きょうだい児とは、障がいのある兄弟姉妹をもつ子のことです。

自分が生まれた時、もしくは障がいのある弟や妹が生まれた時から、きょうだい児としての生活が始まります。

 

 

前回の記事は、こちらです。

 

 

きょうだい児は、自分の夢や希望を諦めることがあります。

その理由としては以下のことが挙げられます。

 

 

・障がいのある兄弟姉妹は、好きなことができないのに、自分だけやりたいことをやっていいのだろうか

・自分のやりたいことをやることで、親に苦労をかけないだろうか

・親は、きょうだい児が近くにいてくれることを望んでいるのがわかってしまう

・わがまま言ったら、親の負担が増えてしまう

・わたし(ぼく)が我慢したら、家族はみんな笑顔で暮らせると思う

 

 

きょうだい児本人の人生であるけれど、親の負担感が増えないか、障がいのある兄弟姉妹に対して申し訳ないという気持ちが浮かんできてしまいます。

それが故に、自分のやりたいと思っていることとの現実とのギャップが激しく、どうしたらいいのかわからない状況に陥ってしまいます。

 

 

 

夢や希望を言葉に出してみることができたら、少しは気持ちが楽になることもあります。

しかし、きょうだい児の多くは、言葉にも表すことが難しいです。

 

言葉に出すことで、家族の反応が、自分自身への対応が変化してしまうことを知っているからです。

 

 

『お兄ちゃんは、好きなことできないのに、自由に考えられていいね』

『お姉ちゃんのこと、どうしたらいいと思う?』

『弟の近くで一緒にいてくれるよね』

『妹が好きなことをやらせて欲しいな』

 

 

家族や周りの人から、傷つく言葉をかけられることがあります。

きょうだい児の人生なのに、障がいのある兄弟姉妹の人生も背負ってしまうこともあります。

 

 

自分の思いどおりに、やりたいことをやってはいけないんだ

 

 

きょうだい児は、無意識にそういう風に感じてしまいます。

 

・傷つく言葉を言われたくない

・これ以上、傷つきたくない

・平凡な穏やかな日々を過ごすためには言われたとおりにしているのがいい

・家族の関係性を壊したら申し訳ない

 

 

 

本当は、

・大好きな洋服を作る技術を学ぶために、洋裁の学校に行きたい

・スイーツが好きだから、パティシエになりたい

・海外のことに興味があるから、一度現地に留学してみたい

・工芸品が好きだから、作れるような職人になりたい

 

 

 

しかし、これらのことが、容易にできないと感じてしまいます。

そのため、家族が喜ぶと思う道を見つけていきます。

 

・医者になって、障がいを治せるような知識をつけよう

・お世話してくれた看護師さんみたいな優しい人になろう

・親の負担を減らすために、近くの学校に入ろう

・一人暮らしはお金がかかるから、実家から通える職場を見つけよう

 

 

自分でやりたいことを見つけて、このような選択をしているのであれば良いですが、多くの場合は、家庭環境の影響を受けてしまい、選択の幅が狭くなっていると感じています。

 

 

そんな姿を見て、親からこのような言葉を言われることも多いです。

 

自分の人生なんだから、あなたが好きなように生きたらいいよ

 

 

親はきっと、本心でこの言葉を言ってくれているのだと思います。

 

・障がいのある兄弟姉妹のために、自分の人生を犠牲にして欲しくない

・やりたいことを思いっきりやらせてあげたい

 

 

この言葉を言われるたびに、きょうだい児は傷ついています。

 

「そんなこと言ったって、本当は、近くにいて欲しいって思っているの、知っているし」

 

素直に、言葉を受け取れません。

本当にやりたいことを言ったら、親が悲しむことを知っているからです。

そんな顔を見たくないと思ってしまいます。

 

 

 

やりたいことが自由にできないという苦労をしてきたきょうだい児は、社会に出てから、自分のやりたいことをできるようになっていきます。

 

<社会に出て、好きなことをやれる環境を手にいれる>

家庭という小さな社会しか知らなかった時には、できないことや縛られていることに窮屈さを感じてしまいます。

しかし、企業などに就職して、「好きにやっていいよ」と言われることが増えるため、今までやってこれなかった分、自由な発想で物事を捉えることができるようになります。

斬新なアイディアが、他の人が考えない視点であることが多く、「それ面白いね」と高評価を受けることも多いです。

自分のやりたいことが叶う瞬間でもあります。そこから、本当にやりたかったことに向かって、進んでいく力を大いに発揮することができます。

 

 

 

<収入を得て、やりたいことをやる>

小さい時は、親の収入によって、やれることが限られることはほとんどです。

社会に出て、働いて収入を得たことによって、自由に自分のために使えるお金を手にいれることができます。

家庭に縛られてやれなかったこと、やりたいと感じていたけれど諦めていたことに、改めて向き合うことができるようになります。

それによって、今とは違う道に進むこともあります。

やっぱりお菓子作りが好きだ!と思えば、学校に入り直して、その道に進むということを選ぶことができます。

 

 

 

きょうだい児は、制限されてきたことが多いので、人生を諦めがちになりますが、制限されてきた分、自分がやりたいと思っていることに突っ走ることができる力も持っています。

本当にやりたいことは何か、そのことと真剣に向き合うことができるからこそ、社会に出てから活躍する場を多く見出すことができます。

 

今、苦しい思いをしているきょうだい児でも、自分自身をしっかり向き合う時間を作ることで、夢や希望を諦めず、やりたいことを思い切りやることができるようになります。

 

好きなことができる人が少しでも増えていったら嬉しいです。

 

 

次回に続きます。

きょうだい児は「大人っぽいねと言われがち」