その中から、たとえば「石野真子歌集」をDVDに編集して真子ちゃんファンに差し上げたとする。すると例外なく画質がいいと驚かれる。
それもそのはずで、綺麗な映像を録画するために、屋根に指向性の高いアンテナを立てたり、折々の高画質デッキに買い替えたりして画質にこだわっていたのだ。
その大量のテープの中にEDベータのデッキ(EDV-5000)で録ったものが数本あり、それがけっこう問題なのだった。
というのは、まだDVDレコーダーが世の中に存在しない頃にEDV-5000が壊れ、S-VHSにもまだダビングしていなかったので、故障を直そうと修理の見積りをしてもらったらなんと5万円といわれ、テープ数本のために5万円はないなと、壊れたEDV-5000は廃棄してしまった。
再生出来なくなったテープには1988年~1990年の女性アイドル歌手が歌う映像ばかりがびっしりと録画されている。
やがて、DVDレコーダーが発明されると、昔にテープ録画した映像と新たにスカパーからDVD録画した懐かしい歌番組の映像とで、「アイドル玉手箱」というタイトルの70~80年代アイドル歌謡の大全集的なDVD-BOXを作ろうと思いついた。
するとやはりEDベータのテープが再生できないのが痛い。
EDベータ機が開発される前のスーパー・ハイバンド・ベータ機もEDベータ機とほぼ同時に壊れたが、こちらの方は秋葉原のベータに強い中古店で安く買えたからよかったのだが、EDベータの手頃な値段の中古はなかなか売ってなかった。
ある時、ビデオテープをDVDにダビングするお店の広告に対応ビデオテープとしてEDベータテープを挙げているところを見つけ、大喜びでダビングを頼んだのでした。
ダビングされたDVDを見たらがっかりだった。
画質が悪い。
ノーマルVHS並みの画質だった。
酷使されたデッキで再生したのだろう。電解コンデンサーが噴いてるんじゃなかろうか。
音声もハイファイじゃないし。
アイドル玉手箱は八枚組DVD-BOXで完成したが、スーパー・ハイバンド・ベータの高画質な映像の後に、EDベータにもかかわらずちょっと汚い映像が出て悲しかった。
それにしてもスーパー・ハイバンド・ベータの映像は綺麗だ。
解像度が高い上に、パナソニック製DVDレコーダーの入力デジタルTBC(タイム・ベース・コレクター)と入力三次元DNR(デジタル・ノイズ・リダクション)がノイズを一掃して、極めて高画質だ。
パナソニックの入力三次元は元のテープより数段画質を向上させる。
EDベータテープだってまともな再生機でパナソニックの三次元を通せば凄く綺麗な映像になるはずだ。
ここまでが前振りです(ずいぶん長い前振りでした)。
こないだの日曜日、守谷のワンダーレックスに行くと、EDベータ機 EDV-8000 が再生未チェックのジャンク扱いで4980円で売ってた。
そういえば、ワンダーレックス取手店ではスーパー・ハイバンド・ベータ機がやはり再生未チェックで同じような値段で売ってたな。
ベータテープがないから再生のチェックできないんだ。
もし映るならEDV-8000が4980円は安いから、うちからEDベータのソフト「前田真三・四季の丘(夏)」を持って来て再生テストをした。
このお店は素晴らしいことに客にジャンク品の稼働テストをさせてもらえるのです。
チェック台に備え付けの20インチ液晶テレビから出た映像は綺麗だった。
通りすがりの客が「お、ベータだ」と言って立ち止まる。
店員さんもベータカセットを見て、「小さいなあ」とびっくりしていた。
さて、ワクワクして家に帰り、早速EDベータテープをDVD化だ。
EDベータ機から出てきた映像は、解像度は高いものの少しノイジーな映像。
ところが追っかけ再生機能でたった今録画したHDDの映像を見ると、入力三次元DNRがノイズを一掃して、あっと驚く高画質ぶりだ。
スーパーハイバンドベータに負けていない。
ところが20分ほどで勝手に止まってしまった。
スイッチが壊れているのだ。
さらにテープのイジェクトも壊れていて、テープが取り出せなくなってしまった。

スイッチがすぐ切れることに関してはプレイボタンの上に消しゴム置いて、その上にセロテープの台を載せてスイッチオンをキープ。イジェクトに関しては上蓋あけて手でテープの出し入れを行った。

こうして騙し騙し数本のテープをDVD化したのでした。
〈追記〉
「スーパーハイバンドベータに負けていない」と書いたが、あれからたくさん見たら、EDベータのパナソニックDVDレコーダーによりDVD化された映像は、スーパーハイバンドベータのそれより一段画質が上だ。
はっきりくっきり、あたかも放送そのままの高画質ぶりだった。



