兵器の命は微塵も無く | 雑踏水族館 -Crowd Aquarium-

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僕は兵器です、人間ではありません

何故兵器なのかというと、僕の心臓には爆弾が埋め込まれているからです


兵士として戦うには、あまりにも非力すぎた

だから、僕は兵器になったんです

いや、させられたんです


僕の命は、一人の男に握られています

その人次第で、僕は死ぬのです

きっとその人は、僕を爆破することを躊躇わないでしょう


僕の他にも、沢山代わりはいるのだから


それに、国のために、国のためにと言っている

僕のために、爆破しないなんてことはない



今この状況において、人の命はきっと一円玉よりも軽い

国という目に見えないものの為に、目に見える人間は戦う


どうせ僕は死ぬんです

だから、最後にどちらが勝つかなんて興味はありません



無理矢理埋め込まれた爆弾

突然約束された未来


僕の生まれた意味は、一体なんだったのだろうか


抵抗も敵わないまま体を押さえつけられ、麻酔をかけられた

気がついた時、爆弾を埋め込んだと、迷彩服の男と白衣の男たちから告げられた


絶望を感じた僕は最初、何も考えることができなかった

しかし、すぐにとてつもない程の怒りがこみ上げてきた

声が枯れるほど叫び、涙が枯れるほど泣いた


男たちに殴りかかったが、大の大人にひとりの子供が敵うはずもなく、あっけなく倒された


その後、逃げられないよう牢の中に入れられた僕は廃人のようだった

今思えば、僕は恵まれているのかもしれない


いつ最後が訪れるのかがわかるし、もうすぐ死ぬことを知らされているのだから




進軍命令が下る

真っ直ぐ歩いていけば、敵はもうすぐそこだ

どうせ逃げても消される命だ


だったら進んでやるさ

戦地に行かせられた末路がこれだ


なら、故郷に残っていたほうが…

そうだ、故郷…


もし、ここで死んでしまったら、もう、家族に会えない

異国で死んだら、魂もずっとここにいるんじゃないか

それに、爆破されたら肉片さえ残りはしない



嫌だ

嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

死にたくない、死にたくない

母さん、姉ちゃん、皆…

怖いよ、助けてよ、このまま進んだら、もう、生きることができない

こんな、こんな終わりなんて嫌だ

僕は死ぬために生まれてきたわけじゃない

僕は、僕は生きるために生まれてきたんだ

国のためになんか死にたくない


背を向けて走り出す


怖い、怖い

僕は死にたくなんかない!

僕は…僕は、生き