イギリスのプディングとは何?歴史と意味を紐解いてみよう
そう、イギリスといえばプディングです。
こちらパンプディングです。
正直なところ、「プディング」とは結局のところ何?と、思っていました。
その昔、プディングといえば、ぷっちんプリンに代表されるフルフルしたプリンでしょと、思っていました。しかしです。どうもプリンとプディングはちょっとちがうらしい。ちがうらしいけど、実のところはよくわからない。
そんな実はよくわからない存在、プディングにせまってみました。
プディングの始まりは肉料理!?
プディングの始まりは、豚や牛の胃袋にひき肉やスエット(牛の腎臓のまわりにある脂)などをつめて、ゆでたり蒸したりした肉料理です。ソーセージの胃袋版といったところでしょうか。
スエットは、香りは少なくあまり臭みはない脂と言われていますが、いろいろ調べてみると、やはりけっこうな臭いはあったみたいですね。ちなみに、先日クリスマスプディングを作ったときに使ったスエットから、動物のようなにおいはしませんでした。現代的なやり方で、きちんと処理されていたというのは大きいと思います。
調理のための処理やにおいは、きっとたいへんだったろうと容易に想像できます。
スコットランドの伝統料理 ハギス
胃袋に詰めた料理といえば、スコットランドのハギス。プディングのひとつと考えてよさそうです。羊の胃袋に、羊の内臓やミンチ、オートミールなどを詰め込んだ料理です。
古くからのスコットランドの郷土料理ということですが、わたしはもちろん食べたことはありません。羊を使っているというところに、かなりくせのある味であることがうかがわれます。東京都内でハギスを食べられるお店がいくつかあるので、ご興味のある方はチャンレジしてみてもいいかもしれません。
プディングは布で作る!プディングクロスの登場
時代は進み17世紀ごろ。豚や牛の胃袋で作っていたプディングは、代わりにプディングクロスという布で作られるようになってきました。プディングクロスに食材を入れて、茶巾絞りのように包み、茹でたり蒸したりするのです。内臓を使うよりは、かなりお手軽感がありますね。処理がかなり楽になったことが想像できます。
このころから、しだいにデザートや甘いものがプディングの仲間入りをしてきます。
陶器の型 プディングベイスン
さらに便利なものが登場してきました。
プディングベイスンといわれる陶器です。
肝心の陶器がみえないのですが・・・
ステイシー先生が見本をみせてくださいました。ふたを作って使います。
よく見かける円錐形のプディングの形をしています。小さいボウルのようなイメージですね。材料を入れて、茹でたり蒸したりの作業が、簡単に、しかも衛生的にできます。しかも何度でも使える。画期的だったことはまちがいありません。
そして、わたしもすっかり便利に愛用している、プラでできているスチームスポンジプディングボウル。
軽いしこわれにくいし、扱いがとにかくらくちん。こうして整理していくと、プディングの歴史は、調理道具の歴史ともいえそうです。
デザート全般を指すプディング
肉料理からスタートしたプディング。今では、プディングといえばデザート全般を指すこともあるそうです。
わたしのイメージとしては、蒸したり茹でたりするデザートがプディングかなという感じです。
英国プディングのいろいろ
プディングのイメージを、もっとわかりやすくするために、いくつかプディングをご紹介しますね。
1.クリスマスプディング
スエットを使っていますがほぼ無臭でした。お鍋で6時間茹でて作ります。
2.ジャムローリーポーリー
わたしはバターで作りましたが、昔はスエットで作っていたそうです。オーブンで蒸し焼きにして作りました。イメージとしては蒸したスコーン。
3.スティッキートフィープディング
見た目からはわかりませんが、デーツが大活躍しているプディングです。ねちねちしているトフィーもばつぐんにおいしい。わたしが一番好きなプディングは、スティッキートフィープディングかもしれません。
クリスマスプディングと変わらない見た目・・・
4.イブズプディング
ビクトリアスポンジケーキの生地の下にたっぷりにブラムリーアップルが潜んでいる、ジューシーでおいしいプディングです。
5.アップルクランブル
ブラムリーアップルにサクッとしたクランブルがおいしいお菓子です。アップルクランブルも、昔は蒸して作っていたお菓子なんだそうです。どんな食感だったのか、試してみたいところ。
6.サマープディング
蒸したり茹でたりのプディングではありません。病院に入院されている方たちは、食事管理がされているので、プディングはなかなか食べにくい。あっさりと食べやすいプディングをということで、作られたのがサマープディングなんだとか。
ほかにもいろいろなプディングを作って楽しんでいますが、キリがないのでこのへんで。プディングについては、「こんなのもプディングだよー」と、そのうち特集してみたいと思います。
奥が深いイギリスのプディング。はまりだすとなかなか出てこられなくなりそうです。ひっそりとご興味がわき出てきた方、食べられそうなものから、ぜひ試してみませんか?
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!