ウキウキ鳥見日記 -9ページ目

ウキウキ鳥見日記

バードウォッチングの日記です。

バードウォッチングに必要なものは、「フィールドガイド日本の野鳥」と、7~10倍ぐらいの双眼鏡だ。
あと、タカの渡りや干潟のシギ・チドリなど遥か遠くの鳥を見る場合は、20~30倍の望遠鏡が必要だ。

ところで、望遠鏡の画質を損なうのは色収差だ。
大学一年の時に野鳥サークルに入って鳥を見ていた時、使っていた望遠鏡はコーワのプロミナーの20倍だった。胸にはニコンの8倍双眼鏡だ。
プロミナーは、非常に鏡筒が長いのでまったく色収差が感じられずハッキリクッキリの高画質だった。
ただ、それの重いこと重いこと。
スリックの大型三脚に付けて担いで野山を歩き回るのは辛かった。
プロミナーは、射撃競技で的に当ったか確認するための望遠鏡(スポッティングスコープ)で、本来据え置き型であり、バードウォッチングで担いで野山を歩くなんてメーカーのコーワは想定してなかったのだ。
翌年、大学2年生の時に、ニコンがバードウォッチング用を前面に押し出した望遠鏡を出した。
フィールドスコープと名付けられたそれは、対物レンズから接眼レンズまでの長さがプロミナーの半分ぐらい(30センチぐらい)しかなく、素晴らしく軽かった(アイピース込みで1,030グラムぐらい)。

↑これがフィールドスコープ初号機。ネットで検索しても情報がでて来ないのは、ニコンは黒歴史としてなかったことにしているのかな。

天下のニコンから重さも長さも半分の望遠鏡が出るという事で、私は大喜びで、プロミナーは後輩に三脚ごとあげて、フィールドスコープとそれにあった小ぶりの三脚に乗り換えた。
世界のニコンが作ったフィールドスコープだから、画質はプロミナー並みに高画質だと信じていたが、使ってみたら、あれ?と首をかしげる画質だった。
物の輪郭が滲んだように汚ならしいのだ。色収差のある画像を初めて見たわけです。
やがてフィールドスコープはEDレンズ(特殊低分散ガラスを使い色収差を低減したレンズ)を採用したまともな画質のやつが売り出されたが、買い替える金などなかったから、いまだにニコンを恨みながら、毎年のように10月に色収差のひどいフィールドスコープを持ってタカを見に愛知県の伊良湖岬へ行ってるのだ。
いつかプロミナーに戻ってやるぞ!と思い続けて38年。
子供たちも給料を貰うようになったし、いよいよフィールドスコープからプロミナーに買い換える時が来たのかなと思い、妻に「俺ってば、バードウォッチングを趣味にしようと思うんだけどいいかな?」
妻は「うん、いいよ」
「バードウォッチングが趣味なら、プロミが必要なんだけど、買ってもいいかな?」と慎重に妻に言うと、妻は「プロミ?もうあるじゃん」と言った。
「いやあれはニコンのフィールドスコープといってプロミではない。プロミとは、コーワのプロミナーのことだ」
「欲しいなら買えばいいよ」

というわけで、一昨日の日曜日、柏のビックカメラでプロミを注文したのでした。今日届くのだ。わくわく。
コーワのカタログを見ると、時代の変化は凄い。プロミはバードウォッチング用途を前面に押し出しており、射撃用途などまったく無くなっている。
使っている野鳥の写真は、双眼鏡コーナーも含めて、オジロワシ、オオルリ、ギンザンマシコ、シメ、コルリ、メジロ、ノスリ、セイタカシギ、モズ、オシドリ、コサメビタキ、カワセミ、ノジコ、ツミ、アオバトと盛りだくさんだ。
バードウォッチング用途としているので、小型軽量化を果たしていて、素晴らしい。
買ったのはTSN-664M PROMINARだ。アイピースは30倍ワイド。
クラス最高レベルの明るさと光学性能を謳ったスタンダードモデルだ。
まあ、プロミの一番人気の機種だから間違いあるまい。

バーダーという言葉がある。珍鳥を追い求める人とか、見た鳥の数を競う人とかいう意味らしい。
日本の野鳥を300種見るのが生涯の目標としている私も、バーダーと言っていいかもしれないが、一般種も好きで、見た鳥の種類が増える可能性のない山中湖や奥日光にちょくちょく行っているから、私はバーダーというよりバードウォッチャーだと思っている。


コガラ (2020年5月1日 日光戦場ヶ原)

さて、昨日の8月21日は夏休みを利用して、妻と二人で北茨城~大子町の高原ドライブへ行って来ました。


常磐道を高萩で降りて、まずは高戸小浜へ。
日本の渚100選に選ばれた美しかった入江は、今や見る影もなく、なんだか汚い浜に変貌していた。
サザエ養殖のためか、入江の潮の出入り口に石を積んだため潮通しが極端に悪くなったのが、汚くなった原因かな。
20年程前、ここでテントを張った思い出の場所だけに残念だ。
その時、夜のちょい投げでイシガレイが2尾釣れたけど、潮通しが悪くなった今はカレイは望めまい。

高萩から内陸部へと入り、花園渓谷へ。


花園渓谷まで上がって来ると、酷暑は和らぎ爽やかな高原の雰囲気だ。
8月はもう野鳥は囀ずらないから、オオルリなどを探すのは難しい。

まあ、鳥見が目的ではないので、すぐに花園渓谷を出発して、福島県塙町を通って、茨城県大子町の袋田の滝へ。

これは入り口付近。入場料は300円だった。

最近、エレベーターで観瀑台まで上がれるようになって、このアングルで袋田の滝を見るのは初めてだ。

せっかく大子町まで来たのだからと、茨城県最高峰の八溝山へ行くことになった。
茨城県最高峰といっても標高1022メートルしかなく、栃木・茨城・福島三県の県境の山だ。
なんでも、ブナ・ダケカンバを主とする広葉樹の原生林は一見の価値があるとのこと。
車はどんどん山奥へ入って行き、八溝山登山口は鬱蒼とした原生林の中にあった。
原生林に阻まれて山頂どころか中腹も見えない。
登山口からは、車がすれ違うのに苦労しそうな細いつづら折りの道を時速20キロで上がって行くと、頂上付近に神社の鳥居があった。
八溝山の頂上には山そのものを御神体とする八溝嶺神社がある。
鳥居をくぐって、赤トンボなど虫だらけの石段を上がっていくと、神社の左側に城を模した展望台があった。


あいにく霞んでいて眺望はいまいちだった。

帰りに鳥居の所で「お邪魔しましたー」と大きな声で八溝嶺神様に感謝でご挨拶させて頂くと、「うむ、わかった。その心掛けやよし」と八溝山の神様がとてつもないプレゼントをくれたのでした。
つづら折りの道を来たときと同じ時速20キロで降りていくと、前方にキジ科の鳥がつがいで散歩していたのでした。
オスの方を見ると、赤茶色の模様のある異常に長い尾、わっ、ヤマドリだ!!
「ヤマドリ、ヤマドリ、ヤマドリ、ヤマドリ、ヤマドリ」と興奮気味に妻に教えると、「ふーん、キジとどこが違うの?」と事の重大さが分かっていないのでした。全然違うよ。

ヤマドリは、柿本人麻呂の短歌のお陰で名前が有名だから、普通にいる鳥という感じがするが、実はなかなか見ることができない鳥なのだ。私も昨日が初見だ。
ちなみにその人麻呂の歌は、「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」だ。
この短歌は学校の古文で必ず習うから、知らない日本人はいない。

生涯で300種見ることが目標だが、ヤマドリは 289種目だ。
ちなみに288種目は、今年の3月22日のタンチョウだった。

ヤマドリの写真は撮れなかったから、「フィールドガイド日本の野鳥」から高野伸二さんのイラストを。

キジとは全然違うよね。特にオスは。

余談だけど、このイラストを描かれた高野伸二さんとは、一度だけお会いしている。
1980年5月4日、対馬の佐護地区だ。
夕方、佐護川に架かる大岩橋のたもとで高野さんは、ひとり腰を据えてブッシュの中のキマユホオジロの群を観察されていた。
私も隣に座ってキマユホオジロのオスとメスの眉斑の違いなどじっくり観察することができた。
「あなたは◯大の人ですか」と高野さんは私に話しかけてくださった。
「いえ、私は違います」と答えると、「可哀想に、◯大の人たちはまだ何も見れてないそうです」と高野さんは言った。
そういえば2日前ぐらいに、ブッシュの中にコホウアカのメスがいて、◯大隊は高野図鑑(小学館発行「 日本の野鳥」)を見ながら、種を特定しようと、ああでもないこうでもないとやってて、ついに「ダメだ!こんな図鑑」と言い放ったのでした。
近くにいた高野さんはすかさず、「すみません」と言ったので、高野図鑑にダメ出しした学生は「えっ?えっ?」と狼狽しまくったのだった。
そんなことがあって高野さんは、◯大隊を気にかけていたのだろう。
対馬で◯大隊にダメ出しされたことで、その後、高野さんは「フィールドガイド日本の野鳥」の作成に注力される。
せっかく高野さんと話す機会ができたので、一番知りたいことを質問した。
「ヤマショウビンは今年も来るでしょうか?」
すると高野さんは、「来るよ。今夜来る。今夜来なかったら、明日の朝来る。去年はあの木に来た。一昨年は向こう側のあの木に来た」と躊躇なく答えてくださったのでした 。
この言葉から、その時の高野さんはヤマショウビンの到着を待っておられたのだろう。

佐護川河口のキャンプ場に戻って仲間に高野さんの言葉を伝えると、速水有人は「本当に高野さんはヤマショウビンが今夜来ると言ったのか? 信じた!」と甲高く叫んで、今夜の船で帰る予定だったのを即座に1日延ばす決断をして、翌5月5日は我々4名はヤマショウビン捜索に全力を尽くすこととなった。

運命の1980年5月5日の朝。
ほとんどが前の晩のフェリーで帰ったので、昨日まであんなにいたバードウォッチャーがまったくいない。
同期の東君とヤマショウビンが来ると想定される佐護川左岸を歩いていると、異様に目立つ翼の斑紋の鳥が、背後の山から飛んできて対岸の林の中に消えたのだった。
高野図鑑のヤマショウビン飛翔図を見ると、まさにその斑紋だ。
あわてて川の浅い所を横切って対岸へ(この浅いところに現在は湊大橋という名前の橋が架かっている)。
〈左が1976年の航空写真。湊大橋はまだ存在しない〉

他の仲間も何事かとやって来て、我々4人でヤマショウビンを探すと、程なく青と赤と黒の派手派手のヤマショウビンが見つかった。
ヤマショウビン見れたのは高野さんのお陰だから高野さんにお知らせしようと、相棒の東君がまた川をじゃぶじゃぶ横切って、高野さんがいると思われる方(大岩橋)へ走った 。
東君は、高野さんだけではなく、高野さんの奥様も連れて帰って来たのでした。
もういいというまでヤマショウビンを見たあと、高野さんの奥様から、「その濡れたズボンになんと言ってお礼を言ったらいいか分からないわ」と言っていただき、我々は感激で胸がいっぱいだった。




私の好きな野鳥ベストスリーは、1.キビタキ、2.オオルリ、3.ジョウビタキ(オスもメスも)と、いずれもヒタキ科の鳥だ。
もっとも学生時代は、キマユホオジロ、ミヤマホオジロ、ツメナガホオジロと、いずれもホオジロ科の鳥で、これらはなかなか見られない鳥だから、自ずとヒタキ科3種に好みが移ってしまった。

さて、今月車を買い換えたので、ロングドライブに行きたくなり、10連休のGWを利用して夫婦で2泊3日の北陸旅行へ行って来ました。
GWは野鳥の世界では渡りの時期で、能登半島輪島市の沖合い50キロに浮かぶ舳倉島は、海の上を渡る鳥の絶好の休憩場となっていて、多種類の渡り鳥が羽を休めて行くので、この時期は鳥の密度が非常に濃いバードウォッチャーには夢のような所だ。

よし、どうせ北陸に行くのだから、舳倉島まで行ってしまおう。
高速使って行くと高速料金が片道一万円位かかるから、半分ぐらいは一般道も走る計画を立て、4月27日の午前2時半に取手市の自宅を出て、6号国道を松戸まで、松戸からは外環道の下の国道298号で関越道へと行った。
スイフトRSハイブリッドは高速道路がよく似合う。軽い車体でぐーんと加速してよく走る。
関越道から藤岡ジャンクションで上信越道に入り、佐久南インターで高速を降りた。
いよいよ、蓼科高原~白樺湖~霧ヶ峰高原~車山高原とつづく絶景高原道路ビーナスラインのドライブだ。
スイフトRSハイブリッドは峠道がよく似合う。軽い車体できびきびとよく曲がる。
この車にして良かった 。実に楽しい車だ。
白樺湖に近づくと外気温が0度を表示している。やがて雪が降りだし、新緑のブナ・カンバ広葉樹林帯は、幻想的な雪景色となり、美しいことこの上ない。
霧ヶ峰は風が強く甚だ寒かった。

霧ヶ峰で富山市内までのルート検索すると、予定通り奥飛騨を通って行くと、8時間かかると出て、これではお昼に富山で白えび食べて、18時に穴水のホテルチェックインは不可能なので、諏訪インターで長野道に乗り、上信越道、北陸道と乗り継いで、富山市内の「スシ食いねえ!」という回転寿司のお店に入ったのは、13時半だった。
富山の回転寿司のうまさは尋常ではない。新鮮で高級で口の中でとろけるようだ。
あれを食べたらもう茨城で回転寿司は食べられない。
穴水のホテルで一泊し、翌朝は輪島港より定期船「希海」で憧れの舳倉島へ。
上陸し探鳥を開始するや美しい囀りが聞こえた。
「今のツキヒホシホイホイって言ってない?」と妻が私に聞く。妻はサンコウチョウの囀りは宮古島でなんども聴いて知っている。
「いやツキヒホシじゃないけどヒタキだから探そう」
探すとすぐに成鳥のキビタキ・オスが現れた。


「キビタキがいるならオオルリもいる?」と妻が私に聞く。私の好きな鳥ベスト1はキビタキだが、妻はオオルリがベスト1だ。
「舳倉島でオオルリ見たことないから、オオルリはいなんじゃないかな。あ、オオルリ!!」
オオルリがすぐ近くの枝にとまる。
「あ、あそこにもキビタキ!あ、あそこにもオオルリ!!」



なんと、好きな鳥ベスト1と2のキビタキとオオルリの群れに囲まれたのでした。これは夢か?
キビタキとオオルリは探鳥コースの至る所にいた。
キビタキとオオルリは希少種ではなく渡り鳥は群れで渡るから、舳倉島にいたなら群れでいるのは当然のことなのだ。
キビタキとオオルリの2ショットこそ撮れなかったが、なかなかのショットが撮影できた。
帰りの定期船は15時発だから14時頃に乗船したいので、実質探鳥時間は3時間半ほどだ。
あと1時間で探鳥終了という時に、学生時代の好きな鳥ベスト2のミヤマホオジロが出現。
あと30分で探鳥終了という時に、今のベスト3のジョウビタキが出現。

そして、あと10分で探鳥終了という時に脇がオレンジ色のヒタキのメスが出現した。
何だろう?こういう時は高野さんにお伺いを立てる。
高野伸二著「フィールドガイド日本の野鳥」のヒタキ類のメスを調べるとすぐに分かった。ムギマキのメスだ。
ムギマキは「数少ない旅鳥」だから、この日見た鳥の中で一番珍しい鳥はムギマキということになる。
珍鳥の島としては寂しい結果だったが、好きな鳥がたくさん撮影できて、とても楽しかった。
ちなみにカメラはα7Ⅱ(APS-C撮影オン)、レンズはミノルタAF75-300mmf4.5-5.6Ⅱだ。
妻は9月にもまた行きたいと言ってるので、また行けるかもしれない。

輪島港でへぐら航路(株)の親切な窓口のお姉さんに、撮影したキビタキとオオルリの写真をお見せしたら、「わあ、可愛い。私も舳倉島でオオルリ見たことあるんです」とのことなので、「オオルリ知ってるんですか?」と聞くと、お姉さんは「私も鳥好きなんです。私も舳倉島行ってオオルリの写真撮りたいです」とのことだった。
その後は、金沢で一泊して市場でノドグロの干物などのお土産を買って、一般道を奥飛騨経由で塩尻インターまで行って長野道に乗り、中央道から八王子で圏央道に入り、坂東インターで降りて取手へ帰った。