【久保憂希也 公式ブログ】日々是鍛錬 ~ビジネスは結果。それがすべて~ -201ページ目
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海外に住んでいることにして節税(脱税?)

先週の新聞に「メガネの「三城」会長が申告漏れ~30億円、大阪国税局指摘」の記事が載っていました。2003年~2004年の間、自らがスイスに住んでいたとして、株式数百万株の売却益約30億円を日本で確定申告せず、スイスで申告していたというものです。国税局の調査の結果、実態は日本で住んでいたとして、日本で確定申告しなければならなかったとの指摘を受け、追徴税額は数億円になるようです。


日本の税制上、日本で税金を納めるべき人は日本人ではなく、国籍には関係なく、日本に一定期間住んでいる人全員が対象になります。その逆に、海外に一定期間住んでいる日本人は日本で税金を納める義務は無く、住んでいる外国で税金を納めることになります。


メガネの「三城」会長のようなことが起こるのは、単純に海外の方が税率が低く、税金が安い(もしくはかからない)からです。実際には海外に住んでいなくとも、海外に住んだことに見せかけて、税金の支払額を減らそうとする現実は一向に減りません。それどころか、法人も含め、海外への所得移転は進む一方です。


日本の税率が高いので、外国並みの税率に下げないと、①日本企業の国際競争力が落ちる ②海外への企業移転が進み、結果として税収が減る ③優秀な人材が海外へ流出する 等、色々なことが言われていますが、税率は商品の価格と違い、下がれば良いというものではありません。問題なのは表面上の税率ではなく、税制の具体的な政策(中身)だという認識が大事です。

寄付に対する考え方

先日の新聞で、アメリカの超有名投資家であるウォーレン・バフェットが、ビル・ゲイツ夫妻が運営する財団に370億ドルを寄付したという記事が載っていました。ドルで数字を表示されるとピンとこないのですが、日本円になおすと4兆円以上。世界第2位の経済大国日本の税収が約40兆円。その10分の1以上の金額が個人で拠出されるのですから、その規模たるや私のような貧乏人には計り知れません。

世界第2位のお金持ちが、世界第1位のお金持ちが運営する財団に寄付したとなれば、まさに庶民からかけ離れた世界の出来事のように感じますが、ウォーレン・バフェットのコメントを聞けば、私も共感しました。「税金を払って財務省に任せるより、(ビル・ゲイツ)夫妻の財団はお金の効用を最大化してくれるこう言い放ったウォーレン・バフェットはさすがです。

国にお金を払うぐらいであれば民間でお金を効率よく運用・支出した方がいい、という考え方はどこの国も同じのようです。日本でも、国民から税金を多く取ろうとする前に、税金の無駄遣いをなくそうという気運がここ数年一気に高まっています。費用対効果を考えない公務員なんかにお金を運用を任せてはダメだということは明白です。

日本の1家庭あたりの寄付金は年間約3,000円アメリカの60分の1であることの理由はいくつか考えられますが、税金の問題も大きいと思います。

アメリカの税制では、寄付のために株式や債券を売却したらその売却益には税金がかからないそうです。この税制により、巨額の寄付が可能になるのでしょう。儲かった分を社会に還元できる仕組みがあるわけです。かたや日本の税制では、寄付した金額が(総合)所得から控除されるのみです。これでは寄付金を、株等の売却益で捻出しようと思うと税金を支払わなければなりません。

現在日本では経済格差が叫ばれていますが、経済界の頂点に立つ人が社会貢献を実現できるであれば、また議論の内容が変わってくるのではないでしょうか。
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