今日は大阪の小学校で
ミュージカルを指導してきました。
山道を車で登りながら、
木々の紅葉を嬉しく思いました。
台風21号の被害を大きく受け、
一カ月も水道が止まり、
学校に通えなかった地域です。
山にはまだ、倒れた木も
たくさんあります。
でも、生きている木は、
美しく色づいています。
何度だって、立ち直るしなやかさを
私は紅葉に見た気がしました。
本番まで、あと10日くらい。
大丈夫かな?と、
セリフや演技を見ていると
心配な面もありますが、
今年はチームワークがいいから
きっと大丈夫だと思えます。
みんなが楽しくミュージカルをやっている。
これは、最大の成功への近道です。
まるで、夢みたいだとか
きれいごとだとか思われますか?
いいえ、楽しいこと、
好きな気持ち、
そして仲間がいることは、
なにより偉大なパワーになります。
それは、自主的に成功しようという
強い意志になり、
困った仲間を見捨てたりせず、
フォローしあう優しさになるからです。
2年ほど前、
私自身の体力と精神力、
学校に行くレッスン数と内容もキツくて、
先生方ともコミュニケーションを
私が怠っていました。
本番にしあげるために、
その学校で始まって以来、
厳しく叱りつけた指導を
したことがあります。
本番はなんとか間に合い、
周りからは評価も得ました。
もちろん、楽しめた子もいました。
表現好きな子は、
十分に活躍できたし、
輝いていました。
大きな失敗やミスもなく、
安堵できました。
でも、一部のこどもたちは
終わった後に疲れ果て、
中にはミュージカルを嫌う子も
作ってしまいました。
私は、
こんなミュージカルは二度と嫌だと
心に誓いました。
楽しくない、強制でやらせる表現活動は
人の心を狭く、苦しくさせます。
指導時間が足りないなら、
内容を減らして充実させればいい。
指導する私に体力がないのは、
自分の年齢に応じた
体力向上に努めなくてはいけない。
精神力は、
ちゃんと自分をいたわったり、
大事にしたりして、
こどもと向かい合った時に、
柔らかさを保てるように、
日々を過ごさなくては。
それから、少しずつ、
生活を見直し、
自分を立て直し、
先生方とも話し合うことを大事にし、
翌年から、ミュージカルはまた、
楽しい空気に戻りました。
今年は凄くいいムードです。
こどもたちからは笑い声がたえず、
先生同士も私もふくめ、
みんなコミュニケーションも良好!
こどもからも先生からも、
たくさんアイディアが浮かび、
ミュージカルは豊かになっています。
でも、私が
叱り飛ばした時に、
表現を嫌いになりかけていた子が、
何人かいて、その子たちはまたまだ…
私は彼らに表現の喜びを取り戻すことが、
全体の成功にも大きな鍵だと思っています。
去年は、「表現は嫌なばかりじゃない」を
目指して、彼らは気楽な出番にし、
その子たちの負担を軽くしました。
彼らはリラックスしながらしていたけど、
私には距離を置いたままでした。
私と近づくと、
無理難題を押し付けられるかも…
そう感じたのでしょう。
今年は、昨年の努力が報われ、
最初から少し楽しそうでした。
演出的に彼らの得意を活かし、
やっとミュージカルを
自主的に参加する場面もあり、
楽しみ始めてくれました。
でも、一度失った信頼は
なかなか難しいと、
思っていたら…
今日、担任の先生の計らいもあり、
調理実習に呼んでくれました!
一緒にゆで卵を作りながら、
いろいろおしゃべりして、
一緒に卵を食べて、
「おいしい」と笑い合い、
一緒に片付けもする。
調理実習では私も生徒でしたから、
みんなと同じ目線に立てた喜び!
私もやっと、
彼らと打ち解けられてきました。
笑いあえた嬉しさったらありません。
学校にはいろんな子がいます。
友だちとケンカして
気持ちが沈んでいる子、
自分に合う友がいないと感じる子、
自分に自信がない子、
イライラしてる子、
悩みを抱えている子、
だんだん吹っ切れてきた子、
楽しくて仕方ない子、
マイペース、のんびりや、自由人、
やんちゃにせっかちさん…
張り切り屋、空気が読みにくい子…
その一人一人に、
できるだけ寄り添い、話をし、
共感して、彼ら、彼女らから
表現が引き出されてこそ、
本当の表現活動の価値でしょう。
その学校では、
先生方も試行錯誤しながら、
こどもたちの表現をみてくださいます。
私もやはり、
ボディートークの力も借りながら、
私なりの目線と共感力をできるだけ発揮し、
彼らと共にありたいと思うのです。
うまくいかないことがあっても、
また、こうして、
うまく行く日も来るから。
何度だって立ち直るしなやかさな強さで
前に進んでいきたいです。