【説明するチカラ】、ひと講釈。
内科医誌さきどり第2弾
診療夜話
西区 戸髙 憲二
説明するチカラのこと、ひと講釈、診療の現場に絡めながら。
いつもよりもっと高いところからの話し方になると思うのですが、気にならない方限定。
というのも、医師歴25年、その1年目から、いかにわかりやすく病気の名前、姿、その性格を伝え、どんな治療法があるのか、おもには内服薬の種類、効能・効果、用い方(注:特別の思いあり)を丹念に説明することを
ほんき、でやってきたのです。
そう、相手が納得するためにはどんなしゃべりかたがいいのか、単語はどんな風に言い換えるのか(一個一個を長い年月で、おのれが納得するまで煮詰め)を常時、そう、診療の間中、真剣勝負。ま、疲れるはず、普通の精神的スタミナの方々では。
ただ、強調しておきたい、25年Fullでやってきた内科医の、一日の長以上のもの、凄み味わってもらいたい。できうらば吸収・実践までの参考になれば。
ほら、高いとこからものいうでしょ。
ま、自負もあるが、近しい方々からの「戸髙は、口がうまいなあ。」の褒め言葉あり。そんときは先ず修正から「口がうまい、は詐欺師。でなくて、話し方が上手、はては伝えるチカラがおおきい。でしょ。」ってくだりですね。ちょい小噺。てなことは置いといても、説明力とでもいうものに、共感を得ていただいてるのは、励みです。謝辞なり。
内科医会でかわいがってもらってはや8年8ヶ月。感謝をこめて手の内お披露目。
先ず、総論
「不安解消いたします。」
なんてベタな広告、地下鉄とかバスとか、net上で見かけます。
へたなだけでなく、もっと悪く、無意識に客足が遠のく気がします。
「不安」ってことばnegativeですよね。よく視ると「解消」も「けす」なんてnegative。
否定語の否定は肯定。negativeのnegativeはpositiveと強引に言い換えると少し見えます。
「安心の提供」ことば硬いんで微修正「安心してもらう」
大雑把に言わせてもらえば、同じ意味をlogicalには伝えてます。
が、感性に響くものが違う。
「不安が・・・・・」なんて言ってるあいだ中、患者さんは「もやっとした」漠たる不安に思いを馳せるのです。数秒かもしれない、10数秒、数十秒、いずれもうれしくない無意識下の脳みそへの刷り込み、imprinting的な現象が誘発されると推察してます。
それをいまさら追いかけで「解消」とかいっても、こいつもnegativeイメージ。
うまくいかない事柄があって、それからの脱出。ね、良くないでしょう。
【医師の仕事は、患者さんに安心の提供、安心して帰ってもらうこと。】
てな、propagandaはどうでしょう。
総論の一例でした。よろしければお使い下さい。アレンジ自由。著作権放棄、あはっ。
2題目
血液検査の説明。こいつは内科医師のはずせない日常的業務。
詳しくは、我がホムペにあるので興味のある方は閲覧を。
基本【ゼロのヒトに、どこまで短時間5分で伝え切れるかの勝負のためのKnow・How】
CRC使ってるのでその伝票の記載順に
脂質:総コレ・HDLは飛ばしちまって、LDL-choのみ説明。
いまは、悪玉だけ見てれば、ごちゃごちゃ3項目で悩まんで済むし、実用的にもOK出てるからと。あと女性は160くらいにシフトもconsensusありそだよと。脳卒中・心血管イベントのリスクは女性の方がタフだと。学会6つとかで争わんではやいこと尿酸みたいにgender出して欲しいいな、愚痴。
糖尿病:血糖はスピッツ省略のため少し正確さを欠いても全血にしてます。
だいたい数年前から、空腹時でなくtemporaryにとったほうが、もっとも小血管系のリスクをあげてる食後過血糖群を見落とさない。って学会の重鎮達がことあるごとに語ってる。
HbA1cが診断基準に組み込まれる遥か前から、「1ヶ月の平均値。3日間の努力でもぶれない。良いもの。」と説明してました。
110,140,200やら5.8、6.0の扱い、治療中の患者には7.0が欧米人の目標値、日本人は6.5というと励みに、挫けの防止に。4月から国際基準、修正しようっと。
肝機能:「G」ではじまる2つが40以下なら肝炎はなさそう。「γ」のついたやつは、脂肪が肝臓の隙間にたまってるのか、アルコールにまけはじめたのかで50を越える。程度も100,200を例示。ウチは相撲取りくるので500,800もあるから一般人の救いの値を参考に話してあげる。あと、クソ院長の大酒のみのクセに51が25年で1回のみも。
尿酸:うちの患者さんたち、4か月分とか8か月分を1年で消費する。ので、7.0位でもいちども発作なければOKっていう。3.5番目の成人病なりき。労力さかせたらあかん。
心機能とかいう項目は、「救急車用」といってすっ飛ばす。×まで書き込む。
腎臓:BUN尿素窒素/Crクレアチニンの2項目を、肉・魚の燃えカス、筋肉の老廃物とし甲斐のあるひと限定で説明。全般に、クレアチニンは昨今べんりなeGFR表つかって、どんくらい性能が落ちてきてるかを伝える。⇔落ちてないことを表現。大事な言い換え。
貧血:問題ない人は、Hb値に〇つけて、OKという。
血液学の白血球数:3500-9800使ってるので、正常値の幅が一見広いこと、じつはあなたの常がドンくらいなのかを覚えましょうねと、3000のひとにもhyper Normalゆうことばつかって安堵してもらう。95%で正常値をくくるのは実用上必要だが、こぼれの両サイドのnormalのかたには必ず付加する。
採血時、炎症あり、白血球分画とってれば、せめて好中球(分葉球)がキズ治し、菌やつけに増えてるとか、気管支に弱点あると好酸球増える。6%でも24%でも。全部がアレルギーって言わないで欲しい意です。浅学者へ。⇔挑戦的とだか。
赤血球数と血小板数は見ておきましょう。正常なら触らんでも良いが、貧血の見落としは痛いし、肝硬変の良いマーカーです、未だに血小板数は。「時代」?関係ないっしょ。
蛇足:特殊検査のなかでIgEは非特異的・総の部類もらさずとってほしいな。
特異的IgEがなんぼ6あっても、小麦6の子が、あさパン食べてれば、せめて総IgEが200切ってるのみてたら迫力のある説明できますもん。本物の検査は命がけの相模原見習いましょう、てかできゃせんでしょクリごときで。敬意を払うべし相模原へ。
口幅ったいけれど、外科系の方この文面気にいったら、そのまんまご使用OKです。
ご遠慮なく。
3題目 ECG
ちなみに研修医時代、週30例読解して水曜のあさ申し送り前に1時間、かの東区の編集委員の先輩にご指導受けました。全部測ります、あのコンパスもどきの歩く奴で。そのうえでの全体のアセスメント。つらかったですよ、でもほめられたらかなり嬉しい。
で、今は便利なコンピューター解析が、ハンディタイプにもついてるから便利ではある。
この時代医師の仕事は、Comの心配しすぎの所見を一つずつつぶしていって、本来の診断に絞り込むこと。
右下の10s撮ってるⅡ誘導を、「脈診るのに長めに撮ってる」と前置きし、VPCの1個ならこの電気の大きめなのが、じつは、しんぞの大事なとこに血液無いのに、空振りでぎゅってやるもんだから、手首では飛ぶんです。って。
V1-V6を指し示しながら、この123から6って6つが、胸につけた吸盤の真ん中から左わきの下
わきの下の奴ね。しんぞうの形見るんだけど、このとげの下向きの奴が段々うえなってきてるでしょ。5,6とかうえばっかりでしょ。んで、上下おんなじくらいのやつが2とか3にあれば大丈夫。これで2つクリアー。
最後に狭心症の予備軍かどうか(虚血性心疾患の意)を、この右にくくったさっきの1から6のサンプルで見ましょう。とげの後ろに小山があるでしょう。ここで谷啓の「がちょーん」の手形で、ドカンと打ったのがとげで、その放電分の充電がうしろの小山って手も動かす。
そいで、そのあいだのスロープがへこんでると良くないんです。⇔「良く」をつかう。
狭心症の準備してるかも、と循環器科へ紹介を誘導す。
こんくらいに、しときます。
うわさおききなれば、とだか、この3ヶ月で常人の3倍あったパワーを、
本来の「ヒトのため」、でなく
「わがみの防御」につかいはたさざるを得ない事態にみまわれ、現在充電中。てなわけで。また、9月号のどこかの稿に、きゃははっ。乞ご期待。殺しても死なんていわれます。