アサガオは朝に咲く花です。
夕顔は夕方に咲きます。
それは花の個性です。
逆に咲けと言っても難しい。
それが花の個性です。
花のことなら分かるのに、
人間のことになると、
個性とクセを取り違えていることが
世の中では実に多いですね。
先日、
ミュージカルを作っていました。
その時に大事にするのが、
一人一人の個性をいかすこと。
セリフの言い方や動き方を、
その子の個性が出やすいように
演出していきます。
勢いがある子は飛び出す演技、
喜びを内で温めるタイプには
友達と密かに喜び合う表現。
暴れたいパワーを持っていたら
暴れる動きを、
大人しいタイプには、動かず
存在感を出すようなポディションを。
そして、次にクセを取り除く
演出をしていきます。
個性とクセはいかに違うのか。
個性は、その人の内側から
ほのぼのとにじみ出るもので、
クセはその人が、自分の内側を
守るために、ある特性を
デフォルメしたものです。
例えば、今回、
悪役のボスをしてくれる男の子は、
本来、しっかりした芯の強さを
持っていて、ぶれない感じがあり、
みんなをまとめる息の穏やかさも
あります。
でも、フワンと柔らかく漂って
人とぶつからないようにする
引いた部分があり、
それは演技でクセとして表れます。
手下を怒る演技の時に、
ちょっとひいて
柔らかく言ってしまいます。
そういう時には、大胆に言うよう、
ちょっと厳しく言います。
だんだん必死になるとクセは取れ、
彼の本来の強さが出てきます。
主役の子は、
本来、天真爛漫なところがあり、
身軽に動ける行動力と、
仲間への思いやりがあります。
奇想天外なアイディアがありつつ、
自分勝手には動かず、
必ずみんなのペースを見ています。
だからキャラクターが、
今回の主役にはピッタリ!
その彼は演技になると、
迷いが生じています。
自分を大胆に出すって
どういうことだろう。
個性とクセはどう違うのか。
クセをさらにデフォルメするのは
簡単ですし、
彼はまじめで一生懸命ですから、
私がああしろ、こうしろと言えば、
すぐに出来るでしょう。
でも、彼が悩みながら
演技をしていると、
その端々から
彼の個性が表れて見えてきています。
素直な彼の良さこそ、
みんなが愛し、感動するところです。
悩んでる中で個性を磨く姿は
美しいです。
みんなが少しでもそうやって、
今、ミュージカルを作りながら、
周りとの調和のために
自分を偽ったり、ふざけて
ごまかしているところから、
一歩踏み出し、
自分を出した演技ができるよう、
私自身も一人一人の個性を見抜く
感性を
しっかり研ぎ澄ませていたいです。
個性の中にこそ、
人は違うことということの
素晴らしさがあるから。