考えるから立ち止まる | こどもの心はミュージカル!

こどもの心はミュージカル!

こどもの心は喜びにあふれ、歌いたくて踊りたくて、ワクワクしているものです!それは『創造力』『表現力』があふれているから。
その力を、ミュージカルをはじめとする全身表現で、大きく膨らませたい!――― それが私の大きな夢。


ミュージカル本番に向け、
衣装を着た通し稽古が始まりました。

初めての衣装に、
みんなは戸惑い、
テンションがあがり、
ワイワイ賑やかになります。

そして、稽古に入れば、
突然、セリフが出てこなくなったり、
カチカチになる子もいます。

私は、戸惑い、
固まる子どもたちをみると、
いいぞ!と、思います。

固まるのは、
本番を意識して、
あるいは通り稽古で流れが見えて、
いったん、自分のすべきことを
考えているからです。

考えていなければ、 
今まで通りでいいのです。

考えるから、不安になったり、
わけがわからなくなったり、
固まってしまったりするのです。


ミュージカルを始めたころ、
私の口ぐせは「考えて!」でした。

今、自分はどうすべきで、
なぜ、そのセリフを言うのか。

どういう理由で
どこから登場して、
どこに向かって歩くのか。

上手にいく、とか、
下手にいく、じゃなく、
ウサギ役は、どこに向かって
進んでいるの?

なぜ、急いでいるの?

言われたとおりに動くのではなく、
理解して、考えて動くことを
子どもたちに言い続けました。


私は、師匠のミュージカルに
子どもの頃に出たのち、
学生時代に劇団に入っていたことが、
2年くらいあります。

その時、演出家に言われたのは、
「考えるな」でした。

なぜ、上手から下手に向かって
その役が歩くのか、
なぜ、ここで突然振り返るのか、
考えなくていいから、
言われたとおりやってくれと、
口を酸っぱく言われました。

考えずに、言われたとおりに動けば、
動かす側の思い通りに動くから、
たしかにラクチンです。

子どもたちも、
学校などで言われた通りにしているから、
最初は、「考えて」の意味も
わからなかったみたいでした。

「話を聞くべき時」とか、
「静かに座る」なんて動作を
「考えて」は慣れています。

でも、舞台の上で、
そのことをするための
その役柄の動機を
「考えて」だから。

今年は第8回のミュージカル公演。

出演している子どもは
入れ替わっても、
考える歴史が積み上がり、
みんなが、
自分の配役の意味を探して、
考えています。

考える時間が長い子は、
今までまじめに取り組んできた証拠。

自分の役の大切さに気づき、
何を伝えたいか、
たくさんのセリフから感じて考えるから、
わからなくなる。

衣装の着替えがうまくいかないと、
子どもたちは、考えて発言してくれます。

この紐がジャマ。
この場面に出たら、間に合わない。
ここで、手伝ってほしい…

いいぞ、いいぞ!

みんなが自分の
本当に伝えたいことに気づき、
それを実行していく力をつけていく。

まさに、今年のとぶくじらの
「アリス」のテーマです。

「少女は、(ウサギの)ホール(穴)を通り、
ホール(広間)にたどりつき、
ウォール(壁)を乗り越えて成長する」

みんなも
私も 
日進月歩。

立ち止まって、考えて、
また、大きく前進していきます!