季節的にもサイフ事情的にも1年で一番厳しい時期ですね
今回はそんな鬱々しやすい時期なのでたまには文字だけの記事書きます。長いです。
あくまで個人での体験談ですので「いや、それは違う」と思う事もあるでしょうが
居酒屋でのオッサンの愚痴程度に読み流してください。
もう愚痴を言える友達もいなくて毎日孤独に塗装だけしてるんで。
自分は10年ほど前から、いろいろワケあって副業としてモデラー仕事をするように
なりました。正直、本業にできるほどの収入は現在もございません。。。
かと言って趣味の道楽でもないのですが。。
10年もやってると有難いことに少しずつではありますが代行制作のご注文も入るようになりました。本当にこれは助かっております。感謝しかありません。
さて、どうやって代行制作の注文が来るようになったかというと、
自分は当初、ガンダムのプラモの完成品をヤフーオークションにて
断捨離感覚で出品しておりました。このころはまだオークションのために作っていた
わけではなく、置き場所に困った自分の完成作品を捨てるのも勿体ないので安くで
出品してました。
本業が上手くいかず、持病の心の病も再発して、お金にも困っておりました
落札価格もそこまで高くはなかったです。それがある時、なぜだかとんでもない高値で落札されました。HGのズゴックとジムのセットだったと思います。
今でこそガンプラは入手困難でHGでさえけっこうな価格になってますが、10年前まではまだズゴックとジムなど2体買っても1,000円以内で買えました。
なにかの間違いかなと思ってドキドキしました。結果、ちゃんと入金されました。
そこから、これはもしかしたら副業になるかもしれないと本気でガンプラ制作するようになりました。
初期などまだエアブラシも持っておらずぜんぶ筆塗りでトップコートだけスプレー缶で済ませてました。
流石にこんな手抜き完成品をそのまま出品するのは気がひけたので、オリジナルのヴィネット(ジオラマの簡単なやつ)を付けるようにしました。
その後、ガンダム鉄血のオルフェンズのアニメが始まり、
主人公の搭乗するガンダムバルバトスが面白いように売れました。
そのころから、まだ技術は未熟ながらも本気で塗装するようになりました。
制作道具もそれまでは格安ニッパーとデザインナイフとパテくらいしか
持ってなかったのを、いろいろ買い揃えるようになりました。
あのころはキット代よりも工具や塗料代でかなりの借金がふえましたね
オークションというものはよほど有名なモデラーや塗装師の方でないかぎりは
まず売れません。
自分のようないまだに無名のモデラー塗装師は、売れる商品しか手は出せません。
毎日、バルバトスばかり作り続けました。
しかし、さすがに飽きてきます。モチベーション低下は完成度にもかかわります。
また、筆塗りにも限界を感じ、ここでようやくエアブラシセットを購入しました。
慣れない初エアブラシでしたが、初めて手にする道具で心躍りました。
エアブラシだとすぐ塗装できると勘違いされがちです。
むしろ筆塗りのほうが完成までにかかる時間は短いです。
ただ、エアブラシはやはりそれでしか出せない塗膜を作り出せます。
スプレー缶だと雑になってしまいがちな塗面も丁寧に仕上げられます。
ここの初期投資は本当に大事。(あくまで副業の場合です。趣味でやってる人は自分のやりやすいように好きにやればそれが正解です。無塗装でもいいのです)
オークションの場合は、甘えが許されません。代行制作よりもシビアです。
無茶苦茶シビアに査定されるので、ある程度の価格を目指そうと思えば、
自分の実力以上にできることはぜんぶやらないと入札すらはいりません。
このあたりからだんだん物を作る楽しさは減っていきました。
かと言って、辞めようとも思いませんでした。
やはり本気で作った物がはっきり落札金額で結果が出ることは残酷でもあり、
カタルシスもあります。(カタルシスってほど大げさでもないっすけど)
格闘家が勝敗のみで存在価値を決められるようなものです。
ここで一つの壁にぶち当たりました。
落札価格が上がらなくなってきました。
オルフェンズキットのブームが終わりました。
もちろんその他のガンダム作品のプラモも作りました。
高値がつくのは、当時はキット自体がプレミアム価格になっている物か
製作期間が半年はかかりそうな大型の物。
自分にはそういうキットに手を出す余裕がありませんでした。
もともと、お金がなくて泣く泣く断捨離から始まったモデラー生活だったからです。
ここでプラモ界に救世主が現れました。
コトブキヤの美少女プラモブームです!
FAガールから始まって、メガミデバイスが発売されるころには
ガンプラよりもさらに高値で落札してもらえるようになりました。
なぜこのシリーズの完成品が高値になったかというと、プラモの完成度や可愛さだけではありません。このシリーズはとにかくまともにフル塗装で完成されるのが難しかった。。素人が手を出すと失敗する人続出
ここ数10年のガンダムのキットはそのほとんどがPS(ポリスチレン)という塗装しやすいプラスチック樹脂で出来てます。
一部、ABSも使われてますがバンダイのABSパーツは強いです。
そして、旧キットではないガンプラはほとんどが接着剤の必要のないスナップフィット成型。パチ組みができるやつです。
それと比べて、コトブキヤのFAガールやメガミデバイスシリーズは
ほとんどのパーツがABSパーツを採用していました。
現在でもそこは変わってないようですが現在の物はかなり改善されて壊れにくくなってます。
そう、当時のコトブキヤのABSパーツはとにかく脆かった
ABSパーツの特徴としては、硬度は高いのでナイフなどで削ったりする作業は
やりやすいですがラッカー塗料に弱い。
普通に直にラッカー塗料を塗るとパーツが粉々に砕けてしまいます。
パーツの隙間に入り込んでも時間経過でパーツに染み込むと内部から割れてきます。
自分も何度この失敗をやらかしたか(´;ω;`)ウッ…
キットもガンプラに比べて高価な上、大ブームで入手困難。
だからこそ完璧に塗装完成されたキットは無名モデラーな自分でも高値で落札されるようになりました!
過去の記事にも書いてありますが、いかにABSを割らず、尚且つ可動プラモとして遊べるような物を作るかというミッションインポッシブルを成功させるために
自分はとにかくクリアランス調整を研究しました。
クリアランス調整というのは、パーツ内部の隙間調整のことです。
このプラモが割れる原因のほとんどが、関節軸の隙間から塗料が入り込んでしまうとこにありました。
溶剤が染み込んでしまうと、完成直後は大丈夫でも1週間くらいすると簡単に割れます。
これを回避させるために、デザインナイフやヤスリでパーツ内部を切り出して、直接溶剤が触れないようにしました。
塗装面はABSパーツでも比較的割れることはないサーフェイサーでの下地処理を丁寧にしました。
そういう目に見えない処理を頑張ったおかげか、フル塗装作品の中でもそこそこの価格で入札が入るようになりました。
そのあと、4年間くらいはメガミデバイス専門モデラーになりました。
ブログタイトルに2万円の壁と書いてますが、オークションでの完成品は、だいたい2万円代から極端に落札率が減ります。
一部の有名モデラー、塗装師の方だけは関係ない話ですが、名も無い副業モデラーだと2万円を超えることはまず難しいです。
常に2万円代以上に競り上がる方は、セミプロを名乗っても良いと思います。
自分もメガミデバイスを作るようになるまでは、2万円を超えることはほとんどありませんでした。年に運よく1回か2回かくらいでした。
メガミデバイスシリーズは新作なら最低でも2万円は超えました。
まぁ、制作時間を考えると半日で塗り終わるガンプラが5000円で売れたとして、
メガミデバイスシリーズは当時は1体最低でも2週間はかかってたので決して儲かったわけではないですが…。
それでもガンプラに限界を感じてたのでこれをやるしかなかったのです。
が…、このメガミデバイス、FAガールブームにも陰りがきます。
現在もこの商品自体のブームは去ってないというか、すっかり定着はしてます。
去ったのはフル塗装完成品のブームです。
(今でも頑張ってる方はいますので、その方々は応援してます)
メガミデバイスシリーズは塗装が難しいですが、可動プラモとしての完成度は
世界一と言っていいほどです。
そこでメガミデバイス好きな方たちが違う方向に行ってしまいました。
このプラモ、塗装は難しいものの、組み立てだけならガンプラとそう難易度は変わりません。小学生でも組めるようにできてます。
素材もABSなので塗装しなけりゃけっこうゴリゴリ動かしても壊れません。
顔もタンポ印刷なので髪の毛くらいを部分塗装してしまえば、可動フィギュアとして充分遊べるのです。
サイズも1/12サイズ。アゾン製の服が着せられます。
そう!メガミデバイスが発売されてから4年ほど経過したころ、
「別に塗装してなくてもカワイイし、着せ替え人形として遊べばいいじゃん」
という方々がぶぁーっと増えました。
もちろんこれに文句をいうことはありませんし、自分だってこんな壊れやすい物を
わざわざ塗らなくてもと、心のどっかでは思ってた戦犯です💀
ホビーなので遊び方は自由です。
が、そのせいでオークションでのフル塗装完成品が売れなくなってきました。
完成写真だけで誤魔化した粗雑な完成品が多く出回ったせいもあるでしょう。
最低でも2万円の壁は突破できてたメガミデバイスがその壁を越えられなくなってしまいました。
出品者もこのころ激減。今でも出品している方はおられますが、当時に比べたら1/10以下になったのではないでしょうか。
道楽でやれているなら自分も今でもこのシリーズで出品を続けていたでしょうが、
常に貧乏から出発したモデラー人生なのでここでこのシリーズは諦めました。
(メガミデバイスシリーズなら自信はあるので、もし代行制作のご依頼でなら喜んでご注文、承ります。プロ代行屋よりお安く見積もりしてます)
そしてその後にいろいろ悩んで、これまでまったく手をつけてなかったガレージキット沼の世界へと入りこんでいくのです。。
ガレージキットなら2万円の壁を越えられる可能性があると簡単に思った自分はバカです。こんなに奥の深いジャンルだとは思ってもみなかった。
田舎育ちなので、ガレージキットに触れる機会がそもそもありませんでした。
ガンプラなら田舎でも売ってたからすんなりモデラーには成れたんですが、
まったく別の世界でした
ガレージキット塗装だけで食えてる人は日本だと10人もいないと思います。
造形師も兼ねてる人なら別ですが。
まず玩具と芸術作品の境目がありません。玩具なら定価ですら売れない。
芸術作品扱いになると100万の値段が付くこともあります。
絵画の世界に比べたらぜんぜん安いですが、トッププロの完成品は
本当に芸術作品です。
自分はガレージキットを始めてまだ5年くらいしか経ってないものの、
塗装師としては最低ランクでなんとかしがみついてる感じですかね。
オークションでもそれ以下の方は入札すらありません。
どんなに苦労して完成させても無名の方がいきなり30,000円以上で出品したら
まず誰も買ってくれません。
最低でもキット定価代くらいからスタートさせないと入札はきません。
無茶苦茶厳しい世界です。
下手したら、たんじゅんにキットを転売したほうが儲かる世界です。
(塗装師としてその行為をやったらもう業界追放なのでしませんが)
*一度だけどうしても制作時間が無くて定価で新品キット出品したら高値に競り上がってしまったことはあります。あれは即決値段で出すべきでした。反省してます。
これから副業で完成品をヤフーオークションなどに出そうと思っている方がいれば
どんなに制作が大変だったとしても、スタート価格はキットの定価くらいで良いと思います。
必ず高値になる有名な人は1円スタートとかしてますが、それはやめといたほうが良いです。ガチで1円で落札されちゃうことあるので
と、長々と書いてきて結局自分でも何が言いたかったのかもうよく分からんです。
ようするにどのジャンルでもそうそう甘くはないので、これから副業で始めたい人はすぐ諦めなくてもいいですが、本気でやらないと悲惨な目に遭いますよと、実体験に基づいて言いたかっただけです。
今年の2月も厳しそうなので何とか歯を食いしばってやってくしかないようです。
オークション2万円の壁はやはり高いなぁ。。。。
お仕事お待ちしております。着手までは無料ですのでお気軽にご相談ください。
メールアドレス(tokitetutanaka@msn.com) トキテツ工房・代行制作相談まで。
では駄文失礼しました。