今回の話題は 「LXU-OT2」の水晶発振器交換 となります。
発振器をより高精度なモノにかえて高音質化をねらうというものです。
それにしても OT2の改造の波に遅れること何年なのでしょうか・・・。
換装後の発振回路は非常に小さい(2.5mm x 2mm)ため、以下のように6ピンのICソケットに刺す形で実装してみました。
ソケットに刺し、接続したところ音がでました。
あっさり成功
安堵しましたが、やや拍子抜け・・・。
というのも換装の定番?FOX924B が入手困難だったことから
対応策を検討する必要がありました。事前準備や調査にそれなりに時間を要したため、微妙な心もちです。
本稿は主に事前準備などに関する備忘録となります。
何に換装するのか?
調べてみると、どうやら12MHzのもので2.5ppmという高精度の発振器に換装するらしいということが分かりました。
FOX924Bに換装している先人が多そうだ。
いくらぐらいなんだろう?どこで買えばよい?取り扱い終了??今となっては入手できないんじゃないか?
→ 紆余曲折し、とりあえずMouserで入手可能そうなものを探してみることにしました。
12MHz、2.5ppm、3.3V稼働といった条件で探したところ
該当しそうなのが ECS-TXO-2520-33-120-AN-TR。
※FOX924B は通常販売は終了してしまったのか?
Mouserでは8月納期とかになっていますが・・。一応まだ入手可能??
しかしながら、ECS-TXO-2520 のパッケージサイズは
2.5mm x 2mm
FOX924B が 5mm x 3.2mmなので躊躇する大きさです。
どうやって実装するかを妄想してみました。
実装の方策
FOX924Bぐらいの大きさであればまだしも、このサイズであるため、発振器の裏面に直接 配線をはんだ付けする方法は得策でないように思われます。
たまたま最近SOP8のオペアンプをDIP化していたこともあり、似たような基板に表面実装できないかと考えました。
そのものズバリの基板はなさそうなので秋月のサイトで使えそうなものを物色。変換基板のコーナーにて「SOT-23をDIPに変換する基板」を発見しました。
6ピン用なのですが、うち4個を利用する形ではどうだろうか?
双方のデータシートを見ると寸法は合いそうです。
さて、この基板で作成した場合、発振器は6本足(2本は不使用)となるわけですが、その足に配線を直接はんだ付けするのはあまりよろしくない気がします。
自身の技術力を考えると、歩留まりが悪そう・・・。
そこで、配線用のICソケットは別途用意して挿す形にしました。
2段重ねにする感じではどうでしょうか。
他のOT2への横展開も考えています。
その際に問題が発生したとしても2段にしていると原因を切り分けられますしね。配線側かまたは発振器側か、など。
ソケットの足からは 3.3V電源、アース、Outputの3つが出ればよいようです。となると実質使うのは6本中の3本か。
少なくとも1本は足を基盤に直接はんだ付けしたいなぁ。
はんだ付けの技量に不安があるものの、一応の方策がたったので
Mouserで購入することにしました。
→ 2-3日で到着。早っ。(@380JPYぐらい)
国内在庫か?海外からではなかったのかな。
取り付ける基板と ECS-TXO-2520-33-120-AN-TR の大きさはこんな感じ。
2段での実装
実装の前に基板上の発振器とC24, R37, C25を取り除きます。
チップコンデンサとチップ抵抗であるため、あと戻りできない感が強め。
下段のソケット
左側3個:
上 〇 U4から3.3Vをいただきます
足に線材をはんだ付け
→接続先:U4の右上のピン
中 〇 不使用
発振器裏面パターン
4箇所ありますが
ここは使いません
下 〇 もともと不使用
右側3個:
上 〇 Output
ソケットの足を穴(後述)に直接はんだ付け
中 〇 GND
足に線材をはんだ付け
接続先:銀色の正方形(後述)
下 〇 もともと不使用
オリジナルの発振器を取り除くと2個穴が開いています。
Outputに使う足はこの右側の穴に差し込みたいので
他の5本をニッパーで少しずつ切ってフィットするように長さを調整しました。2本ほど配線をはんだ付けするので短すぎることがないよう努めました。
発振器装着後の写真になっていましたが、こんな感じです。1本の足が信号の穴を通っています。他の足を短く切って水平を保ちました。信号の2つの穴の近くにある銀色の正方形はGNDなので足から出ている線材をはんだ付けします。
配線が多いと事故が起きやすいので2本で済んでよかったです。
しくじることを予想し、長めにしましたが本当はもっと短い方が良いと思います。
上段の発振器
3.3V 〇 〇Output
〇 〇GND
● ●
となるように基板にはんだ付けしました。予備はんだは乗ってしまいましたが、下の2つは使いません。
基板側に予備はんだを薄く施して、向きと位置に気を付けながら
4箇所をはんだ付けする形でうまくいきました。
取り回し上、
● ●
3.3V 〇 〇Output
〇 〇GND
という感じにして下の4つを使った方がベターかもしれません。
※2台目は下の4つでやってみました。
この方がよさそうですね。配線は短めにしてみました。
2台目も問題なく動いています。
3本足を左右にそれぞれはんだ付けしたら上段が完成です。
ソケットに刺しますが、毎度ドキドキですな。
別記事において最近ガリ対応した19.1Vで稼働の個体にも横展開してみました。コイツはイヤホンが活きているので試聴が簡単でした。
ちなみに水晶発振器が外れているとPCがOT2を認識しません。
得られた結果
深夜作業のため、十分な音量での試聴ができておりません。
まぁ、多分悪くなってはいないと思いたいです。
⇒日中、ちょっとした合間に曲を2,3聴いてみました。
いつもより情報量が増えたような気がします。
解像度があがったような感じ?(ホントかよ・・・)
追記:2022/4
秋月のUSB DAC: AKI.DAC-U2704 REV.C
も同じ感じだったので挑戦してみました。
オリジナルは小型の発振器でした。3225サイズなのでちょっと大きい感じ。ひょっとして精度が高いのかもだったのですが、調査にいたらなかったので、有無を言わさず変えてしまいました。
3本の足が全部右側へのアクセスなのではんだ付けの難易度が高かったです。下駄の在庫が切れていたので2段ではなく1段で作成しました。
基板が小さいので6本足だとギリギリです。取り外したチップの跡地と足が当たるので設置場所はテープで絶縁しました。
今回はOutputをPCM2704のPinに直付けする必要があるので
プレッシャーが半端ない感じでした。
秋月のUSB DACの沼は深そうなのでここまでとして、入れ物に入れたいと思います。紅茶の缶とかどうなんじゃろ。
LXU-OT2とはキャラが全く違いますね。不思議だ。
ちなみにES-OT4の効果は秋月DACの方が分かりやすいですね。
単に外部電源っぽくなるがいいのかもしれませんが。明瞭になりました。
今はPC - ES-OT4 - 秋月DAC(発振器交換済み) - LXA-OT4 で試聴中。ジャズとかなかなかいい感じです。
2023/3追記
別記事に記載の通り、ソケット抜き挿し時に事故が発生し、1個を破壊してしまった模様。そもそもOT2修理に伴い慢性的にオシレータが不足していたこともあり、追加購入することにした。
上述の2520サイズのものが実績があるため良かったが、円安下の昨今、コストを比較したところ同じECS社の2016サイズの物の方が安いことに気がついた。
ということで今回は ECS-TXO-2016MV-120-TR を採用。
サイズ感はこんな程度の違い。(2520/2016)
※取付位置が異なっているのは足のはんだ付け位置の違いのため
やや小さいが、基板のパターンピッチからすると2016サイズの方が自然なのかも。当然ながら問題なく使用できている。
2016サイズの欠点
- 部品をピーンと飛ばすと探すのがより大変ということ。
実際に飛ばして大捜索した。 - はんだ付けがよりシビアかも。2520は全勝だったが、今回は3個作成して1個やり直しが発生した。
ま、個人の技量か。 - 向きの印が分かりづらい。
刻印を読むのに苦労した。光の加減で角度を調整して読むしかない。(逆に挿したまま通電すると多分壊れる。)