とっさんの幸せ。 -2ページ目

時は流れても

 気が付けば、もぅ5月になっていた



彼の事だけを考えて、毎日を過ごしていたのが嘘のように、周りの友達と遊び、心から笑える事が増えていた 




私の事を心配をして 時間を作ってくれていた友達にすごく救われた  


今まで彼氏が出来ると 彼氏に時間をあわせるため、滅多に友達と遊ぶ事なく過ごしていた


『彼と過ごす時』


『自分と過ごす時』


『友達と過ごす時』



これらの中、友達と過ごす時が一番自分を救い、 

心のゆとりを作っていた 




私はもぅ大丈夫。 



彼との事がどうなったとしても、受けとめよう…… 


そう考えられるようになってからは、不思議な事に 私達の関係の行方よりも、
彼自身に何が起きたのかが心配になっていた 



最後に会わなくなってから 


友達との時間を楽しめるようになってから



私は彼にメールだけは続けていた 



【元気?最近どうしてる?私は仕事大変だけど、なんとか頑張ってるよ 今度カラオケにいくんだ】



こんな具合に、自分の何気ない日常を一人言のように彼に送っていた 




これでも私は満足だった 


これでも私は彼を《彼氏》だと思っていた 




心を落ち着けて自分と向き合ってみる 




どんな事があっても、 

どんなに時間が経っても、 


私は彼が好きなんだ 


……間違いなく愛している





…………そうでなければ




また再会したあの時に気持ちは動かなかっただろう

時間の流れ



……心療内科には何度か通った 



あれはなんだっただろう? 

テレビで見た事がある 


真っ白な紙に、自分が思う木を描いた。



私もやった 



真ん中に木を描き、


葉は…



描かなかった。


描けなかった訳ではない。
昔は漫画家になりたいと思い、毎日何時間も絵を描いていた。

でも、その時は思いつかなかった。

景色は少し描き加えた



それを先生に渡した。


これからの診察の参考にするらしい

一応、このテストの結果は教えてもらえるようだ



………結果は聞かなかった


なんとなく。 




何度か通って、おそらく精神安定剤をもらい服用した(先生は、元気になる薬と説明していた) 



薬を飲んだという安心感からか、しばらくは普通に生活できた 


勤務後はまだ自分の行動が怖く、絶えず誰かにいてもらった 




そうして2ヶ月程過ぎた…



その頃には、自分で自分を抑制できるようになっていた 





彼の事を除けば、普通の日常に戻っていった 




時に思い出す事はあっても

心の中でさざ波位しか気持ちが動かなくなっていった 



時間というのは 


なんて残酷なんだろう

胸のつかえ

受付の方に案内され、部屋に入る 



――室内には テーブルと2脚の椅子だけが部屋の真ん中に置かれていた 



椅子に座って待つよう促され、私は荷物を椅子の横に置き、座って待つ事にした 


数分するとノックがあり 部屋に40代位の女性が現れ、私の前に座った 




私は何を言われるか、 

先生の一言を待った… 




『はじめまして。』



次に何を言われるのか 私は先生の言葉を待った 


『今の付き合ってる方とは上手くいっていますか。』


………直球だな(苦笑)




外堀からだんだんと核心ついた質問がくると思っていただけに、正直驚いた 



【うまく】物事が問題なく進んでいる様…… 



うまく、おそらくいっていないだろうが、果たして悪いかどうかも 判断がつきにくい…… 


それより、その事象により自分の考えすぎな方が問題な気もする 



『彼氏とは2ヶ月位会ってません これといった喧嘩もした事はなかったのですが、突然連絡がとれなくなりました』



私は事実を伝えた。 



『それであなたは、その事についてどう思います?』


………いいわけない  



気にしていないなら、ここには来ない 



『気になって仕事が手に付きません。眠れなかったりします。やりすぎだとは思いますが、彼氏の自宅に何度も行ってしまいました』



いくら先生とはいえ、少しはヒクかなと思ったが、驚くどころか先生はにっこりほほえんで言った 


『本当に彼氏さんの事が好きなんですね』




しばらくはこんなやりとりが続いた  


先生はただ優しく私の話を聞き、うなずき、時に質問をなげてきた 



なんだか、母親に出来事を話しているみたいだ 




それに最近の自分をより冷静に振り返ってみれた 




一通りの話をしおえると
なんだかつい最近の事なのに、ずっと昔の事を話していた気になった 



彼の事忘れられるんだろうか………??