毎日多くのお問い合わせをいただき、またカウンセリングにいらしていただきありがとうございます
本クリニックの主な治療内容
1)脚延長手術
2)小児成長ホルモン治療
3)O脚矯正手術
4)切らない椎間板ヘルニアレーザー治療
5)骨・関節・靱帯・腱損傷(変形性関節症、離断性骨軟骨炎、骨壊死、腱炎・靱帯損傷など)に対するPRP治療
上記治療にご興味のある方、治療をご検討されている方は以下のHPよりご確認ください



本日はAlbizzia 髄内釘 と Guichet Nail (Albizzia 髄内釘の最新モデル)についてお話します

この髄内釘のご質問を1番受けます
やはり、有名なのですね
・Albizzia 髄内釘 と Guichet Nail
これは、フランスのGuichet(ギシェー)先生が1980年代に創外固定ではなく髄内釘で骨延長を行う方法を考え、最初に始めた治療です。
彼は、軟骨無形成症の患者さんに対して、この髄内釘を用いて10cm延長を行いました。
この髄内釘の利点は
1)髄内釘自体の延長量は10cm(他の髄内釘より多く伸ばせる)
2)他の髄内釘がチタン製であるが、ステンレスを用いることでより剛性と強度を高めた
ということです。
では、
1)1回で10cm伸ばすことは可能か?
2)チタンとステンレスはどっちが良いのか?
と言う事ですが
1)10cm伸ばせるかどうか
非常に個人差があります。もちろん成人でも伸ばせる方もいると思いますが、ギシェー先生に直接会ったら10cm伸ばせるとは言わないと思います。
なぜなら、脚延長治療に従事してきたものならば5cmと7cmになるときに、必ず大きな山(トラブル)があることを知っているからです。
5cmに差し掛かったとき(もしくは7cmに差し掛かったとき)に起こるトラブルとして
(筋肉・腱の問題)
・足首が硬くなる、つまり尖足(せんそく)になります
・膝が伸びにくくなる。膝の後ろが突っ張って完全に膝が伸びなくなります
・延長部分で変形が起こる
(神経の問題)
・痺れが出る(無理をすると感覚な鈍くなり、ひどい場合足が動きにくくなります)
これらの問題は、骨と神経と筋・腱の修復能力の違いがあります。
修復能力は
骨 > 神経 > 筋・腱
で、腱が先ず固くなり次に神経障害が起こります。突っ張った筋肉や腱は非常に力が強く、延長している骨を引っ張ります。この力が強いと脚が変形します。
手術する側もされる側もこれらの合併症は絶対に避けなければなりません。
2)チタンとステンレス
・人体との適合性
チタン > ステンレス
人体に1番やさしい金属はチタンです。金属アレルギーはチタンがもっとも少ないため、眼鏡もチタン製(アレルギーのある方用)があるくらいです。
実際、チタン製の医療機器を骨折に用いると、このチタンの上に骨ができます。ステンレスではこのような事は起こりません。
それくらい、チタンは人体と適合性が良いのですね
・剛性 強度 弾性
金属の強度は、ただ単に固いだけでは強いとは言えません。
大学で材料力学を勉強した方などは詳しいと思いますが、この世の中に存在する、物質の強度は剛性・破断強度・粘性・弾性で評価します。
詳しく話すとややこしいのですが、
剛性:物質のしなり(曲がる)る強さ
強度:物質が壊れるときの最大の力
弾性;バネやゴムの様なもの。伸びてもとの位置に戻る性質
当然、鋼鉄の様に固いものはしなりがありません。しかし、弾性のような粘りがないので壊れると一気にバキッと折れます。
弾性が高ければ、強い力がかかるとしなりますが、元に戻る力が働きます。弾性が高いものはバキッと折れにくいのです。
15年ほど前は、殆どの整形外科の骨折固定用の医療材料はステンレス(固い)を使用していました。現在は殆どがチタン(しなるもの)です。
理由は上記の通りで、
・バキッと折れてしまうより、しなりがあって折れない金属の方が安全
・人体との適合性(安全性)が高い金属を使用する
と言う事です
延長方法
これに関しては自分より詳しい方が多いと思いますが、
良くある絵を添付すると

脚を内股になるように回して、戻す。
髄内釘を20度回して18度戻すイメージです
しかし、実際髄内釘を20度ひねるためには、見た目の脚は結構ひねる必要があります。
ちょっと痛みが伴います。
この辺のところは、ISKDとの比較が必要なので明日詳しくお話します。
このひねる角度が大きいために、それを改良するために開発された髄内釘がISKDです。
ですから、Guichet Nailの改良版がISKDですね。
以上、Albizzia 髄内釘 と Guichet Nail についてお話してまいりました
まとめると
・ギシェー先生は、ヨーロッパ人(体重が重い)でも術後の全体重をかけられるように、固い金属をもちいて、延長できる髄内釘を開発した
・固いがために(しなりがなく)、金属疲労が起こりやすく折れることがある
・延長する時に過度に捻る必要があり、痛みを伴う
・これを行うためにはヨーロッパに行く必要がある
・治療期間(この1年間の経過観察は絶対必要です)
延長期間 2ヵ月(5cm)
骨成熟(しっかりとした骨ができるまで)プラス4ヵ月
経過観察期間 1年
明日はISKDについてお話します。
この髄内釘に関しては、海外の先生が書いているHPだけでは説明できない、ORTHOFIX社の苦労もあります。
是非、明日もお付き合いください


