配役はハマリ役から。でも、結局は愛なんだ | こどもの心はミュージカル!

こどもの心はミュージカル!

こどもの心は喜びにあふれ、歌いたくて踊りたくて、ワクワクしているものです!それは『創造力』『表現力』があふれているから。
その力を、ミュージカルをはじめとする全身表現で、大きく膨らませたい!――― それが私の大きな夢。



こどもの心はミュージカル!



ボディートークをベースとしたミュージカルの


大きな特徴の一つに、役決めがあります。




師匠が主宰する


「ミュージカルひろば 星の子ども」の


こどもミュージカルは、


夏のキャンプで役を決めます。




子どもたちのそれぞれ


なりたい役というのも肌で感じながら、


基本的にはオーディションのような


形をとっています。




とはいっても、うまい子が主役とかではなく、


一人ひとりの適性をみるための役決めです。




全ての役をして


役決めをするのには、


ちゃんと意味があります。




例えば成年男子が、


お姫様役になるようなことはありませんが、


さまざまな役をやってみた時、


その子の中にある


可能性が見えるのです。




本人にとって恥ずかしいシーンでも


思いっきりやれるんだな、とか、


笑いを取るのがうまいなとか、


いざって時には足がひるむんだな・・・とか。




困るのは、やりたい役しか


一生懸命やらない子です。




役をとりたい熱意は分かるし、


そこで抜群の適性を見せる子もいるけれど、


適性を見るのに、その一回では


あまりに材料が少ない。




舞台は全体のバランスもあるから、


その子がその役になれない場合もあり、


そこでしか一生懸命やってくれないと、


やはり難しいものがあります。




この夏の合宿にも、


そういう子たちが何人かいて、


師匠の心も四苦八苦でした。




と、いうわけで、


私は師匠のそばで勉強して以来、


役決めを正面からじっと見て、


師匠が何を基準に候補に残しているのか、


子どもの内を見るというのが


どういうことなのか、学び続けてきました。




子どもにとって、一年間


その役で作品を作るのですから、


この判断には大きな責任があります。




そして、配役が作品の


成功のカギにもなっています。




自分の中で、この子か?


この子は残る!


など、早いうちから


自分の目を養ってきました。




子どものうちからキラッと発せられる


可能性や、やりたい気持ち、


セリフが好きか嫌いか、


踊りが好きか嫌いか。


演技の幅は?




友情の都合も大切です。




信頼し合う仲間で組まないと、


演技がうまくいきません。




プライドの高さや


自意識の高さなども


役によっては嫌がって


モチベーションが下がるから


見ておかなくてはいけません。




それでいて、みんなが


納得できる役にしていく。




ああ、この子がこの役なの?!


分かる、わかる!


この子なら、任せられる!!




など、なりたい役になれなかった子が


納得できる配置にしなければなりません。




など、さまざまな


状況を見ていますが、


最後の決め手は、


その子が、今、この役をしたら


グンと成長するだろう、ということ。




本番でその子が舞台に立って、


いきいきと輝くまでの成長も見ながら、


師匠は役を決めています。



ミュージカルに出て、


グンと成長する子が多いのは、


この配役がベースにあるからでもあるのです。




それは大人に対しても


子どもに対しても同じです。




今までに何度か、


大人を重要な役をあてた時、


「こどもが主役のミュージカルに


大人が目立っていいのでしょうか?」


と、聞かれることがありました。




でも、


「子どもが主役、ではなく、


子どもが中心のミュージカル」なのです。




悪役のボスが大人の強い人だから


本気で戦えることも大事です。




チビッ子の中に、一人、大人がいるだけで、


こどもには大きな勇気になったり、


大人が仲間になってくれる嬉しさを感じられたり、


そして、その子どもからの信頼が、


その大人の方にとって、


大きなこれから生きる時の


勇気になってほしいと願いがあります。




もちろん、そんなことは


役の発表の際にはいいません。




その人、子どもに感じてもらえたら嬉しいし、


感じられなくてもかまわないのです。




それはじわっと


その人の経験になっていることなので。




でも、近頃、


師匠の役決めを見ていても


感じられなかったことを、


自分が役決めをするようになって感じました。




結局は、配役をきめるというのは、


「愛」と「信頼」なんだと。




この子、この人なら、


きっと、この役で輝いてくれる!




自分の良さに気付いて、


生きる力を膨らませてくれる。




ボディートークのミュージカルには


端役なんてありません。


みんながそれぞれの場で輝く役であり、


どれも、思い入れのある役です。




だから、その子に


その役を信頼して任せる。




本番の成功も、


信頼して預けられる役にしていく。




どんな役になっても、


それは師匠からの愛なんだ、と。




だから、私が役を決めていることも、


子どもへの、大人への愛と信頼です。




そして、本番で、その子が


それができるよう、高めていくのが、


指導者の責任です。




・・・長々書きました。




というのも、


『エルマーのぼうけん』の


配役を悩んでいるからです。




でも、きっと、ステキな配役に収まる予定。




みんなが喜んでくれるよう、


まだまだ悩みます。