西新宿整形外科クリニックです
本クリニックの主な治療内容
1)脚延長手術
2)小児成長ホルモン治療
3)O脚矯正手術
4)切らない椎間板ヘルニアレーザー治療
5)骨・関節・靱帯・腱損傷(変形性関節症、離断性骨軟骨炎、骨壊死、腱炎・靱帯損傷など)に対するPRP治療
上記治療にご興味のある方、治療をご検討されている方は以下のHPよりご確認ください



さて、数日間にわたって髄内釘を用いた脚延長治療についてお話してまいりました
本日は当クリニックで主に使用しているISKDについてお話します
製造販売会社
ORTHOFIX社
1980年からある医療機器メーカーで、本社はイタリアです。世界中に代理店がある、整形外科医療機器メーカーの大手です。
日本では、以前小林製薬が代理店を行っていましたが、今は三菱商事です。
主な販売は、脊椎・骨折・創外固定などがあり、特に創外固定の分野ではHoffmann創外固定という非常に歴史のある創外固定を取り扱っている会社です
ISKD
これは、PRECICEが販売される前は、アメリカのPaley先生が愛用していた髄内釘です。
昨日お話したAlbizzia 髄内釘と原理は一緒です
その大きな違いが
1)ISKDはチタン素材である(Albizziaはステンレス)
2)延長するために脚をひねる角度が異なる
1)については昨日十分お話したので、今日は2)について細かくお話します
・ひねる角度
髄内釘を延長するために必要な回転(回旋)角度です
albizzia vs ISKD = 20度 vs 3-9度(だいたい6度)
このようにISKDはalbizziaにくらべて1回ひねる角度が小さくてすみます
では、実際に回しているときの印象はどれくらいでしょうか
ISKDの場合


この図のように、実際は45度くらい脚を捻る形になります
だから、albizziaの場合はどれくらいひねるのでしょうか?
この辺についてはご想像にお任せします
では、
この髄内釘の強度に関しては?
世界中で普通に使われていたもので、十分な強度が保たれています
全ての医療機器は販売される前に十分な力学的な試験を行ってから販売になるので、一般的に使用している分では問題になることはありません
しかし、このISKDは数年前にアメリカで髄内釘の強度に関して問題になりました。
髄内釘の延長する部分が壊れた症例があったのです

ここから、ORTHOFIX社とアメリカの一部の整形外科医との小競り合いが始まったのです
・アメリカ整形外科医の言い分
器械の強度に問題がある!すぐに改良すべきだ!
患者さんに対する損害責任はORTHOFIX社にある!
・ORTHOFIX社の言い分
アメリカの整形外科医は、髄内釘を挿入する時に力をいれて叩きすぎる(一般的に髄内釘を挿入する時は医療用のトンカチで叩いて入れます)。だから壊れた。
体重が重い人に全体重をかけて歩かせたら壊れるに決まっている。医者の患者指導の問題がある!
両者は対立したのです!
ORTHOFIX社は歴史のある医療機器メーカーです。
不良品を売るようなことはありません。
十分な試作品を作って、試験を行って、構造上安全なものを販売している自負の念があります。
決してアメリカの整形外科医師に屈しませんでした。
しかし、アメリカの整形外科医達は次の手段に出たのです。
医学論文にISKDの欠点を書いて投稿したのです。
ここまでされると、ORTHOFIX社は一歩下がって、器械の強度を再度確認しさらに強度を上げたISKDを作ったのです。
これが、現段階の最新式のISKDです。
なぜ、ここまで書いたかと言うと、この状況までご存じで来院された方もいらしたので、本当のことを書かせていただきました。
私も2011年に投稿されたISKDの不具合に関する論文を読みましたが、論文としての構成が完全に医師有利の統計になっているのですね。
この論文は何例中何例にトラブルが発生したか?のみで評価しています
多分、ORTHOFIX社が負けじと論文を出すとしたら
1)患者情報:身長・体重・その後のリハビリメニュー・職業など
2)手術情報:手術時間・叩いた回数・その時の力
など、詳細に評価したと思います
丁度良いことに、この論文がでた頃にPRECICEが販売になり、アメリカのPaley先生が開発に携わったならば、、、、、こっちの髄内釘を売り出します。アメリカ企業は強いです。販売も上手です。
そんなこんなで、ホントの真相を知らないとISKDは良くない髄内釘だと勘違いされてしまいます。
これは医療の裏情報です。
でもこんな事は良くあることで、医療以外でも普通にあることですよね。
以上で、今日までに
Albizzia, PRECICE, Fitbone, ISKDについてお話してまいりました
明日は、これらに関してまとめたことをご報告します


