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漢方の【誤った】常識について一言

2006-04-24 08:32:31 | 健康・病気

今回は、のっけから医療の話。
最近なんだか既存の医療に対する不信感を背景に、漢方がブームのようですね。
要は、西洋医学の内服薬や、手術に対して、歴史の古い漢方のほうが安全で、穏やかだと。
【信じたい気持ちは共感はしますが。】

漢方だって、クスリの1ジャンルに過ぎません。ちゃんとこのことをお忘れなく。多剤と同じように長所・短所を持ってます。
決して万能薬では有りません。
【誤った常識のいくつかご紹介】
(1)副作用がない?
  これが一番たまらんウソ。利用者の安全願望と、処方者の売らんかな欲望が見事にマッチしてしまって、最悪のウソが世間を独り歩き。
標準的な西洋医学のクスリのほうが、診断が大きく誤ってなければ、きつい目には遭いません。漢方のほうは、【証】という患者サンの現状を診たてるものを、誤れば、激烈な副作用に、もしくは効果どころか反対に病状の悪化を招きます。
肝心なことは、西洋薬は誰が出しても大差はないが、漢方は処方する側の【能力】により効果・憎悪どちらにも成り得る。
  ご用心を。腕のない処方者ほど「副作用がない」と語るものが多い傾向があります。
(2)長く飲まないと効かん?
  こいつも、腕がないのに扱ってる奴、もっと悪質で知っててわざと効かない薬をずっと売りつける奴。の振り撒いたウソ。
3ヶ月、6ヶ月、1年とか云われて飲んでるときは、立ち止まってご一考を。かなり費用がかかってるはず。
体質改善系の漢方は確かに、長めに使う必要がありますが、時々、利きもしない胃薬の類を多量に混ぜた方剤を扱ってる不埒者を見かけます。副作用も出ませんが、何年待ってもお金が消えていくだけで、よいことは気持ちが落ち着くことぐらい。
  漢方には、扱う病気毎に、標準でも140種の方剤(生薬の伝統的な組み合わせ)があり、効果の期待できるまでの時間・期間にそれぞれの特徴があります。たとえば、No68芍薬甘草湯はこむら返りのときに頓服で使うことが多いのですが、数分で利きます。こんなのが2週間後に利くとか云ったら誰も使わんでしょうが。アハハ!山登りが趣味の方々の間では割と知られた携行薬。
20種くらい有る風邪の類いに使う方剤は、一服目の直後に利く物から、遅くても2日以内に利く物がそろってます。最強版のNo27麻黄湯は、鼻づまりには1,2服でストンと突き抜けさせたり、高熱・激痛の風邪には1,2日で解消させたりします。
  体質改善型のNo9小柴胡湯、No62防風通聖散あたりでも2週間、1ヶ月で副作用の出てきてないこと、若干の効果をご本人が感じることを観察してから長期にシフトします。

時間なくなっちゃいました。また後日。