3ヶ月前というと雛飾りを終え、松山に遺された古今雛を紹介する展示と新たな試みのナイトミュージアムの企画・準備が着々と進んでいたが、予想だにしなかった新型コロナ騒ぎで全ての準備は白紙、2月15日から対人の業務は全て止まる。
「春に三日の晴れなし」というが気持ちは3ヶ月晴れなしである。
春が飛び、炭火を抱いていた冬からいきなり初夏、私は愚痴を言わない人間ではあるが、さすがに今年は言いそうになる。
思い出せば10年前、風邪をひき、熱にうなされ味覚を失い、さらに肺に水が溜まり仰向けに寝れなくなり、夜な夜な座して短い眠りを繰り返した命懸けの記憶。
今コロナ禍の症状と全く同じであり、鳥肌が立つような世情に翻弄されつつ、早々に家籠りを決めた。
幻の「豫州古今雛ナイトミュージアム」をまたいつか開催したいと普通はリベンジを思うのであろうが私はやらない。
理由は性格に由来するが新たな企画で臨むつもりだ。
配るマスクも消毒液も準備万端、恐る恐る明日は開館する予定だが心臓に難病を抱える私には勇気がいる。
この度は如何に仕事をこなすかではなく、如何に生きのびるかなのである。
天に身を委ねて10年、運があればまたいつもの春も来る。
とにかく先人たちが繋いでくれた歴史の証拠品をまた次の世に大切に繋ぐのみ。
則天去私