別府温泉に行ったのは3年くらい前かな。
地獄めぐりしながら、
『西遊記』の世界だなと
思いました。
温泉のように、
湧き上がるエネルギーが、
この物語にはある気がします。
役決めの練習をしていても、
そんな湧き上がるエネルギーを、
子どもたちからも感じます。
その声の中には、
その子の性格や、
持ち味がたくさん見えます。
猪八戒の役決め、
「悟空ばっかりずるいよー」、と、
言ってもらうのですが、
面白いのは
兄弟がいる下の子の方が、
言いながらピンときています。
一人っ子で大事にされている子は、
あまり人をズルイと見ないみたい。
上の子は、
なんだかちょっと、
「ズルイ」って言いながらも、
あきらめ、というか、
譲る気持ちがあるというか、
不満げ度合いは低め。
下の子であっても、
兄に大事にされた末っ子ちゃんは、
ズルイと思ったことがないみたい。
役決めで声を聞きながら、
一人一人の個性を知り、
活躍の場を考えます。
この子が、
今、出会うと、
人生が豊かになる役はなんだろう?
たとえば、
猪八戒のさっきのセリフ、
実感がある子が、
何度も何度も練習で言っていると、
今までその子が抱えていた、
人を「ズルイ」と思う不満は、
声になって抜けて、
気がつくと、
「ズルイ」と思うのは、
こういう感情か〜と、
客観的に思えて、
自分の不満を整理して素直に
伝えられるようになります。
また、逆に
人に妬まれるようなタイプの子が、
そのセリフを言っていると、
妬みの本質が理解でき、
自分に原因があるわけじゃないことを知り、
妬みに対する対処法を
考えられるようになったりします。
それぞれの役の中にある
本質的な性格を、
別人格として出会い、
理解して、表現していくことで、
自分の世界が深まっていく。
演じることの醍醐味です。
だから、できるだけ
今のその子に必要な役と
出会ってほしいと考えています。