今回は平安時代に天皇を支える職位について少し触れておきます
天皇の次に地位が高い職位に摂政と関白があります
摂政は、天皇がまだ幼い等の理由により政務が難しい場合に天皇に代わって政務を決裁する役割を担います
関白は、大人になった天皇を補佐する役割があり、天皇の決裁に参画します
血筋的に征夷大将軍になれなかった豊臣秀吉が代わりに就いたのはあまりにも有名です
この下に太政官(公卿会議)があり、職位の高い方から太政大臣、左大臣、右大臣、大納言、中納言、参議という順になります
今回、道長は右大臣に就くのですが、それより上の職位に就いている者がいなかったため、実質、天皇の次に職位の高い者は道長ということになった訳です
では為時が命じられた従五位の下とはどのくらいの地位なのでしょうか?
これは位階制度の中での呼ばれ方で、まず、一番上から正一位、従一位、正ニ位、従二位、正三位、従三位があります
だいたい従三位が中納言ぐらいの位階になります
その下は正四位になるのですが、さらに上下に分かれます
こらが従六位の下まであるということになります
従五位の下は位階制度で見ると下の方ですが、少納言と同じぐらいの地位と考えれば、実績の少ない為時が抜擢されたのは異例中の異例であったということは間違いないでしょう
第十九回「放たれた矢」
995年
道長は公卿のトップに就きます
一条天皇からは「1つ聞きたいことがある、関白にはなりたくないのか」と問われるのですが、道長は「なりたくない」と即答します
陣の定めに自らが出て、議論し合いたいからだと話し、これまでの関白とは異なる道を歩みたいと付け加えるのです
まひろは弟の惟規が借りてきてくれた白居易の著書『新楽府』を書写することに励んでいます
そんな中、仲直りできたサワからの手紙で遠いところに引っ越すこととなったことを知ります
誰であっても、ずっと近くに居るというのは、なかなか難しいものです
道長は疫病等で日々の生活すらままなくなっている民からの租税の免除についての意見を求めるのですが、案の定、陣の定めは荒れます
伊周に限っては民に施し等要らないとの意見
これは父の道隆と同じです
さらに父道隆と、叔父の道兼を呪詛して死に至らしめたのではないかとか、言いがかりも甚だしい状況です
もちろん、道長は何とも思っていませんでしたが・・(強い)
詮子が道長の元に来て、除目のメンバーに自分が推薦する者を入れて欲しいと頼むのですが、出来ないの一点張りです(全うです)
久々に平安のF4で飲食の会を開いていました
公任は相変わらず賢く、道長と競うことは避け、むしろ支援したいと話します
そこで1案、行成に頼んで公卿らの背景や趣向を探り、今後の政に活かしてはとの話を公任がします
気持ちが定まっていないのは斉信です
4人の中では一番、野心があるのかましれません
しかし、この飲食を行った庭先では、蛍が飛ぶ風景が綺麗でした
実際は電気も無い時代にあんな庭先に集まって飲食等、できるのかなって疑問もありますけどね
行成の行動力は素晴らしかった
公暁らの調書を道長に書面で渡します
情報が漏れるのが怖い行成は、早くその書面を燃やして欲しいため、日記に書き写すよう道長に話します
あの有名な『御堂関白記』への伏線でしょうか?
道長は、藤原実資、源俊賢、藤原行成の位を上げ、正しい政の有り様を探ります
俊賢は道長に頼まれ(蔑ろにしていないことを示すため)、伊周と隆家の元に参内するよう促しにいきます
今での俊賢の描かれ方で、頼りない愚者のイメージを抱いていましたが、そうではなかったようです
俊賢は第2の策も考えており、頼もしい存在になっていきます
後日、陣の定めに伊周、隆家、2人共に参内するのでした
まひろの元に清少納言がしばしば訪れ、情報をもたらしてくれており、その中でまひろが気になったのは宋の国や宋人の話でした
清少納言が熱中している定子にまひろが会ってみたいと話すと面会できるチャンスが訪れます
内宮での清少納言らへの嫌がらせは、グロいもの(廊下に画鋲のようなものをまく等)でした
しかし、そのくらいではへこたれない清少納言は強かった!
まひろは、定子に挨拶します
清少納言が、まひろには和歌や漢文だけでなく政にも考えがあることを伝えると、そこに突然、一条天皇が定子を訪問(御渡り)してきます
そのまま2人は奥へ下がります
どういうこと?苦笑
まひろが「どちらへいらしたのですか」と清少納言に尋ねると少し間を置き「重いご指名を担っていますので(???)」と返答します苦笑
戻ってきた一条天皇は、まひろに政に対して思ったことを話せと言います
まひろは最初、断りますが、再度、話すよう命じられると「宋の国の科挙が羨ましい」といったことを伝えます
科挙とは、この当時、中国における官僚を登用するために実施されていた試験制度のことです
埋もれたままとならないよう、優秀な人物を獲得することが1つの目的ですが、その受験資格に制限がなく誰でも受験できたという点が画期的なものだったと言えます
一条天皇も知識があるのでしょう
『新楽府』に書かれていたことだと分かり、共感を得られるのでした
一条天皇の「その言葉、覚えておこう」との返答に定子はフッとした表情をしましたが・・
そこにやって来た伊周は御子のことばかり
ウンザリの一条天皇の表情にどこか悲しそうな定子でした
このまひろの話は、一条天皇から道長に伝わることとなります
男だったなら登用してみたいとまで言います
急ぎ道長は為時が今年が最後だと書いて出した申文を探します
道長からの推挙により為時は従五位の下に処されることとなり、為時とまひろは驚きつつも喜びます
宣孝から赤い束帯を借りてくると身に付け、道長の元に参じます
道長に礼を述べるのですが「励むように」と一言伝えると去っていきます
為時にあれこれ詮索されると思ったのかもしれませんね
まひろは嬉しそうな表情で琵琶を弾いていると突然線が切れます
これは何かの前触れなのでしょうか?伊周は藤原光子の元によく忍んでいました
光子は斉信、亡き忯子の妹です
さらにたけ子という妹もいます
たけ子の元にお忍びで来ていた相手を光子に来ていたと伊周が勘違いしたことで大きな事件に発展してしまいます
その男に隆家が矢を射るのです
驚いた男がひっくり返り隠していた顔が露になります
たけ子の元に忍んでいたのは花山院(花山天皇)だったのです
ここに長徳の変が起こります
次回、宮内では再び不穏な空気が漂います
伊周と隆家の罪を一条天皇や道長が許すのでしょうか?
もちろん兄弟の定子も動揺を隠せません
そして、道長とまひろの再会は?
道長と伊周の争いに決着がつきそうです