本郷和人「日本史でたどるニッポン」(2020) | 北条得宗家の鎌倉めぐり

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養老孟司教授の著書に書かれている医療や歴史の他に鎌倉散策の様子などを中心に紹介

 

2020年に出版された歴史書の中で、個人的に恐らく最後に読む本であろう。新型コロナウィルス(COVID-19)も相俟ってか、かなーりズルズル行ってしまった。最初は西日本から始まる。それは当然のことで、宮崎県あたりまでが日本だった。オビにもある通り、明石は鄙であり、太宰府はド田舎だったのである。そんなこんなで、飛鳥文化を築いてきた。私的に恐らく、朝廷が始まったキッカケは渡来人だったと思っている。中国や朝鮮半島あたりでなければ、当時はそこまで文化が発達していないと言える。

 

 

本当の日本は妻問婚といって、嫁の家に通うのが普通だった。男が上ではない。今でこそ大和魂としての日本男児は口先ばかりでパワハラのごとく大声で言い負かすのが大多数だが、本当は「イエ制度」なのである。つまり「実力・才能」より、血縁関係が重視された。ヌルイ人たちなのだ。つまり、他人に厳しく当たり散らすわりに、自分に甘い。インターネットを見ればよく分かる。

 

 

この頃になるとユルユルだもんね。それこそハシタナイ陰部から小便垂らして、廊下を小便まみれにして嫌いな女が通れないようにするというみみっちいイヤガラセ行為も横行していた。今現在と同じなんだよ。つまり平和になるとやることがなくなるので平安時代はすぐ終わりだった。これが現代人に通じるのだが、本当に理解できているかどうかは分からない。日本人は極端だよね。

 

 

モンゴルに舞台を移せば、チンギス・カン(チンギス・ハーン)という人が、真夏は30度以上で真冬はマイナス30度以下という場所に現れる。首都を大都(現在の北京)に移転し、中央アジアを含めた中東一体を占領し、ヨーロッパの一歩手前にあるトルコまで領土を拡大するんだけど、それってやっぱり実力主義だからなんだよね。日本は明治以降の日露戦争・日中戦争および太平洋戦争以外は略奪していないわけだ。だからという訳ではないが、国内での足の引っ張り合いが激しい。イジメが大好きだもんね。

 

 

唯円という僧侶が親鸞聖人に対して『歎異抄』に書いたことは、親鸞聖人の師である法然が”南無阿弥陀仏”と唱えなさいと言うからやっている。阿弥陀如来に対して信心深くはないということなのである。つまりは師匠の言う通りにやっている。新興宗教でも稀に見られることだけど、師匠の言う通りにやることは身体所作に通じる。このあたりが今現在の日本人にとって足りないこと。

 

 

浄土真宗なら多分そうだし、だからこそ安泰なのであって、良く思わない民衆が廃仏毀釈を行った。明治政府が命令したのではない。民衆が勝手にやったんだ。中国文化大革命が1966年から10年間に渡って実行されたように、現在残る仏具や経典などの2倍もの量のモノが破壊されたという。私的に、こういうのを「やっぱり日本人と中国人は遺伝子が99%も一致するから結局は同じなんだろ」と述べている。これ如何にして違うと述べ始めたのか。最終的に一つにする脳だから歴史は繰り返すに決まっている。

 

 

ちなみに我が祖でもある菅原道真が京都で公務を行っていた時、藤原時平をはじめ、ほとんどは藤原氏の独裁政権だったわけで、菅原道真は実力で登り詰めた一人だから、学問の神様として崇められているのかもしれない。科挙は行われなかったけど、テストをした時でさえ、例えば「日本における地震との関係を述べよ」などと、公務とはまったく関係のない訳の分からない悪問だったりして、60点で「中の下」であったが実は、この時に100点を取る者は誰もおらず、全員が60点で「中の下」であった。しかも評価の理由が罵詈雑言を並べ立てているような感じであり、れっきとした評価ではない。それでも菅原道真は右大臣まで登り詰めたのであり、これを実力以外になんと言うだろうか。素晴らしい人なのだろう。ただ足の引っ張り合いは日本人の専売特許だね。

 

 

九州に左遷されて、九か国を束ねる九州知事にあたる人だって、かなり偉い。だけれども、なんだこの畜生め!と当時の人々が思ったからこそ、内裏(皇居・京都御所)に雷が落ちたら「祟りだ!」とか言う始末なのだから、京都にこだわったのは間違いないだろう。それだけ京都の一極集中だった。どこかで聞いたことないか。今現在の東京一極集中と、それほど変わらないと言える。

 

 

医者・政治家・僧侶はたいてい世襲である。仏教は本当は輪廻転生なので無墓制。東南アジアに行くと、無墓制の仏教の国がたくさんあるのに対し、中国で儒教が合体して「祖先を祀る仏教」として有墓制になった。年上を敬うって、威張って良い、ということではない。そう考える人は孔子が書いた『論語』を読めば、本当に威張ることを教えているのかどうか、分かるはず。そうではなくて、奉ることである。だから韓国では後輩が土下座して先輩を見送る受験戦争が勃発するし、中国だって試験中に車のクラクションを鳴らしたら逮捕されるかもってなだけ重要なこと。自由とは西洋文化を日本独自に履き違えて取っていたと誰も知らず。

 

 

日本で実力主義は大嘘です。それでも世間が中心になる。良いとか悪いとかではない。悪い例としてはブラック企業のように忖度しなくては、自分が生き残れない社会ということ。高卒のビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズから比べれば大した額ではない。

 

 

いったん再び海外に話が飛ぶけど、なぜインカ帝国が滅びたかって、それは都市文化であり、スペインの占領なんて微塵も感じていなかったからであり、やはり争いが怒らないと平和ボケして腑抜けした人々が堕落する生活になるのである。それが良い悪いではなく、そういう歴史を辿っている。そうなれば、日本がダメになったのって、他人から奪うだけ奪って腑抜けになったからだ。

 

 

時計はロレックスでえ~、車はベンツでえ~、バッグはシャネルでえ~、というように室町幕府になると中国の唐物(陶器など)が人気になる。贅沢三昧が出来るようになる。今現在から見れば、それほどでないと思うかもしれないけど、でも贅沢品はある。

 

 

唐物文化はいわゆる「海外ブランド」であり、ブランド好きな国民性は今現在に限ったことではない。実はロレックスの時計とシャネルのバッグは、九州の同級生の従姉が所有しているモノと同じモデルである。自分へのご褒美としては別にいいんでしょう。

 

 

そこから「詫び寂びと幽玄」が生まれる。つまりよく思っていない人たち。なんだあんなに贅沢しやがって…という一種の恨みは現代に通じる。何でアイツだけ、自分が下なの気に食わないから足を引っ張ってやろう!となる。でも茶室は残すべきだろうね。

 

 

私的にキッカケは「リーマン・ショック(リーマン・ブラザーズの破綻)」だと思っていて「派遣切り」が注目されたけれども、だからこそ民主党に託した。4年未満で終焉を迎えたのは、やはり「イエ制度」が関係している。自民党は日本人に合っているから、いくら憲法条で改正しようと訴えかけても、後々に「戦争しなければならない」ということまでは考えず、馬鹿の一つ覚えで投票する。民主党政権の時は確かに官僚が政治家に鞍替えする「実力主義・才能優先」が平安時代以来、復活した。私もある程度その方が良いと思うから、やはり一周回って中道左派に回帰するのである。自民党一党独裁政権にすべてを委ねる平和ボケな世の中よりは、ある程度、自由度が高い。女性活躍推進法よりかいいよね。別に推進しなくても自分たちで変えればいいわけだし。

 

 

別に「男女平等」は今に始まったことではない、というのは養老孟司教授のところでも散々、述べた。むしろ昔の方が男女平等だったのであり、現代はむしろ、いちいち口で言わないと平等にならない、ということ。明治以降に中国から来た家長制度が明らかな原因だよね。太平洋戦争から見れば時代遅れだという。そりゃあウソだよ。もっと歴史を遡れば最初に書いた妻問婚がある。一神教とか経典とかって中国からだしね。日本はもともとひとつではない。ある程度は多様性を認めていたのは自然豊かなおかげ。

 

 

豊臣秀吉からすれば一向宗(安土桃山時代における浄土真宗の呼称)を大切にしていたの分かるでしょう。キリスト教が入って来れば、阿弥陀如来に失礼にあたる。だからキリスト教を徹底的に嫌った。そうやって、古来より西日本と東日本に振って首都を移転してきたように、上手い方法を見つけなければならない。ゴチャゴチャに混ぜると滅茶苦茶になってしまう。だから制限していた。現代人の自由なんて、せいぜい自己主張が精一杯なんだろうけどね。イエ制度で可哀想なのはあり得ないんじゃないかな。大阪にも副首都を設けた方がいいのは私も以前から思っていたことなので、省庁などの庁舎を大阪や京都に移転し、東京とつの首都を造った方が、長い目で見れば有利なのは知っている。実はこれ明治期に大久保利通がすでに提唱していたことなんだけどね。

 

 

最後に本郷和人教授が30年間、学生に問うテスト。問題が「日本史を学ぶ意義はあるか?」というモノ。忖度して「ある」と必ずしも答えなくていい。ないなら、ないなりの理由を書けばいい。それなりに納得出来れば、高得点が出せるようになっているという。だいたい大学の勉強って、どこ行ってもそんなもんではないですかね。すべてが「主張・否定・検証・因果」によって成り立っている。高校までのように正解を出すのはもちろんだけど、教養という意味での学習から一歩、飛躍した形だ。先述のお金持ちって、実は教養力に比例しているらしく、個人的に池上彰氏は好きな方ではないけれど、現実的に「仕事力=読書・読解力」というのだけは当たっていると思う。いかに相手の裏を読み取るかがカギになる。自分の考えより、他人の考えの方が、より現実的。

 

【ニューソース】

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