食べて楽しむレーズンの違い~カリフォルニア、サルタナ、マスカット、カレンツ~
英国菓子を作っていると、ドライフルーツを使う場面がけっこうでてきます。とりわけレーズンは常備しておきたいもの。
ところで、英国菓子のレシピをあれこれながめていると、「サルタナレーズン」と指定されているものを目にすることが、ちょいちょいあります。ちなみにわたしがずっとお世話になっているお菓子教室では、レーズンを使う場合は「サルタナ」と指定されています。(フランス菓子教室ですが)
そうなのです。よくよくみると、カリフォルニアレーズン一択と思っていたレーズンも、実はいろんな種類があって「結局どうちがうの?」と、ちょっと迷ってしまうことがあるかもしれません。
というわけで、レーズンを食べながら、あれこれまとめてみました。
今回用意したのは、左から「カリフォルニアレーズン」「マスカットレーズン」「サルタナレーズン」「カレンツ」の4つです。
左からカリフォルニア、マスカット、サルタナ、カレンツです。
さてさて、試食しながらまとめていきましょう。
カリフォルニアレーズン
たいていのご近所スーパーの売り場に、まずおいてあるのは「カリフォルニアレーズン」です。わたしたちが口にするレーズンは、ほとんどの場合、カリフォルニアレーズンではないでしょうか。
カリフォルニアレーズンは「トンプソンシードレス」という品種のレーズンで作られています。その昔、トンプソンさんという人が、トルコに立ち寄った際に「サルタナ」というぶどうをアメリカに持ち帰って栽培し始めたのが、「トンプソンシードレス」と、名づけられています。なんとわかりやすいネーミングでしょう・・・。
カリフォルニアレーズンは、しっかりと2週間以上かけて乾燥させるので、ぎゅっと詰まった感じで色は濃く、食感がしっかりしています。噛めば噛むほど、甘さが実の奥からにじみ出てくる感じがします。
マスカットレーズン
オーストラリアなどで栽培される「サンマスカット種」で作られるレーズンです。サンマスカット種は、わたしたちがよく食べる、いやよく食べたい願望がある「マスカット」と、先ほどちょっと触れた「サルタナ」を掛け合わせてできた品種です。
食べるとしっかりとマスカット独特の甘―い香りがします。干しブドウだけど、ジューシーでやわらかい感覚も残っています。
芳醇なぶどうの香りを楽しみたい人は、あれこれお菓子に入れたりしないで、このまま食べても満足できるのではないでしょうか。干しブドウはフルーツであることを、あらためて実感できるレーズンです。
サルタナレーズン
トルコで栽培されていたサルタナレーズン。
カリフォルニアレーズンのところで、少しふれたように、もともとトンプソンさんがトルコからアメリカに持ち帰ったのは、サルタナレーズンです。
だからカリフォルニアレーズンの「トンプソンシードレス」と、同じ仲間のレーズンです。
ただ、同じ品種でもトルコとアメリカ、土壌がちがうと、味もちがってくるよね~と、思っています。サルタナレーズンは、乾燥が1週間~10日程度と短いため、カリフォルニアレーズンみたいに、ぎゅぎゅっとした感じではありません。
うすくやさしい色合いでやわらかく、軽い甘さです。カリフォルニアレーズンは甘さが奥にいくほど詰まっている感じですが、サルタナレーズンは、甘さが口の中にぱ~っと広がる印象があります。乾燥日数が短いので、フレッシュ感も残っています。
カレンツ
こぶりの小さな山ぶどうの品種です。
製菓材料店などにいくと、入手することができます。小粒な外見ではありますが、味はやっぱり個性があります。
甘さはもちろんしっかりありつつも、ほかのレーズンに比べると、酸味が少しあるせいか、すっきりとしまった印象があります。
英国菓子を作りたいのであれば、カレンツは手元においておきたいところです。
レーズンはみな同じと思っていたら、それぞれちゃんと個性があります。どのレーズンをお菓子作りに使ってもおいしくできるはず。レーズンが主役のお菓子を作るときは、それぞれのレーズンの個性を知ったうえで、どのレーズンを使うか決めていくのもありですね。
レーズン問題に直面することがあったら、ぜひ参考にしていただけるとうれしいです。食べ比べるのも、新しい発見があって楽しいですよ。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!