とっさんの幸せ。 -6ページ目

縁《えにし》

 
 彼の部活の先輩、後輩、私の仕事先の仲間。 


人間は必ず誰かと繋がっている  




それが 自分にとってプラスでもマイナスでも 



私と彼も仕事先と紹介先 のバイトという2つの繋がりがある

……いや、付き合ってる事も含めたら、3つ 






私の知るかぎりの繋がりを自ら断ってしまった 




一体なんのタメに……!? 
やはり、私の心の底では 《キラワレたのか?》
この思いが渦巻いている 

どんなに周りの友人が気に掛けてくれ そんな事ないと言った所で 自分の解決にはならなかった 

時に、不安になり 時に、彼の今が心配になり……


どうしてこうなったのか 
どうしたら以前のよぅに戻れるのか 

今、彼はどんな気持ちでどこにいるのか


毎日、こんな事ばかり考えていた 

考えて考えて考えて、考えていないと 今にも、自分自身の中の不安の闇にのまれてしまいそぅで怖かった 




そんな毎日は、いつしか忙しい年の瀬を迎えていた 


私の信じる彼との縁(えにし)も見えないまま、年を越えていった…… 



…………しかし


私達。…いや、少なからず私には彼に縁があったのだ
大げさだと笑われても、あれは運命だ。

消息

あの日、二度目の私達のクリスマス 




あれから、全く連絡がないまま時だけが過ぎていった 




彼がスキーの合宿に向かう日。 


彼の先輩から、私に連絡があった 


『あいつ合宿きてないし、連絡取れないけど、何かあった?』


先輩とは、面識があった。接客の幅を広げたく、彼に販売といぅバイトを紹介してもらい 私自身もバイト先での先輩なのだ 




『実は私も連絡取れないんです。会う約束もしていたのに、会えなかったんで心配で……。』

『……そぅ。君もなんだ。とりあえず、俺も合宿から帰ったら、あいつの家行ってみるよ』






彼は私だけでなく、大学の友人にまで連絡を断っていたんだ…………………



この時、私は今でも信じられないが 先輩の言葉を聞いて 安堵していた



  《キミモナンダ》


心の中で何度もリピートされる…… 




私、キラワレてない……? 


 なんと身勝手な発想だったんだろう… 

彼を心配しているハズなのに、自身の安心が先にくるなんて・・・

過去の事。

私は帰り道、彼と出会った時の事を思い出していた 


 私が働くファミレスに、彼はアルバイトとして入社してきた 

働く時間帯や、休憩時間がよく重なったせいか、よく話すようになっていった  他愛ない好きな音楽、映画、テレビ。 

前の彼とうまくいってなかった私は、話が合う彼にすごくひかれていった 彼の前だと元気な自分を保てていた

今思うと出会った時から、私はすでに彼の事を気になっていたのだ 
私は元カレと付き合ってる事を曖昧にし隠していた 
店の中きっと耳に入っていただろうが、彼もその事には触れてはこなかった



元カレとの事で悩んでいて思わず彼に原因を告げず、落ち込んだ感じのメールを送ってしまった 

 
『どしたの?いつもらしくないね。 大丈夫?? 
止まない雨はないよ 元気だして 気晴らしにどっか行かない?』

いつも真面目な会話はした事のない彼なのに。 


この時初めて誰かからのメールで泣いてしまった 

《止まない雨はない》

きっといつもの私なら、くさいよって笑っていただろぅ 

でも本当にその時の私にはすごく救いになったのだ 


後日、私と彼はその時期やっていた万博に行く事になった。 

深夜勤務明けなのに、眠気など全くなく 服や髪形念入りにチェックしていた 

万博は私にとって現実逃避の格好の場所となった 

閉園間際のフィナーレの花火では、込みあってよく見えない私を後ろから抱き上げてくれた 

もちろんそんなに大して変わる訳ないが、それでもそんな優しさに心の底からドキドキしていた 


いつの間にか私達は手をつないでいた 

帰りぎわお互いに引かれつつも別れた。 




……その数日後、私は元カレに別れを告げた



まだ暑さの残る9月の初めの出来事だ