会えずにいた時間を埋めるかのように夜遅くまで、電池が切れるまで、長く話したとする。
声を聞けば聞くほど、会いたいという思いが強くなるが相手の都合がつかない。もしかしたら二人だけで会うことを嫌がっているのかもしれない。私だってそういう気持ちはある。二人はまだそんな関係ではない。
そこで仲間と出かけることを提案した。これには相手も乗り気になったようだが、やはり問題はそう簡単には解決しなかった。
最近うまくいってなくて悩んでいるようで、電話口の向こうで思いの丈を語りだした。私はただ頷くだけだった。
「ひとりで悩んでたってしょうがないよ。誰か誘って気分転換でもしたら?」
私がそう言ったら相手がいないと漏らしてきた。私だったらいつでも誘ってと言ってみた。しかし反応は芳しくなく、一連の会話は「長電話しちゃってごめんね」と、一応の結末を見たが明白な答えは見つからなかった。
私は勇気を出して誘ってみたつもりだったが出かける約束をすることまでは話を進められず、その日は次があるとあきらめた。
次の日に連絡があった。「やっぱり行こう!」となんだか吹っ切れた様子で私も嬉しくなった。
悩み事なんか忘れてその日 は楽しく過ごしてもらうおうと、私はすぐに仲間を集めようと連絡を回した。
意外なことに相手の反応は早かった。
「あれ、二人で行くんじゃないんだ」
私は動揺した。相手は二人だけで行くことをためらっているとばかり思っていた。散々誘ってみてもいい返事が返ってこなかったからだ。私は二人で行きたかった。
みんなで行ったほうが楽しいだろうと、浅はかな考えをもった私を後悔した。ほんの一瞬でも同じ気持ちでいたかもしれないのに自分からそれを拒否してしまったことを。そのことで相手の気持ちを傷つけてしまったかと思うと私はその場に立ち尽くしてしまった。
お互いが相手の気持ちを知るために、探り探りでしか言葉を交わしてこなかった。自分の気持ちに素直になって喋っていれば。
自分が可愛かったのだろう。相手に悪い印象を与えたくないばかりに、思い切って前に進むことが出来なかった。裸になって気持ちをぶつけられなかった。
後悔ならだれでも出来る。失敗を恐れては何も得られない。
いつもそう思う。人にも言う。
私はいつも変ろうと思い、いつもより少しだけ前へ出てみている。少しずつ。
この精一杯の勇気が少しでも相手へ伝わればと思う自分を、私はくだらないと思う。

