~和歌山市教科書採択の選定員・調査委員の開示について~ | 和歌山市議会議員 戸田正人 オフィシャルブログ Powered by Ameba



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~教科書採択の選定員・調査委員の開示について~



私は最近、日本人としてのアイデンティティとは何かを考えます。それは政治学者や論客がおっしゃる大それた意味合いのものでは無く、家族を愛し、故郷を思い、ひいては日本という国の伝統や文化を愛してやまない想い、国家観という事であります。



したがって、国政はもちろんですが、県政、市政という地方政治に携わる者に求められる根幹には、国家観や歴史観を背景にした政治に対する理念があり、いわゆる街づくり、福祉行政、産業、そして教育分野などの行政、全ては、国家観や歴史観を基本理念として持ち合わせる「日本人のアイデンティティ」と言うものを基本とするべきだと考えております



また未来ある子供たちにおいても、「生きる力」の源は自国の歴史や伝統に誇りを持ち、祖先への尊敬や感謝を持つことにあるので、その事に心が届かないと「生きる力」など育くまれる筈がないと考えております。
 

そして、自分の命が祖先から受け継がれてきたものだと感じ、自分の存在は、祖先のおかげだと気づくものであります。
 

それによって、自分が生まれてきた意味、生きていく目的、自分の担うべき役割を理解することができ、その事が人への思いやりや、助け合いの心を育む大きな要因となりうるのです。

それゆえ、子ども達が学ぶ教科書、特に歴史教科書や公民教科書は、子供たちの心を育てる教育となり、さらに言えば子供たちの生きる力を養う教育になるのです



そうした事を学ぶため、どの教科書を学ぶかによって、平成18年度に改正された教育基本法が求める「子供達には日本の歴史に愛情を持ってほしいと願い、その中から「国民としての自覚」ひいては生きる力」と言った子ども達を育てることができるか否か、道は大きく分かれてしまうと言っても過言ではないのであります。



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戸田正人質問①「教科書採択における調査員・選定委員の氏名をお示しいただきたい」


大江教育長答弁①「今回は調査員・選定委員の氏名は開示しません。次回平成26年度に採択終了後に開示します。」



戦後もうけられた教育基本法での間、我が国の社会情勢は随分、良くも悪くも変わりました。こうした流れを受け、平成18年に教育基本法改正され、国がこれらの教育の在り方を示し、それを実現していくために教育法規も改正されたのち、今回が最初の教科書採択であるということなのです。


これは、多くの市民の方々や学校教育に従事されている方々が教育基本法改正以前の教科書採択に対する見識と、改正後の新しい見識の元で、どのような違いをもって今回の歴史教科書が採用されたのだろうかと、改正された教育基本法に大きな期待を寄せる者として、ただただ純粋に知っておきたいと思うのであり、静ひつな環境で行われる教科書採択は非常に大きな事象でありながら、その情報発信がなく、不透明さを感じるものであります。


 戸田正人再質問②教育公務員である調査員が一部民間の方を除く、教育公務員である選定委員に報告して、それを教育委員会に答申して教科書を決めるというものでありますが、教育行政の行為の中で行われている教科書選定に携わっている教育公務員をお示しくださいと、私は単純にお尋ねしているものです。したがって一問目のご答弁であったように「今回は開示できなくて、次回である平成26年度には開示する」という教育委員会の基準や根拠が私には理解できません。次回の教科書採択では開示できるのに、今回の採択ではなぜ開示できないのか、明確にお示しください。」



大江教育長答弁②静ひつな採択環境を確保するため、そして、委嘱する際、開示しないものとしているので、開示をする事となると調査員・選定委員と教育委員会の間の信頼関係に揺らぎが生じることが懸念されます



私はその答弁を聞き愕然としました。教育委員会は未来の子供たちの大切な教科書採択の透明化よりも、教育公務員同士の信頼関係が揺らぐのを懸念され、それが開示できない最大の理由であるとのことなのです。



あらためて私は「氏名を公表されることは不利益を被るので非公開が妥当であるという主張は違法であり、公正な教科書を選んだことに対して市民に説明する責務があるので情報を開示しなさい。」という横浜地方裁判所での判例や和歌山市情報公開条例を例に挙げ、教科書採択の後、調査員の氏名を公表するか否かは、どの教科書の記載内容がどうだとか、また「右だ、左だ」などというイデオロギーの問題ではなく、市民に信頼される行政運営を行うため、情報は可能な限り、市民がそれを知りたいと欲した場合、特段の事情が無い限りこれに応えていくことこそ、情報公開の基本である意見しました。


また、教科書採択に関わる調査員は公務員であり、その公務員の行った行為を、いつ、何処で、誰が、どの様な経緯で為したのかを公表しない、秘匿することは許されない行為であるとも意見しました。



戸田正人再々質問③「調査員との信頼関係といった理由は、同条例によれば開示の拒否要件にはあたらない、『和歌山市情報公開条例』の主旨に基づき、教育委員会は速やかに、今般の教科書採択に関わった調査員・調査委員の氏名を公表する事を、強く求めるものであります。再度、教育長にご見解をお聞きしたい」


大江教育長答弁③「議員ご指摘の横浜地方裁判所での判例や和歌山市情報公開条例の趣旨をふまえ、速やかに調査員・選定委員の氏名開示(速やかに公開する)について対応してまいります」




今回は開示できないとの教育委員会の答弁が、速やかに対応してまいる(開示の方向へ)と答弁を引き出すことができました。それは静ひつな環境で、なおかつ秘匿で行われていた教科書採択が透明化になり、未来ある子ども達が学ぶ教科書がどのように採択されていくのかを私たちは知ることができ、市民のみなさんが教科書採択に今後、益々ご関心を持っていただけたらと思っています。