マイケル・キスク(Vo)とカイ・ハンセン(G)という初期メンバーが一時復帰を果たし、シングル『PUMPKINS UNITED』(2018)が好評だったためか、そのまま<PUMPKINS UNITED WORLD TOUR>を敢行した。7人編成でのツアーもまた好評だったために、7人でアルバム制作することを思いついたという。ぶっちゃけ、これを使わない手はなかったかもしれないね。あと10年経っていたら、サビついていたかも。
スタートしてから最初に流れてくるKEEPER OF THE SEVEN KEYS的な#1「Out of the Glory」や、かつての「Dr.Stein」を彷彿させる#2「Fear of the Fallen」など、敢えて意識している面も拭えないが、実際にはキーパー・サウンドに回帰したわけではなく、誤解を恐れずに言えば、あくまでアンディ・デリス(Vo)在籍時のメロハーやポップに近い音楽性が基本である。大トリを飾る12分超の#12「Skyfall」も長さを決して感じさせないのが好感。どの楽曲も、キーパー・サウンドらしさがないのに、なぜか、彼ららしいのである。
ハッキリ言って、このバンドの音楽はメロディック・スラッシュ・メタル的な音楽性から始まり、ヴォーカリストを変えるごとに聴きやすくなっているのだが、そこはファンであるなら、誰でも承知の通りであろうし、いまさら説明するまでもない。事実として、物事と言うのは、懇切丁寧にすべてを教えてもらうと、よけいバカになる。自分で考えて、開拓していく必要も迫られてくるのだ。自分を高めるとするなら、いちいち疲れる作業が必要なのである。
そういう意味では、私はDREAM THEATER的な音楽から入り、中学の時に聴いたX JAPANの延長線で”アメリカの音楽”を先に聴いていたためか、この手の音楽のファンとしては、順番はむしろ逆であった。今はなくなったけれども、スクランブル交差点の裏手にあったHMV渋谷店や高島屋の中に入っていた新宿EAST店に足を運んでは、雑誌(現在のBURRN!)を読み漁ったり、店員に尋ねるなどして自分で発見したモノだ。つまり発見とは”自分が変化すること”なのである。これが一番強い。悪い意味で言えば、だからカルト教団に入信しかねない人もいるわけだが、それはひとまず置いておく。ただ意味合い的には近く、信奉者という意味で、ファンになるって、それは自分が変化した証拠だ。
そういう意味でも”分かるは大嘘”だし、他人になんて、分かるはずもないけど、自分の中での良さは分かっているつもりだ。そこまで強く意識したつもりはないし、もう好きで好きで堪らない!というワケではなかったのだが、ここまで作り込めるのには恐れ入る。だって、過去の作品と比較されるのはやむを得ないから、相当にプレッシャーがかかっていたはずで、それでも、なお、ここまでやってのけるあたりは、脱帽の一言であろう。アメリカのメジャーな音楽よりも、ヨーロッパ系のマイナーな音楽の方が、日本人の体質には合っているし、例えばAVENGED SEVENFOLDやTRIVIUMらが2000年代に入るなり、ヨーロッパの音楽を意識したのは、やはり耳にとって良く聴こえたからだろう。
90年代後半から2000年代前半においてHELLOWEENが遅ればせながら本格的にアメリカ進出を果たし、フィンランドやスウェーデンなど北欧のアーティストも続いて上陸していたためか、本当の意味で世界的に、この手の音楽は広まった。良ければ真似してみるし、悪ければ最初から、やらない。こうやって、うだうだと薀蓄を噛ましていたとしても、感覚の世界で言えば、悪く言うと、良ければパクるとか、だいたい現代人がお得意とする「無関心・無神経・無感覚」であれば、見聞きすることもない。例えば私のように「天皇家がキライだ!」といえば、それは天皇家に関心があるという裏返しなのだ(良い意味でないのは確か)。中国などのパクリ疑惑も、あれは関心があるからこそなのだ。
もし関心がまったくないとしたら、彼らに出会うことすら、なかっただろう。そういう意味では、本当に、本当に、今、思えば歴史を残したアーティストだと言えるだろう。その歴史はあくまでHR/HMの範囲内であるが、だいたい最初は「もしやヘヴィメタルってヤバイ音楽なんちゃう?」という思い込みも少なからずあって、それは今現在HR/HMを聴き続けている人間であっても、たいていは同じ経験をしている。私は思い込みがなくなった以降に「HELLOWEENってどんな音楽?」と尋ねられたら、自信をもって「親しみやすい音楽だよ!」と答えることになっている。誰でも気軽に聴けるヘヴィメタルを体現した彼らに、今回、我らの広瀬編集長(BURRN!)が事実上の満点である「99点」を献上したのと同じく、敬意を表して高得点を与えずには、いられないだろう。彼らには、もっともっと輝いて欲しい。ツアーが組まれるその日まで。【99点】
P.S. 姪っ子について
昨日・今日と土日だから、一家総出でウチに来やがる。ハロウィンのコスプレを2歳の姪っ子にさせる。もはや着せ替え人形の玩具状態。一緒におままごとを始めると、あーせーのこーせーの言ってくる。2歳にしては、知恵がついてきている。大人であーせーのこーせーの言う人は、性格的に痛い人だけどね。わざとルール破りしようと試してみると「あっ!ダメでしょ!」と、ちゃんと言ってくる。実は2歳7か月にして、ある程度、言葉になっている。将来が楽しみだ。
人間社会だから、近くの公立小学校に入れて、東京の私立中学を受験させて、ということは、もうすでに決まっている。これも予定だから。だって、国家が崩壊したり、地球がなくなったら、それも出来ないわけだし。それでも、人間社会は、そういう世の中を作ってしまった。だから、姪っ子にはいずれ、知識の限界を教えなければならなかったりする。大人でも、分かる分かる、と自己主張する人がいる。では、なぜ宇宙が誕生したのか?って、分かるわけないでしょう。なぜ生きて、なぜ死ぬのか、誰が分かるかってんだ。実際には、この世に意味なんて、あるわけがないんだ。でも生きている価値って、地球が宇宙空間において誕生する確率として、25Mプールにバラバラに分解した時計を投げ入れて、自然の流れだけで組み立てて完成する確率だと言えば、生きてるだけって、どんなに異常なことか、分かるんじゃないの? 自然が大切って口では言うけど、本当は思っていまい。
実はイジメが起こる原因って、お金ではなくて、自然のモノが許せないから、だから地球をイジメ続けている現代人。土をコンクリートにすれば、昆虫の行き場がなくなるに決まっている。人間嫌いになり、終いには、子供が不登校になったり、大人がコミュニケーション能力の低下で、インターネットしか、会話できなくなってしまっているが、インターネットなんて、見ていると、自己主張をぶちまけているだけの人が多く、会話として成立していない。姪っ子・美宇には、そういう大人にだけはなって欲しくないと思っている。だから天気が良い、降水確率が0%~10%だけの日でもいいから、自然のモノを見るように促している。これなら雨に降られることはない。だけど土に足を取られることは、必ずある。
森に入って「気持ちいいな~」だけだって、構わない。神奈川県だと鎌倉だし、千葉県なら、鋸山や海沿いがある。東京都心や千葉・幕張など、千葉・浦安にはディズニーリゾートなる空想世界があって、そういうところも、別にいいんだけど、そればかりに入り浸っていると、感覚が鈍くなるんですな。だから、大人だと思って見ていると、50代~60代のオッサンでも、かなり幼稚的な人が少なくない。それしか知らねーの?とか、それしか出来ねーの?って感じ。勘違いしてはならないのが、本人は、そんなはずないと思い込んでいるし、自分は年上だとマウンティングしてくる人こそ、要注意人物なのだ。思い込みの激しさは、例えばオウム真理教のような信者と同じで、同じ場所ばかりに籠っているから、他者からみると、明らかに変なのに、脳の感覚が鈍いから、本人が、他者を騙していたり、他者に騙されているとは、夢にも思っていない。美宇は”マトモな人”に育てたいと思っている。勉強うんぬん以上に、本当は、そっちの方がかなり重要だったりするんですな。

















