聖天使が見つめた『イタリア』
実家で『発掘』されたとのことで
実母が送ってきてくれたため、
15年ぶりくらいに再読
相変わらず軽妙洒脱な文章で
イタリア時間旅行しちゃった気分です。
・・・もう絶対に叶わないけど、
藤沢先生のイタリア史講義、
受けたかったなあ・・・
2作めとなる今回も
各時代の『主要人物』を取り上げつつ、
その人の生きた時代背景と共に
わかりやすくオカシロク、
時に辛辣に語って下さいます。
取り上げられた人物は、
皇帝ハドリアヌス
大教皇グレゴリウス
猛母?マローツィア夫人
異端者アルナルド
教皇ボニファティウス
大銀行家ロレンツォ・デ・メディチ
航海者コロンボ
画家カラヴァッジョ
の8人
古代ローマ帝国の最盛期である
紀元2世紀から、
バロック文化の頂点極まった17世紀までを
巡る旅路です
日本では、土偶だ貝塚だと言ってる頃から
江戸時代初期ですかね
ーーー昔は
愛する美少年← を失って性格一変するも
最後まで内政と外交に手腕を発揮し、
ローマ帝国の最盛期を築いた
皇帝ハドリアヌスが好きだったんだけど、
しかも至高の芸術家であり、
今に残る『聖天使城』を築いた名建築家。
再読した今回、改めて気になったのは
航海者コロンボでした。
日本では『コロンブス』として
人口に膾炙している
このイタリア史上最大の冒険家の偉業は
無論、『新大陸発見』でしょう。
しかし、
れっきとした『イタリア人』でありながら
彼のその『偉業』は祖国イタリアに
何の恩恵ももたらさず、
むしろ、イタリア全体が
衰亡への坂道を転がりかけていたところを
後ろから突き飛ばすような効果を
生み出した
という皮肉
確かに彼の『大航海』は
祖国の後ろ楯を全く得られなかったので、
紆余曲折の末、スペインという新興国家の
細い糸のような支援にすがって
行われたものでした。
・・・まあ、この時点で
イタリアとコロンボの間には溝が
できてたわな(-_-;)
そして
苦難の航海を経て新大陸を発見した彼は、
その地の原住民を酷使して得た
大量の黄金を
果てもなくスペインへと流入し続ける。
新興国家スペインはそのを更に
ヨーロッパ大陸全体へと回し続ける。
そーゆーことを続けると どうなるか
今日では誰でも知っているが
経済学というもののなかった当時は
誰も知らなかった。
すなわち、
悪性のインフレーションである。
そのインフレーションにより
大打撃を蒙ったのが、
ヨーロッパ金融の中心として輝いていた
イタリアだったという話・・・(>o<")
『コロンボ(コロンブス)』というと
大航海、新大陸発見、原住民酷使、と
いった項目がすぐ浮かびますが、
ヨーロッパ経済に大打撃を与えたという
視点まではなかなか思い至らないので
今回改めて勉強になりました。
再読するたびに新たな学びのある物語。
藤沢先生、
本当にありがとうございましたm(_ _)m。
イタリア史アレコレ