ミュージカルに来ている子が1人、
お父さんのお仕事で7月初旬に
遠くに転勤することになりました。
それが分かってはじめての練習。
お母さんの配慮で
引っ越すギリギリまで
通ってくれることになったので、
みんなにもその話をしました。
みんな、なにも変わりないように
いいえ、それ以上に
いつも通りの賑やかさ。
引っ越す彼女は、
一番大騒ぎで練習しています。
まるで、楽しそうに。
彼女も、みんなも。
でも、みんなの心には、
こんなにも言葉にならない思いや、
言葉にしちゃいけない思いが
あふれているのかと、
私は胸がいっぱいになりました。
寂しい、悲しい、
行っちゃヤダよ。
行かないで。
一緒にミュージカルしようよ。
せっかく仲間になったのに。
引っ越しのバカ。
大人の事情なんて知りたくないよ。
行きたくない。
みんなといたい。
寂しい。
寂しい。
寂しい。
・・・・・・
たくさんたくさん
あふれる気持ちがあって
でも、こどもだって
言っちゃいけない言葉が
あるのを知ってる。
認めちゃいけない心があるのも
知ってる。
困らせちゃいけない人がいる。
だから、笑う。
そして、全身で表現する。
いまの自分にできる
言葉じゃない
言葉にならない言葉を。
彼女たちの体から
発せられていたのは、
彼女を大好きな気持ち。
彼女もみんなを大好きな気持ち。
ボディートークのプログラムに
ボディーメッセージというのがあります。
体をよくほぐし、
体の内側からくる蠢動に身を任せ動くと、
自分の本音が出てくるプログラムです。
それを発展させたものが、
ミュージカルの振付の元になる
即興表現です。
私は近ごろ、
毎日、ボディーメッセージをしています。
大人になるにつれ、
伝えちゃいけない思いがあったり、
言葉にしちゃいけない言葉があったり、
伝え方を考えなきゃいけない気持ちが
増えていきます。
生きることは複雑で、
ありのままに生きてばかりは
いられません。
でも、だからこそ、
ありのままに戻り、
自分の気持ちを出さないと苦しくて、
もどかしくて、
自分が硬くなってしまうから、
無心になって蠢動に身を任せ、
心を開放する場が必要です。
人前で吐き出せない言葉や
言葉で認めちゃいけない
不安や気持ちは、
ボディーメッセージで
発露してしまうに限ります。
本当の自分を出せるから、
次に踏み出せる。
それって、すごく大事だと
かねがね思っていたけれど、
今日、こどもたちを見て、
こどもたちがこんなにも、
心を表現の中に漂わせているのを見て、
自分の気持ちを出してしまうことで、
自分のありのままを認め、
その気持ちすら、
乗り越えていく力を感じました。
表現するっていいなぁ
仲間と表現するっていいなぁ
言葉をこえたコミュニケーションって
すごいなぁ
改めて思いました。
彼女はきっと、
寂しさも辛さも乗り越えて、
ハツラツと引っ越すことでしょう。
仲間から
表現を通して、たくさんの
言葉にならない気持ちを
受け取っていたから。
そして、残されたお友だちも
さらに輝くことでしょう。
彼女がたくさんのものを
託していたから。
心は見えないけど、
いつも、あふれていますね。