「人の仮面を被った鬼畜の仕業」

 

この言葉は昭和63年に起きた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」における東京地裁での裁判長による判決文の言葉です。

判決文にここまで書かせるだけの、「残忍かつ極悪非道な重大かつ凶悪犯罪」は少年4人によって引き起こされました。

 

私は大学時代憲法ゼミにおいて、「報道の自由とプライバシー権」の比較衡量というテーマで勉強した際に、はじめてこの事件の詳細を知りました。2か月近くに渡る、拷問に近い所業によるなぶり殺し。詳細を知り1週間ほど眠れなくなった思い出があります。後世に語れ継がれる戦後史上最も残忍な事件であったと思います。

 

この事件については、様々な媒体で詳報されていますが、判決文をそのまま読んで頂けるとより事件の詳細がお分かりになるかと思います(判決文はネットから確認出来ます)。

 

検察が控訴したように、刑が軽すぎるという感想を持ちました。しかし、少年ということもあり情状酌量が認められたのでした。それはその後更生する余地があると考えられたからです。

 

しかし、その後少年らは出所後に凶悪犯罪を繰り返しているのです。直近でも殺人未遂事件を起こしました。

 

もはや「性犯罪者・殺人犯の再犯事案にどう対応するのか」として世間の議論を呼び起しはじめておりますので、あらためて私の持論でもある性犯罪者含めた凶悪犯の出所後のGPS装置設置の必要性と、包括的な再犯防止策の必要性についてまとめさせていただきます。

 

まず最近の再犯防止の国の動きとしては、先日、法務大臣に提言した「新潟女児殺害事件を踏まえた性犯罪者の再犯防止対策の緊急提言」を受け、この度、法務省が平成31年事業開始分として「地方公共団体が行う再犯防止推進モデル事業において、性犯罪者の再犯防止に特化した取組を追加すること」への概算要求が初めてなされることになりました。

3か年計画で、予算要求総額は、15,600万円となっています。

 

※先日のブログ「性犯罪者にGPS装着を~法務大臣に新潟女児殺害事件を受けて新たな再犯防止策を提言~」https://ameblo.jp/tohru-ishizaki/entry-12391860371.html をご参照ください。

 

 

 

再犯防止推進計画(平成2912月閣議決定)では、「地方公共団体による再犯の防止等の推進に向けた取組の支援」として,地方公共団体において取組を進める上で必要となる地域の実態把握や地域のネットワークの構築等の取組を支援すること等が盛り込まれました。

 

こうした中で、国・地方公共団体が連携した効果的な再犯防止対策を講じることが求められていますが,モデルとなる事例がありません。地方公共団体の協働による地域における効果的な再犯防止対策の在り方について調査するため,一部の地方公共団体において,①地域の実態調査と支援策の策定,②モデル事業の実施,③事業の効果検証・地域再犯防止推進計画の充実といった一連の取組を地域再犯防止推進モデル事業として実施していきます。

 

今回の予算要求は、このモデル事業において、性犯罪者の再犯防止に特化した取組になります。

 

性犯罪者に対しては,個々の再犯リスクを適切に把握し,刑務所等収容中から出所等後まで一貫性のある性犯罪者処遇プログラム等により,効果的な指導や支援を実施すること,特に,小児を対象とした性犯罪者,性犯罪又は性犯罪と密接な関連を有する他の犯罪を累行する者等,性犯罪リスクの高い刑務所出所者等に対して新たな再犯防止対策を検討することが重要だと思います。

 

法務省では、厚生労働省の協力を得て、海外における取組などを参考にしつつ、刑事施設における性犯罪再犯防止指導や少年院における性非行防止指導、保護観察所における性犯罪者処遇プログラム等の性犯罪者等に対する指導等について、効果検証の結果を踏まえた指導内容・方法の見直しや指導者育成を進めてきました。また、その一層の充実を図るとともに、医療・福祉関係機関等との連携を強化し、性犯罪者等に対する矯正施設収容中から出所後まで一貫性のある効果的な指導の実施をしています。

 

しかしながら、更なる性犯罪再犯防止策の拡充が、今、必要とされています。そのひとつが今回のモデル事業なのです。

 

そして、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の犯人が再犯をしていることの重大性にも鑑み、先日提言したように、性犯罪者に対するGPS装置による電子監視制度の導入の検討を早急に進めるべきです。

 

我が国におけるGPS機器等の導入の是非については慎重に検討すべき課題ではあるものの、海外の取組などを参考にしつつ、再犯防止に当たり、どのような者を対象とするか、どのような効果が期待できるのか、どのような問題を生じるのかなどの点について、検討を進める必要があります。

 

韓国では、再犯率の高い性犯罪の防止に向け、2008年の「特定性暴力犯罪者に対する保護観察と電子装置装着等に関する法律」施行で、性犯罪者に対するGPS装置が開始され、居住地から半径2キロの監視範囲から外に出たり、指定された制限区域に立ち入ると24時間体制で保護観察所に報告される仕組みとなっており、再犯率は1/8に減少し着実な成果が出ています。

 

こうしたように、性犯罪者の再犯防止に対する様々な取組をあらゆる角度から展開していくことが必要だと思います。引き続き、地域の安全安心を守るため、関係者の皆さまと密に連携して、性犯罪の再犯防止、防犯体制の強化づくりを進めてまいりたいと思います。

 

そして、あらためて、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の被害者の方に心からご冥福をお祈りし、再犯防止策の徹底を固くお誓いしたいと思います。

 

衆議院議員 石崎徹