくなってしまいがちなきょうだい児ですが、この経験によって、他の人よりも優れた一面を持つことができます。

 

 

 

 

 

<人の気持ちに寄り添って、話を最後まで聞くことができる>

ただ話を聞いてほしい、という人に対して、じっくりと話を聞いてあげることができます。

話を聞くという行為が、”受け止めてもらえる”という実感を相手が持てるのです。

内容に対して、アドバイスをする必要もなく、最後まで話を聞くからです。

 

話をしてくれた相手からは、ほとんどの場合、このようなことを言われます。

”聞いてくれてありがとう。なんかスッキリしたよ。”

嬉しそうな顔をして、伝えてくれます。

当たり前のことをしていると思っていますが、知らないうちに感謝されることをしているんだと気がつきます。

”あの人に相談すると、スッキリできるよ”

そんな噂が流れて、いろんな人が話をしにくるということもあります。

 

 

 

 

<話を受け流すスキルが身に付く>

楽しい話しから、愚痴まで聞いてきているため、相手が話し始めて数分で、相手に合わせた話の聞き方を変えることができます。

・アドバイスをして欲しいという時には、キーワードを覚えておく。

・怒り狂って話をしてくる時には、自分を守る盾を用意して、適度に相槌は打ちながら流す。

・テンポがゆっくりな相手には、ゆっくりと。そうじゃない時には、自分のペースを保ちながらきく。

 

時には、感情移入してしまい、本当の自分の感情がわからなくなってしまうことがありますが、回数を重ねることで、どう対応していいのかを自然と身につけることができます。

特に100%愚痴の人に対しては、話しは聞いているけれど、適度に頷き、あまり深追いしないと決めて話を聞くことができるようになります。

そして、”いつも聞いてくれてありがとう”の言葉を受けて、終了という流れに持っていくことができるのです。

 

 

 

 

母親に依存されやすいことで、自分自身の感情をぶつけることができなくなることがありますが、母親に余裕がある時には、想いを伝えることもできます。

依存されっぱなしではなく、母親を頼ってみることも少しずつできるようになっていきます。

それが、きょうだい児自身が、自分らしい生活を手に入れる第一歩になるのです。

 

 

簡単に自分らしい生活が手に入るわけではないですが、さまざまな経験を通して、スキルアップした人生を送ることができ、ありのままの自分も受け入れられるようになっていきます。

 

 

 

次回に続きます。