(続き)
そんな会場で行われた今回のステージは、山本隆二、Shigekunという、
安藤裕子の音楽活動を支えてきた歴代の顔が揃うトリオ編成。
ミニマムな演奏ながら、実に心動かされる充実の内容でした。
この点、先述の「複雑な気分」もあってこちらの胸に響いたというのも、
ないわけではないんでしょうけど、
どちらかというと、ステージはステージで別の世界という感覚というか、
そんな心情の入るスキがないくらい出来上がったものがあったように思っています。
いや、スキがないと言っても、ずっと張り詰めた空気だったということではなく、
喜怒哀楽がすべてステージの上で表現されていたと言えば良いのかな。
それゆえ完結した一つの世界が感じられるとともに、
感情の起伏につられ、会場全体が引き込まれていく、
そんなライブだったのではないかと。
安藤裕子の独壇場でしたよ。それこそ。※1※2※3
ただ、それもまた今回、歴代のサポートメンバーが揃ったがゆえに、
なしえたことだったのかなとも、少し思うところ。
それぞれに、それぞれなりの「安藤裕子」のさじ加減っていうのが、
もはや、身についているのではないかっていうね。
※1
全15曲、「哀」に始まり(シャボンボウル)、
「楽」に終わる(「僕らが旅に出る理由」)、心地いい余韻の残るライブでした。
(帰り道も寒くはなかった。)
※2
珍しくグレー(シルバー?)の衣装をまとった安藤裕子も印象的だった。
※3
他に頭に浮かんだ言葉として、
「アバンギャルドなシャンソン」っていうのもありました。
なので、安藤裕子でフランス公演とかやってみたら、
向こうの人にも評価されるんじゃないかななんて想像したりも。