今更ながらヘッドフォンアンプ付 USB-DAC「LXU-OT2」について記述いたします。音楽之友社 発刊「stereo」誌 2013年1月号の付録でした。
当方ではOT2をエミライ製「ES-OT4」と組み合わせたりして使用しています。ES-OT4の5Vをわざわざ外からとるのが煩わしい時はOT2単独で使用しています。RCA出力もできますが、PCにつないでイヤホンで使用することが多いです。
OT2についてはネット上で情報があふれていますよね。色々と参考にさせていただきました。
ここでは当方が実施した作業をポイントを絞り記述します。
以下の①②③を乗り切るまで気が抜けませんでした。
抵抗やコンデンサは好みでの交換でよいと思います。
①オペアンプへの供給電圧16V化
R30の1.5KΩを取り外し、1.1KΩを取り付けます。
※1.5Kに4.3Kを並行で取り付ける方法もありますが、当方には難しそうなので交換することにしました。
抵抗値を変えることでオペアンプへの供給電圧を12→16Vにしました。(テスターにて確認)
16Vでバリバリ働いていただきましょう。
交換に際しては0.3mmの細いはんだを使いました。こては先が細い方が作業しやすいです。
16V化の際、C4は耐圧不足になるので交換する必要があります。
OT2については、半分に分圧される箇所のC45とC32(もともと耐圧16V)の2つを除いて耐圧を25V以上にしています。
これらは耐圧を上げるとサイズ的に大きくなり実装が厳しくなります。330µFとか470µFにしなきゃいいのかもですが。
②C11を220pFに
いわゆるピー音対策です。1000pFから220pFにし発振周波数を上げます。当方はPanasonicのECHU 220pFに張り替えました。
はんだは吸い出して、まっ平にした状態で片方を仮止めします。
反対をとめたのちにもとの仮止め部分をとめた感じです。
0.3mmのはんだを使いました。難しいです。
写真の通りなので決してうまくできたとは思っていませんが、使えてます。こて先を平たいタイプのものに変更するとこの手の作業はうまくいきます。
③ボリュームの変更
Linkman RD925G-QA1-A203へ変更しました。音質は確実に向上します。
はんだをてんこ盛りに盛って6つのピンのはんだをいっぺんに溶かしながら取り外します。
盛ったはんだを吸うのはボリュームを取り外したあとです。OT2のボリューム部分の基板パターンはOT1やOT3より弱いため、それらよりも相対的に難易度が高い作業であると感じました。
④インダクタの変更
220uHのインダクタでシールドタイプのものに替えました。
サガミエレクのRTP8010-221MやスミダのRCR875DNP-221Kなどが使えました。前者はマルツで入手することができました。
その他
RCAはAliExpress経由で入手した、金メッキのものに交換しました。
パスコンは裏面に適当に施しています。
ケースはPP板で簡易に作成しました。ES-OT4とOT2とそれぞれ別に作成し、収納しています。→粘着性がほどほどにある4cm角ぐらいの耐震マットで両者をくっつけて運用
ボリュームノブはKiloのOEDNI-90-3-5です。
L3はノイズ低減をねらい、ファインメットビーズ:FT-3AM B4ARにしてみました。
比較するとやや大きいです。太めの線材でとりつけ。効果は??
■よしなしごと
コンデンサの組合せが違うものをもう1台作成し、ケースに入れて使っています。
ヘッドホン関連のC45、C32およびC16、C21の辺りや、抵抗をタクマンに変えたりしました。
OT2はハイレゾ対応ではないので人気はあまりないんですかね。ピー音のせいかな。課題があるから面白いのだけど。
当方のPCは音声出力があまりよろしくないので、OT2は重宝しています。用途からすると十分な性能です。
KORGのも並行して使っていますが、雑誌の付録との比較となるのでデスクトップ用としてはデカく感じちゃいますね。
【2022/3追記】
新たな個体あらわる
ひょんなことから中古のOT2を入手しました。
かなり汚れていました。なんとか動作はするもののガリがひどい個体です。
先日秋月で購入した、
1回路のSOP8オペアンプを基板の両面にはんだ付けしDIP化する代物
が完成したので、このOT2でテストしようと試みたのですが、素のままでは無理っぽい・・・。まず基板を洗浄して、予備パーツを用いて上記③ボリューム交換を行いました。
テストの結果は良好で、組み立てた代物も鳴っているし、OT2のガリもなくなりました。
そこで調子こいてしまい
- ヘッドホン関連コンデンサ4個(C32,C45,C16,C21)の交換
UTSJ 16V330 x2, WIMA 63V4.7x2 - ヘッドホン関連抵抗2個(R8,R10)の交換
- 上記④インダクタの交換
- インダクタ交換の際に取り外したC4、C3の交換 ※暫定
を実施しました。抵抗(Vishay RN60×2)は上の写真の既存個体から拝借しています。
ここまでは「予備部材あり」という記憶から簡単にできたのですが、上記①や②の作業に必要な部材や作業内容については確認して後日対応にしようかと思っております。
以前になにやったか、忘れてるのでホントに備忘録だわ。部材として何が残っているのかよく覚えてない・・・。
フラックス重要!!
今更ですが、このような作業においてフラックスとフラックス洗浄剤は重要ですね。現状は フラックスはホーザン、洗浄剤はサンハヤトのものを使っています。鬼門だったボリュームの取り外しがほぼ完ぺきな形でできました。
全く焦げてないです。
LXA-OT4の作業の際にはんだが溶けずにハマった経験が少しは活きたかな。
フラックスとフラックス洗浄剤のおかげです。 道具、重要。
後日、①16V化や②ピー音対応の作業でもリベンジができればと思います。
やるかわからんけど。
→結局、やりました。はんだ付けはあくまで自己評価ですが、結構うまくいきました。
②C11:良好 220pFは手持ちがありました
①R30:見た目は良好 4.3KΩの手持ちを発見
が、4.3KΩ並行になっておらず12→5Vに。
5Vということは4.3KΩのみ導通してる様子。
後日チップごと外して、1.1KΩつけなおします。
暫定で C2,C33はYXJ 35V100、C3はZLH 35V220に交換しました。
※3個ともLXA-OT4から外したものを流用しています
1.1KΩは手持ちがない感じ。似た値でやり直します。
チップ抵抗との並行はんだ は苦手なのでやめておきます。
①R30: 4.3KΩと元のチップ抵抗1.5kΩを外し、910Ωをつけました。
結果予定してた16V→19.1V程度になっています。(一応、計算通り)
この昇圧に伴い、MUSES01 が使えるようになりました。
※流用したかったので、910ΩはLXV-OT7から外したものを利用。
コンデンサに加え、抵抗も外したものを保管してたのを忘れてました。
OT7分としては1KΩもありましたが、リード線が短く切られており
今回は使用できず。立てるほどの長さがないので横置きです。
どうでもいいのですが、既存機とは電圧が違うということを忘れそうなので
LEDはオレンジから黄緑にしてみました。C18をPana SEPF 25V56 にしたので全景は以下右の通りです。(2022.3.2)
紆余曲折して、結局以下になりました。(2022.3.8 試聴中)
- 暫定のC3,C4を変更(他から捻出のKZN 50V220とMuse KZ 25V470)
- L3は1個のこっていたファインメットビーズに交換
- 残っていた青いコンデンサはみんな交換
(UTSJ 50V22 x2, Muse KZ 50V22 x2, SILMIC 25V47 x3) - 暫定で取り付けていた YXJ 35V100 x4を交換 C6, C7, C2, C33
(UTSJ 25V100 x2, UTWRZ 25V100 x2) ※手持ちでやりくり - RCAは金メッキのものに交換
- ラインの抵抗をタクマンに
- 干渉していたL2とC4を取り付け直した
やはり比較するとNS-2Bの個体に軍配が上がる感じかな。結局、抵抗なのか?
電圧高めのオペアンプが使えるので、キャラはたったか。
かわいそうな状態だった個体が、秋葉に行かずに手持ち部品で再生したのでよしとしよう。
部品のドナーとなったOT2には別のパーツを取り付けたのでそれはそれで
動作確認しなきゃならんが、また明日にしよう。いや、日付が変わっとるか。
C7の容量を増やしてみたが、どうなることやら。
RCA出力のテストも問題ありませんでした。
PCに組み込む
パーツ捻出の結果としてC7にFW 25V470(LXA-OT3から外したもの)を
つけてみた個体は弦楽器などの鳴り方が音楽的に好きな感じになりました。
C7については色々試してもよいかなと思いました。
100→470µF の増量が吉だったのかは不明ですが、スペースの制約がある中で何つけるかとか考えるのが楽しいんだよなぁ。
C7に太っちょの FW 25V470 を投入した個体はコンデンサを配置するスペースがないので、となりを 8mmから 6.3mmの UTSJ 50V47 に替えるなどしたのち、構成を固定しました。
そしてデスクトップPCに組み込むこととしました。
ドナーになっていた個体はボリューム交換に失敗した Line出力専用機なのです。とほほ。
ES-OT4と共に5インチベイに格納しました。背面に配線用の穴をあけたりしています。今日は接続のみでベイへの組み込みは明日以降かな。意外にせまく、レイアウトと加工に時間を要しました。
PCからアンプにつないでうまいこと鳴りました。
この個体はこの形で活用します。OT2を5インチベイに組み込むことは構想だけで実現しないままでした。めんどくさくなってほったらかしだった5インチベイのケースがようやく日の目を見ました。
プラスチックだと加工しやすいですね。ピンバイスと低頭ミリネジ大活躍だわ。通常のネジで六角スペーサーをつけようとすると引き出しがスライドできないので・・・。
今回のES-OT4で使う5VのACアダプターですが、5Vのものはあったもののプラグ形状が合うものがなかったので先だけ買って加工しました。12Vとかも形状が合わないのは中古探すより、こうすればよかったんですかね・・・。
Vishay NS-2B 30Ω
かねてより Vishay NS-2BをOT2で試したかったのですが、既にPP板で自作したケースに収納?していたため分解、取り付け等が面倒くさく、ストックのみで敬遠していました。
今回は部材捻出のため RN60×2を取り外してしまいましたので、とうとう機会が巡ってきたかという感じです。
ということで、NS-2Bは既存の個体に取り付けました。
<NS-2Bへの交換の所感>
一聴して違いが分かりました。 これはスゴイ。
薄皮1枚はがれる感じとか、情報量が増えるとかいう記事を目にしていたのですが、その感じがよく分かりました。
長さは15mmとそこそこ大きいので、裏面に取り付けました。
線材はやや太い(線径0.8mm) のですが、OT2の基板にそのまま挿せました。
基板側が受け入れてくれるので、どんどん好きな抵抗に交換して使っちゃいな というメッセージだと解釈しました。そういえばラインの抵抗の穴も大きめでしたわ・・・。
【2023/2追記】U3: DC/DCコンバータについて
ネット上の先人の受け売りでDC/DCコンバータをMC34063(PFM制御)からNJM2374A(PWM制御)に交換した。
- OT2にMC34063はマッチしてないのでは?
- PWM制御の方がメリットがありそう
というのが理由。
ノイズ発生の流れ
OT2のノイズ発生の仕組みは以下と理解している。違っていたらすみません。
MC34063にとってOT2の負荷が低すぎた
→ 低負荷により発振周波数が低下し可聴域に =ノイズ発生
→ C11の容量を下げ、発振周波数を上げてノイズ回避
MC34063はOT2にマッチしてたのかなぁ?
PWM制御のメリット・デメリット
低負荷時、PFM制御に比してリップル電圧が小さくなる模様。
また、発振周波数は PFM制御が負荷により変動するのに対してPWM制御は一定。このため、PWM制御の方がノイズ対策が容易となる模様。反面、PWM制御の方が効率悪いので電気食う。
用途に応じて使い分けるのだろうが、OT2にはPWM制御の方がいいのかな、と。
SOC8なので末尾AEにしたが、設置スペース的にはDMP8パッケージの末尾AMでもOKな感じ。
参考資料
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2008/09/p136.pdf
ひとまず2台換装・・。
横展開せなあかんな。
インダクタ(L1)とC3を外すのみで作業できた。
後日、7枚の換装完了。
どうでもよいが、取り外したMC34063は4種類あった。
まぁ、抵抗の色もロットによって異なっていたしね。
- 刻印が深い 34063 PAWZA 3個
- 刻印が深い 34063 PBWZA 2個
- 刻印が浅い 34063 PYWZA 1個
(やや不鮮明なので文字は推測) - シルク印刷 063EB EKD49 STのロゴ 1個