清志郎のライブ音源は、RCサクセション時代のものにかかわらず、
どれも貴重なものと言っていいと思うところ、
作品としてもとりわけ秀逸に感じるのが、「the Tears of a Clown」。
RCサクセション、1986年夏の日比谷野音ライブの模様を収録した、
ライブ盤ですね。
なんというか、今だ、私にとって夏の野音というと、
本作が頭に浮かぶぐらい。
いや、実際に清志郎がらみで夏の日比谷野音のライブを見たというと、
私の場合、「Glad All Over」なんですけどね。
他方、同じライブ盤でも、評価が高いのは、
「ラプソディ」の方だというのも知っています。
それでいて、「Glad All Over」も、
結局は「the Tears of a Clown」の延長線上にあるように、
私の中では位置づけられているんですね。
「ラプソディ」の熱量ももちろん特筆すべきものではあると思うものの、
それもまた「the Tears of a Clown」の中に含まれる情景の一つとして捉えていたり。
(かかる考え方がRCファンの中では稀だというのもなんとなく気づいています。)
理由としては、以前書いた感想と全く変わっていません。
選曲の幅、演奏の安定感ゆえ、
「RCサクセション」というバンドの全体像が、
ベスト盤以上に「見える」録音であること、
そして先述のように、何より、
このアルバムほど「夏」を感じるアルバムもないということです。
それだけでも、十分に特筆すべき作品なのではないかと。
『「熱さ」はもちろん、夏特有の「翳り」もこのアルバムには詰まっている。
夏であるが故の「正」のテイスト
(これは「生」だったり「性」だったり「清」だったりする)と、
夏であるが故の「負」のテイスト
(これは「腐」だったり「怖」だったり「不」だったりする)。
このアルバムからはそんなものがごちゃ混ぜになった「臭い」や
「痛み」が感じられる』
以前、ブログにそんなことを書いていた私ですが、
なんだったら、夏の季語に、
「the Tears of a Clown」という言葉があってもいいのではないか。
もはや、私の中で本作は、
そんな感覚になっているぐらいの一枚です。