こどもの頃、親にも先生たちにも
口を酸っぱくして言われ続けた
「相手の気持ちを考えましょう」
それは、あたかも、
こどもがわかってないから
教えるように言われがちです。
でも、私がよく思うのは、
「子どもの気持ちは考えてるの?」です。
子どもに対して、
「どうせ、こどもだからわかってない」と、
乱暴な口の利き方をしている人が、
いかに多いかと思うのです。
こどもの方が相手の気持ちを考えていて、
「この場で文句を言っちゃいけないから
だまっておこう」と思い、
おかしいと思っていても、
言い返さずにいる場面がたくさんあります。
ある女の子が、
お母さんの自転車の後ろに乗っていて、
買ってもらったばかりの手袋を
片方落としました。
「お母さん、お母さん」というけれど、
「うるさいわね! だまっていなさい」と
言われました。
女の子はおとなしく黙っていたら、
帰ってから手袋をなくしたことを知った母は、
「なんでその時、すぐに言わなかったの!」と、
怒りました。
「言ったんだけどな…」と思いつつ、
それすら、怒っている母には
空気を読んで言い返さないでいたそうです。
すると、その子の母親は、そのことを
「うちの子、本当にぼーっとしていて」
と、人に話しているではありませんか!
その子は、怒り心頭でした。
私はわめく子だったから、
そんなのことはないけれど、
実は大人になってからの方が、
こういうことがよくあります。
相手を気遣い、黙っていると、
相手は「この人、そんなことも知らないんだ」と、
バカにしてくるような場面が。
大人にとって、
あるいは人と人との間には、
価値観が違って当然で、
大事にしてることも、全然違います。
こどもはよくお菓子をくれますが、
大人にとってはいらないお菓子でも、
その子にとっては、
宝物のおすそ分けです。
私はできるだけ、全部うけとり、
その場で食べたいと思っています。
だって、宝物を共有させてくれたんですから。
たとえば、断るにしても、
相手の考え方を尋ねるにしても、
一歩、相手の気持ちを考えた、
こどもの気持ちを考えた言い方を、
私自身をはじめ、気を付けたいと
最近はよく思います。
だって、人に言われた乱暴な言葉の反対側にも、
それなりの理屈や真実があることの方が
圧倒的に多いのですから。