
ミュージカルの中で、演技指導をするのに、
1番焦点をあてるのは「息」。
表現の中心、生命の中心にあるのが息だから、
息は生き方を表す。
と、師匠の増田先生に初めて教わったのは私が19歳の時。
劇団で役者を志していましたが、
その考え方に感動し、
あっさり役者を辞めて、
先生から学ぶ道に入りました。
それから、何年もかけて、それを自分の中から説明できるよう、
私も指導の中で何度も繰り返してきました。
いつか、誰かに届くように、と、願いながら。
大阪府高槻市の公立幼稚園には、
おかげさまでたくさん行かせていただき、
園児だけでなく、先生方も一緒に、
ミュージカルを作る機会にも恵まれました。
私はそのたび、こどもの経験としてだけじゃなく、
先生方の財産に少しでもなるといいな、と思っています。
昨日、私のそんな願いのかけらが、芽をふいている話を聞きました。
生活発表会で歌う歌を園児が全然、元気に歌ってくれないと
悩んだ幼稚園の園長先生が、何年も前に、ふと、
私とミュージカルを幼稚園で作ったことを思い出し、
そうだ!歌も息のイメージだ、と、
歌のイメージに合わせて、自分の息を変え、
元気なところは元気な息、
ひそめるところは、内緒話の息、
などとやってみたそうです。
そしたら、こどもたちが急におもしろがって、
歌がいきいきしだしたというのです。
なんと嬉しい報告でしょう!
ボディートークの理論や方法が、
その先生の中には残っていた!
本当に人間にいいことは、
きっと誰でもできることだと私は思います。
そうして、未来にボディートークの種を落とせたなら幸せです!