次は石の話しです。
◆香川県には、瀬戸内海に
半島のように突き出た五色台という
名所があります。
五色台は、眺めが良いことのほかに、
南側の国分台などで「サヌカイト」
という石が採れることで有名です。
実は、今回の旅行で、勝之進が
香川に行こうと思ったのは、
丸亀城のほかに、このサヌカイトを、
手に入れたかったからです。
では、一体、サヌカイトとは、
どんな石なのでしょうか。
ひとことでいうと、
「カーン」「キ~ン」と鳴り響く
石なのです。
そこいらへんにある石を叩いても
コツンと音がするだけで、
「響く」という感じはしませんが、
サヌカイトは、明珍火箸ほどでは
ないものの、キレイに澄んだ音が
響きます。
地元では、古くから「カンカン石」
と呼ばれて来ました。
こちらです。
いかがでしょうか?
優しく鳴りますよね。
◆そんなサヌカイトについて、
詳しく書いて行きます。
ややマニアックなので、石に興味の
無い方は飛ばしてください。
まず、岩石の種類ですが、
黒色の安山岩です。
しかし、ただの安山岩ではなく、
古銅輝石を含む、ガラス質の多い
「古銅輝石安山岩」です。
約1400万年前、讃岐地方では
非常に活発な火山活動があり、
この時、地上に噴出したマグマが、
地表で急冷され、二酸化ケイ素が
60%もあるガラス質の安山岩が
できたのです。
まさに、自然が生んだ、黒色の
天然吹きガラスといっても
過言ではないでしょう。
◆サヌカイトの中を調べると、
大きさの揃った非常に細かい物質
(石基)が詰まっていて、
石の中に隙間や班晶が少なく、
緻密なのが特徴です。
そのため、硬度4の鉄や、
硬度5のガラスよりも硬い、
硬度7の岩石となっています。
一方、マグマが地表に流れ出た際、
冷えて生じた結晶が、ほぼ平行に
配列して縞模様をなすという
「流理構造」も持っています。
そのせいで、板状に割れやすいため、
取り扱いには注意が必要です。
ただ、この特徴のおかげで、
古代から「矢じり」に使われており、
それも頷けます。
鉱物の「粒」の並びが一定、かつ、
均一で非常に硬く、稠密なサヌカイトは、
岩石内の音の乱反射や吸収が少なく、
振動が均等に、しかも速く伝わるため、
澄んだ音で鳴り響くというわけです。
サヌカイトを使った石琴で作った音楽が
1964年の東京オリンピックで使われた
という情報もあり、調べてみましたが
音源までは判りませんでした。
◆サヌカイトを世界に紹介したのは
明治時代に日本にやって来た
ドイツ人学者・ワイシェンク博士
という方です。
1891年、博士は研究の結果、
この石が世界的に珍しい岩石であることを
突きとめ、讃岐にちなんで「サヌキット」
(英語名「サヌカイト」)と名付けました。
そして、このサヌカイトを、
一般に販売している唯一の店が
屋島寺の近くにあるのです。
それが扇誉亭(せんよてい)です。
こちらが店頭の写真です。
勝之進は、この中から2本選んで
買いましたが、お値段は、
合計約1万円でした。
◆買ってきたサヌカイトは、
我が家の玄関に置いてあり、毎朝、
出勤の際に、家内が鳴らしてくれるので、
とても癒されています。
◆さて、四国には、もう一つ有名な石が
ありますので、それも書いておきます。
それは「庵治石(あじいし)」です。
「花崗岩のダイヤモンド」と呼ばれるほど
高級な石材で、高級墓石として有名です。
花崗岩の中でも、非常に粒子の細かいのが
特徴で、細かい黒雲母と石英が不均一に
分布するため、磨くと「班(ふ)」が
浮いてくるのが特徴です。
庵治地方でしか取れないため、
加工品は非常に高価で、墓石ともなると、
目が飛び出るような値段がつきます。
その昔、道後温泉で天皇陛下用の
お風呂が庵治石だったことを
思い出しましたが、一体いくらぐらい
したんでしょうかね。。。
勝之進は、栗林公園の土産物屋で
小さな庵治石の花器を見つけて
買いましたが、1個欲しかったので
以上、四国の石のお話しでした。
(続く)
庵治は「せかちゅう」の故郷でもあります。。。勝之進