空へと手を伸ばして | 雑踏水族館 -Crowd Aquarium-

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空が近くなった気がする

けれど本当はまだまだ遠い

手を伸ばしても届かない

どれだけ背伸びをしても届かない


あの青空に包まれて眠りたい

雲の上のベッドなんて夢があって良いと思う

でも、僕が本当に求めるのは楽園

きっとあの空の向こうには楽園があるんだ



この世界は暗い

誰もが怖い顔をして僕を見る

思い出すたびに身震いするんだ

せっかくの青空も曇り空に見えてしまう

まるで僕の心みたいだ


風を物凄い速さで掻き分けて進めば、楽園に着けるのだろうか

それとも、何もないのだろうか

というよりもそんな速さで進んだら体がもたないか


ねえ、もし僕が居なくなったら誰か泣いてくれる?

悲しんでくれる?

きっと誰も悲しまないだろうね


皆、僕を要らないって言ってるんだ

じゃあ、僕は必要ないじゃないか



一歩前に進もうとした時、思った

僕が空の向こうの楽園に行ってしまったら、もうこの青空を見ることができない

それに、僕がしようとしていることはただの逃げじゃないか

僕を要らないって行った奴らに負けてしまう

それは…それは絶対に嫌だ


一歩進もうとしていた足は、気が付くと一歩後ろに下がっていた

このまま一歩進むのは簡単なこと


でも、僕は必ず後悔する

そんな思いはしたくないから



もう一度空を見上げた

空が遠くなった気がする


空が僕を突き放したのだろうか

酷いなあ、僕はこんなに空が好きなのに



それとも、僕が空を突き放したのだろうか



待ってて

僕が、本当に空の向こうへ行ける日まで

それまでは空を見上げることを許してね


再び空へと手を伸ばし、やっぱり全然届かないことを確かめた

そして、僕は空から離れていった