保高(ほたか) | 徳富 均のブログ

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自分が書いた小説(三部作)や様々に感じた事などを書いてゆきたいと思います。

 保高(現・長野県穂高町)は北アルプスの裾野に広がる景勝の地。冷たく清らかな湧水を利用したワサビ田が広がっている。安曇野(あずみの)とも呼ばれるこの一帯は、古代に安曇(あずみ)氏が拓いた地である。安曇氏は、海の神である綿津見命(わたつみのみこと)を祖神とする海人族(あまぞく)といわれ、漁業や海運、水軍などを司(つかさど)り、ヤマト政権とも深く関わっていた有力氏族であった。本拠とした北九州から全国各地に進出したが、その中のある一族がこの地に移り住んだとされる。

 「塩の道」である千国街道(ちくにかいどう)の左手には、安曇氏が祀った穂高神社が鎮座する。祭神は穂高見命(ほたかみのみこと)、綿津見命など三柱で、社伝によると、穂高見命が穂高岳に降臨したという。以来、諏訪大社、生島足島(いくしまたるしま)神社(上田市)とともに、信濃三社として崇敬された。また、北アルプスの山中深く、上高地の明神池のほとりには、その奥宮も置かれている。社で9月26日、27日に営まれる御船祭りでは、海との関わりを彷彿(ほうふつ)させる船形の山車(だし)5台が、穂高岳を仰ぐ境内を勇壮に練り歩く。

 保高の東方の等々力(とどろき)は、江戸時代、松本藩主が鴨猟を楽しんだ場であった。藩主が来遊する際には、郷士である等々力家の居宅が休息所にあてられて、本陣と呼ばれた。幕末の等々力は米の集散地となり、精米用の95基もの水車が稼働。米は犀川の舟運(しゅううん)により松本城下に運ばれた。

 穂高町に広がる「大王わさび農場」には、私も行ったことがあります。北アルプスの湧水で栽培されるワサビ田は、見事な出来栄えで、東京のようなゴミゴミした土地で生活する者にとっては、ホットするものです。現代ではワサビのソフトクリームなどが、いろいろな土地で販売され人気のようですが、結構なことだと思います。