前回の記事で、オークションで自分で完成させたキットを売る場合のことを書きました。

売ることを書くなら買う側のことも書かなきゃなと思い、今回は失敗せず購入するための掟みたいなことを書きます。

 

と言っても今回もあくまで自身の経験談なので、異論はあると思います。

そこは聞き流してくださいませ。

自分も田舎暮らしなので、通販でしか物が買えない環境です。

本当は実際にお店やフェス会場に行って買いたいですがなかなか難しいです。

 

まず、最近自分が作ってるいるガレージキットというジャンルですが、

これはけっこう地雷源になってますゲロー煽りゲロー

ヤフーオークションで多いのですが、とにかく売っているキットが偽物だらけ。

7割くらいは偽物と言っていいでしょう。

これは運営にどうにかしろってずっと言ってるんですが、

ぜんぜん動いてくれませんネガティブネガティブ

 

偽物というのは、本来は国内販売しかしていない個人で発売しているキットを

海外で勝手に複製して売っている物です。

複製技術は海外(主に中国などのアジア圏)のほうが日本よりも優れている場合もあって、中にはホンモノより出来が良い物すらあるのでたちが悪いです。

個人で遊ぶ分には海賊版でも問題ないかもしれませんが、もとの造形を一から作っている造形師さん達にしたらたまったものではありません。

ニセモノしか売れなくなると廃業にすら追い込まれます。

 

ガレージキットの特性として、ほとんどの物は未塗装、未組立てのただのパーツですので、偽物複製品だと見分けがつかない場合があります。

まず日本国内の造形師さんが個人で作っている物が海外で大量に売られることはほとんどないので、有名なキットで海外から発送になっている物はほぼ100%ニセモノと

思っていいでしょう。

もしホンモノだとしてもいつ届くのか不明なので、オークションで購入する場合は必ず日本国内発送の物を選びましょう。

ただ、最近は売る方も海外発送では売れないことが分かってきたので、わざわざ日本の住所アカウントを取得して国内発送にしているヤカラもいますムキー

商品写真すら他の本物の写真を勝手に流用してたりするので、こうなると見分けがつきません。

 

なので、購入する前にいくら相手に失礼があっても「これは正規品か」と質問欄から聞いてください。もしそれで相手が難色を示した場合は買わなくていいです。

正規品と確かめた上で偽物が届いた場合は受け取り拒否をして運営に通報してください。泣き寝入りする必要はありません。コメント欄でのやり取りは運営も見てくれるのでそういう証拠は残しておきましょう。

 

転売ヤー問題もあって、本物であっても高値で売っている人もいますが、オークションは販売手数料が売り上げから引かれるし、ワンフェスなどのフィギュアフェスのみで販売された限定品などは、それの参加費も入っているので定価から数千円くらいの上乗せは多めにみましょう。(流石に数倍の価格になってたらやめといたほうがいいです)

オークションなので運がいいと定価以下で買える場合もあります。欲しい物があったら入荷通知がくるように事前に設定しときましょう。

 

それでも定価で買ったほうが良いし造形師ディーラー本人にお金が渡るのでオークションやメルカリなどでは買いたくないという人は、BOOTHなどの国内でガレージキットを購入できる通販サイトもあります。

自分もなるべくBOOTHで購入することをおススメします。

Amazonはニセモノを平気で売っている人が多いので返品ができるプライム以外での購入はやめたほうが良いです。

ガレージキットが定価以下の価格で売られることはまずないので、安くでAmazonで売っていたらコピー品だと思ってください。とんでもない粗悪品が送られてきてもプライム以外では返品できない場合が多いです。プライム販売のみで購入してください。

ガレージキット初心者向けにはボークス社のキャラグミンもおススメです。

 

こういった理由で、日本国内でガレージキットを安全に買おうと思うとどうしても

メーカーが絞られてきてしまうので造形師さんの負担が減るような流通手段がもっと増えればいいのになぁと思ってます。

台湾や香港などで制作されているオリジナルガレージキットで物凄い完成度の高い物がけっこうあるんですが、流通の問題でなかなか手が出しづらい現状です。

大手のメーカーが流通代行をしてくれればいいんですが、もともとガレージキットは

少数生産の商品なので難しいのでしょう。

韓国製のナッツプラネットの物などはまだ日本でも普通に買えます。

 

日本国内の物で安全に購入できる物だと、ハセガワ、ボークス、海洋堂、アトリエイット、グリズリーパンダ、ブリックワークス、MK2(まっつく)などと限られてくるので欲しい物があったら売り切れる前にすぐに購入してください。ガンプラのようにすぐに再生産はされないので。

あとは、フィギュアフェスの後などに少量だけ通販流通される場合がありますので、

好きな造形師さんがフェスに参加する時はSNSなどをチェックしとくのも良いと思います。

 

次に、自分でガレージキットは作れないがどうしても完成品が欲しい方に

完成品の購入について書きます。

こっちはほとんど書くことはないのですが、一応注意点はあるので。

オークションに出品されている完成品は原則として、出品した本人が作成した物を買うようにしてください。

最近は出品代行サービスなどもありますが、ガレージキットは作る人の技術の差がはっきり出る物ですので、トラブル対応などその後のことを考えたら本人から購入するのが一番安全です。

ただし、技術の差が出ると書いたように、見本写真とまったく別物が届いてしまった場合を除いては、基本はクレームや返品はできません。

ヤフーオークションなどで探すのならスマホではなく、なるべくパソコンなどの大きな画面の写真で探してください。

ちゃんとしている出品者の方ほど、パソコンで見たほうが分かりやすいように写真や商品説明を掲載しています。

完成品は決して安い買い物ではないので、損をしたくないならパソコンの大画面で見てください。

また、不明な点があればどんどん質問欄に質問しても大丈夫です。

(ただし質問欄からの値引き依頼はNGです)

 

塗装の知識がまったく無い方が完成ガレージキットを買うのはけっこうリスクがあるのですが、注意点としてキットが通常レジンキットか3Dプリンター出力品かでだいぶ差が出てきます。

最近は3Dプリンターが安価になってきて、造形師さんでも3Dプリンターキットの物を販売している方も多いです。

3Dプリンター出力のキットは作りやすい反面、まだまだ問題を抱えていて、

下手に作るととにかく壊れやすいという特性があります。

経年劣化も通常レジンキットより無茶苦茶早いです。

今後、3Dプリンターで使用されている水洗いレジンが改善されてきたらこの問題も

解決されるかと思いますが、今のとこは現状のままです。

工業用にも使われるABSライクレジンを使用されている方も増えてますが塗装に向いているかと言えば、うーんって感じですね。

塗装師の方でもそういう理由で極端に3Dプリンター出力品を嫌っている方もいます。

 

自分は、3Dプリンター出力品のキットでもすごく出来の良い物にこれまで出会えてますので、一概にプリンターキットがダメだとは思ってません。

ただ、弱点も分かっているので3Dプリンター出力品のガレージキットを組み立て塗装する際は通常レジンキットと違う塗装と組み立て方法で制作してます。

 

安全に購入したいなら通常レジンキットの完成品だけを買うようにして良いですが、

どうしても欲しい物が3Dプリンター出力品だった場合は「サフレス塗装しました

の表記が商品説明にあった場合はやめておいたほうが良いです。

 

サフレスというのは、下地塗装として使うサーフェイサーという塗料を使わずに直に通常の塗料を塗布した物です。

下地の色が上の塗膜の発色に影響するので、あえてサーフェイサーを使わずに塗装する方も塗装師にはいます。この方法は決して悪いことではありません。問題はプリンター出力品に使われる光硬化の水洗いレジンにあります。

3Dプリンター出力品の水洗いレジンは前回の記事で書いたABSパーツと似たような特性があって、溶剤が染み込むと内部で割れを生じやすいのです。

また日光や温度変化による劣化も早いです。要するに賞味期限があります。

もうそういう物だと諦めるしかないのですが、制作する方もなるべくなら作った物は長く観てもらいので自分は3Dプリンター出力品のキットは必ず通常レジンキットよりも丁寧に下地処理をします。

 

まず中が空洞になっているキットの場合ならすぐ割れないように内部をパテ補強します。その後、キット全体をUVライトで再度硬化させます。

(逆に硬化させすぎるとガラスのように割れやすくなってしまうのでそこの加減も注意してます。よくABSライクと表記されている光硬化レジンはもともと強度が強いのでそこまでの硬化は必要ないと思います。*キットにもよりますが)

 

塗膜も日光から少しでも守るためにブラックサーフェイサーで一層の膜をつくってから本塗装に入ります。このように作っておけば、かなり劣化速度を遅らせることができます。

プリンター出力品のほとんどは通常レジンキットのような軸打ちはしなくても良いのですが、台座に立てるための軸を打つ場合は足首などが折れやすいので通常よりも奥まで穴を開けて、さらに穴も強化させて軸を入れてます。

その他も企業秘密ですが、細かい修正をしてから本塗装を行ってます照れ

 

もし3Dプリンター出力品のキットを購入する場合は、そういう特性があるということを理解した上で、それがどのように作られているか製作者に質問してから購入しても

良いと思います。

 

新品キットを買うならレジンが内部で硬化してないことがあるので

「キットは空洞構造になっていますか?」と質問。

完成品を買うなら「キットの劣化対策を何かおこなっていますか?」の一文で良いです。

分かっている原型師や塗装師の方ならそれでちゃんと理解してくれるはずです。

 

あとは、ガレージキットはもうそういう物だと諦めるおおらかな気持ちも大事です昇天

 

まぁこれは言い訳になりますけど、ガレージキットはガンプラのような完璧な工業製品ではありません。

よほどのことがない限りはそういう物だと受け取って許容してくださると助かります。

 

有名な塗装師の方などは、落札価格がとんでもなく高い代わりにちゃんとアフターフォローもしてくれるのでそこは伝えても大丈夫です。

自分も落札価格は安いもののネガティブ到着時に破損していた場合などはなるべく無償で修理対応するようにしてます。

よほどの無茶なクレームでないかぎりは対応します。

(思ってたのと違ったのでぜんぶ塗り直してくれなど、過去には嫌がらせに近いクレームもありました昇天昇天昇天そういう方はご勘弁を)

 

というわけで、まだまだ書き足りないですが長くなっちゃったんで

最低限のことだけを。

 

今週はワンフェス2024冬も行われます。

ガレージキットを買ったは良いが塗装は無理だわって方は

お気軽にご相談くださいませ。

作れそうな物なら承ります。

(tokitetutanaka@msn.com)

 

ではでは。