こんにちは、アラフェネです。
今回は、<クジラ偶蹄目>のコラムになります。
今回は、<ドルドン>や<バシロサウルス・イシス>などのクジラの祖先や特徴やどんな種がいるのかまとめてみました。
足の生えたクジラ
まず、クジラ類の祖先とされる<パキケトゥス>最古の古鯨類が有名です。
パキケトゥス
クジラ類の最古の姿とされる5300万年前(新生代古第三紀始新世)に生息していた<パキケトゥス>は、4足歩行で、脚の先に蹄(ひづめ)のようなものが存在しており、イヌのようなフォルムをしていることから、オオカミと偶蹄類を足したような見た目をしています。
また、鼻と口が目と一直線上に並んでいることから陸と海を行き来し生息していたとされる半水生動物なのではないかと推測できます。
さらに、音の振動を伝える耳の骨の一部である<耳骨(じこつ)>とよばれる骨がクジラに近いものを持っていることが、後々の研究で明らかになっており、水の振動や地面などの音を聞き、狩りに生かしていたのではないかとされています。
このように、<パキケトゥス>とよばれる動物は、半水生での生活に適しており、脚の先に蹄があること、耳骨などの骨格などの特徴から、過去のDNA解析で、現生のクジラ類と<カバ、シカ、ウシ、イノシシ>などの偶蹄類と近縁なのではないかという説が有力となりました。
アンブロケトゥス
その後の4700万年前~4100年万年前になると進化系と思われる<アンブロケトゥス>の化石が出土されています。
このころになると、蹄から手足に水かきのようなものが発達し、浅い海での活動を可能にし、海と陸を行き来し、獲物を捕食していた中間生物となりました。
その後の数百年の間、徐々に海に適用するように姿形を変え、複数の種が生まれ、枝分かれし、最終的には、陸棲中心から海棲中心へと適応していくようになりました。
ドルドン
バシロサウルス・イシス
そして約4500万年前~3400万年前頃になると、蹄などは完全になくなり、手足の形が指からヒレのようなものに変わったことで、完全に水棲種となり、現生のクジラ類のフォルムに最も近いとされる種が誕生しています。
それが、<ドルドン>、<バシロサウルス・イシス>とよばれる種です。
はるか昔に、テチス海だった場所にあたる、エジプト北部に位置する<ファイユーム県>の<ワディ・アル・ヒタン(クジラの谷)>とよばれるところでは、その<ドルドン>、<バシロサウルス・イシス>とよばれる骨格の化石が発見されていて、その骨格の特徴から、現生のクジラ類である<シロナガスクジラ>、<シャチ>、<イルカ>などはこの<ドルドン>から分化したのではないかという説が最有力となりました。
現生のクジラ類と違う部分が、呼吸などに使われる噴気孔などはありましたが、メロン体はなく、<エコーロケーション>などの能力は持ち合わせておらず、<ドルドン>には四足歩行だった時の名残である後ろ側にもヒレがついていました。
以上のように<クジラ目>とカバをはじめとする<偶蹄目>は進化の過程で近縁種とされることから、現在は<クジラ偶蹄目>と統合されたことにより、陸上哺乳類4亜目、鯨河馬形類が一つのグループとなりました。
クジラとカバは近い仲間とよく耳にすることがありますが、クジラの祖先とカバは淡水性であること、水中で繁殖すること、複数の胃を持つことなど、共通点は多くあることが知られています。
最後にクジラ偶蹄目に含まれる<クジラ目>と<偶蹄類>を主な特徴を簡単に紹介します。
クジラ目・鯨類(くじらるい)
現在まで、確認されている種は約90種が知られており、<哺乳綱クジラ偶蹄目>の中の<鯨河馬形類(くじらかばけるい)>の分類群に含まれ、大まかに<ハクジラ類>、<ヒゲクジラ類>、<古鯨類(ムカシクジラ類)>に分けられます。
しかし、先ほど紹介した<パキケトゥス>や<アンブロケトゥス>などが属する<古鯨類>は全て絶滅種となりました。
<仙台市うみの杜水族館>さんのイベント、バックヤードツアーにて撮影させて頂いた、<スナメリ>骨格
海に生息していることから、魚類と混合しがちですが、わかりやすい例でいうと、陸上動物だった頃のなごりとされる、指の骨や肋骨があること、肺呼吸であること、尾びれが横向きについていることなどで明確に区別できます。
〇ハクジラ
・マッコウクジラ科
マッコウクジラ
・マイルカ科
バンドウイルカ
マイルカ
シャチ
・イッカク科
イッカク
<ハクジラ>はその名前の通り、口に無数の同じような形の歯が存在しているのが特徴的なクジラで、10科76種以上が確認されています。
主な種として、マッコウクジラ科の<マッコウクジラ>、マイルカ科の<バンドウイルカ>、<マイルカ>、<シャチ>、<オキゴンドウ>、イッカク科の<イッカク>などが含まれており、<マッコウクジラ>除いて、<シャチ>のような中型種から、<マイルカ>や<カワイルカ>などの小型な種が多いです。
これらの種は主に水族館でイルカショーでよくみられることが多いと思います。
ハクジラの生態は詳しいことがわかっていないことが多く、現在も、研究団体が座礁した個体(ストランディング個体)などを解剖し、調査を行っています。
〇ヒゲクジラ
シロナガスクジラ
ザトウクジラ
セミクジラ
対して、<ヒゲクジラ>は4科14種以上が確認されており、ナガスクジラ科の<シロナガスクジラ>、<ザトウクジラ>、セミクジラ科の<セミクジラ>などが含まれ、全体的に大型な種が多いです。
特に<シロナガスクジラ>は、全長30m以上、190t以上と哺乳綱最大種となっています。
クジラのひげ板
口の中に<ヒゲ板>と呼ばれるものが無数に存在するのが大きな特徴で、小魚やプランクトンを大量に海水とともに口の中に入れ、餌をこしとり、吐き出します。
これを<フィーディング>といい、ヒゲクジラ独自に身に着けた、採餌方法を行います。
偶蹄目(ぐうていもく)・偶蹄類(ぐうてい類)
〇ラクダ科
フタコブラクダ
アルパカ
〇ペッカリー科
クビワペッカリー
〇シカ科
トナカイ
ヘラジカ
〇ウシ科
ヌー
インパラ
トムソンガゼル
アラビアオリックス
〇カバ科
カバ
偶蹄類は、主に<哺乳綱クジラ偶蹄目>の有蹄類に含まれる分類群の一つで、ラクダ科の<ラクダ>、<アルパカ>などを含む、<核脚亜目(かっきゃくあもく)>、イノシシ科の<イノシシ>やペッカリー科の<クビワペッカリー>を含む<猪豚亜目(ちょとんあもく)>、シカ科の<ヘラジカ>、<トナカイ>、ウシ科の<ヌー>、<トムソンガゼル>、<インパラ>、<アラビアオリックス>などを含む<反芻亜目(はんすうあもく)>に分類されます。
カバなどは系統的にクジラ類に近いというのもあり、<鯨河馬形類>に含まれていますが、偶蹄類の一種でもあるため、表記上は<クジラ偶蹄目>となっています。
蹄
角
この偶蹄類は、有蹄類の中でも、二股に分かれた蹄を持っていること、草食であり反芻が行えることが共通の特徴です。
また、シカ科やウシ科などは、すべての種ではありませんが、頭部に特徴的な角を持っており、メスをめぐるオス同士との争いに使うなどに用いられます。
シカ科とウシ科は混合されがちですが、シカは複数に分かれた独特な形状の枝角をもっており、基本オスにしかなく、一定周期に生え変わります。
ウシは、枝分かれせず、真っすぐに伸びた角で、オスメスにも生えており、生え変わることはありません。
また、<反芻亜目>に分類される多くの種は、<反芻(はんすう)>と呼ばれる特殊な消化行動を行うことで知られています。
詳しくは下の記事から、ご購読頂ければと思います。
以上が<クジラ偶蹄目>コラムでした。
最後までご購読頂きありがとうございました。
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