こんにちはアラフェネです。
今回は<タカ目>と<ハヤブサ目>の記事になります。
皆さんは<ワシ・タカ>とはどんなイメージでしょうか?
強い、恐怖、かっこいい、など様々な印象を抱いていると思います。
ヒトと関わるようになった歴史は古く、紀元前に遡りますが、タカなどを使い、狩りを行う、<鷹狩(たかがり)>と呼ばれる狩猟法が生まれ、それらを扱う<鷹匠(たかじょう)>と呼ばれる職業が誕生し、ヒトとの生活に関わっていました。
現在は<ムクドリ>などの害鳥などを追い払ったり、動物園のバードショーやアニマルカフェなどでも、身近に見られるようになり、一部の種は飼育ができるようになっています(フクロウ、ハリスホークなど)。
タカ目の多くは、肉食性で、高い飛行能力、視力、強靭な趾を持ち獰猛で大型であることから、空の王者と呼ばれることもあります。
また、生態系の頂点に君臨することから、強さ、権力、高貴などの象徴として、国旗、紋章などに使われ、崇められています。
そんな<タカ目>ですが、どのような鳥類なのか、同じ猛禽類である<ハヤブサ目>と合わせて紹介したいと思います。
猛禽類(もうきんるい)とは?
分類の内容に入る前に、少し<猛禽類>について触れておきます。
ワシ・タカ類
ハヤブサ類
フクロウ類
猛禽類とは<タカ、ワシ、ハゲワシ、ハヤブサ、フクロウ、コンドル>などと呼ばれる肉食性(腐肉や骨なども含む)の鳥類のことをいい、生態系における頂点に君臨している一群です。
共通している特徴として、先が鋭い、鉤爪(かぎつめ)を持っていること、肉を引きちぎる為の先が曲がったくちばしの形をしています。
上空から素早い小型哺乳類や鳥類などを的確に捕らえ、巧みに捕食する種も多いことから、視力、飛行能力、強い握力など特化している種が多く存在します。
その為、対象の獲物を捕らえるために、特殊な飛行能力を持った種が存在し、例えばフクロウ目などは、獲物に気づかれないよう無音で飛行を行ったり、ハヤブサ類やタカ類のように急降下や柔軟な素早い方向転換、ホバリングを可能にしています。
このように、素早く動き回る獲物を捕獲するために、感覚機能や飛行能力、身体能力に飛躍的な進化をとげているのが
猛禽類の最大の特徴です。
ちなみに、<イヌワシ>や<オオワシ>などの一部の種は、獰猛な性質や鉤爪などによる爪傷事故の危険性から、
<特定動物>に指定されていることがあり、無許可での愛玩目的での飼育は禁止されています。
特定動物とは、生命、財産、身体を脅かす危険性が高い動物のことを指し、他にライオン、オオカミ、ワニ、ヘビ、ゾウ、キリン、ゴリラ、クマなど他650種以上が指定されています。
分類
まずは、分類です。
タカやワシは、<鳥綱タカ目タカ科>、ハヤブサは<鳥綱ハヤブサ目ハヤブサ科>に分類されています。
以前はハヤブサはタカ目に含まれていましたが、最近の遺伝子解析では、ハヤブサはインコやオウムなどが属するオウム目やインコ目に近い種であることがわかりました。
〇タカ目
ハクトウワシ
オオタカ
ヘビクイワシ
ハゲワシ
タカ目は種によって、タカとワシと区分けして種名が付けられていますが、どちらもタカ目に属しています。
タカ目は現在、250種以上が確認されており、特にタカ科が256種、ミサゴ科1種、コンドル科7種、ヘビクイワシ科1種と、数を見てもわかるように猛禽類の一群の中ではタカ科の種数が圧倒的に多いです。
主な種として、タカ科は<オオタカ、チュウヒ、トビ、ノスリ、オオワシ、ハクトウワシ、シロエリハゲワシ、オウギワシ>、コンドル科は<コンドル、ヒメコンドル>ミサゴ科は<ミサゴ>1種のみ、ヘビクイワシ科は<ヘビクイワシ>1種のみです。
大まかに、タカ目の中で大型の部類を<ワシ>、中でやや小型の部類を<タカ>となっていますが、慣習にならいつけられた種も多く、明確な定義はありません。
〇ハヤブサ目
ハヤブサ
フォークランドカラカラ
ハヤブサ目はハヤブサ科の1科のみで、ハヤブサ類、カラカラ類に大きく分かれます。
ハヤブサ科は<フォークランドカラカラ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、ワライハヤブサ>など、現在は60種以上が確認されています。
生息地
タカ目とハヤブサ目の大半は、ユーラシア大陸、北アメリカ、アジア、アフリカ、ヨーロッパなど、北半球を中心に広く分布しています。
中には、<サシバ>とよばれる種は、秋ごろに群れで移動し、東南アジアを越冬地とするなど、渡りを行う種も存在します。
形態
先ほどの<猛禽類とは?>で、解説しましたが、タカ・ワシ・ハヤブサも猛禽類の1種であり、高い視力、巧みな飛行能力、強い握力と鋭さを持った鉤爪などを併せ持っています。
ハヤブサは、翼の形、大きさ、系統がワシやタカとは異なるものの、生態が似ている部分が多いことから、似たような形態になったと考えられています。
〇視力
推定視力は約20.0と言われ、感覚機能の中では、最強クラスです。
高度を保ちながら、森林の間や地上にいる小さな獲物などを逃さず、的確にとらえ襲い掛かります。
〇くちばし
下に湾曲し、先がとがっている為、肉を引きちぎるのに使われます。
ワシ類の多くは太く長く、大型化しているのが特徴的です。
〇翼
硬く、しっかりしており、ある程度の高度を保ちながら飛行を行うグライドやホバリング、鳥類などを素早い獲物を捕らえる種は、翼が尖っていたりと急な方向転換や急降下などに対応できます。
それぞれの種ごとに環境や食性に合わせ、風切り羽の形状や質が異なります。
〇羽毛
白色、灰色、茶褐色が入り混じった羽毛をしている種が多く、ワシ類は一部の羽毛が色が異なっていたり、羽毛が無かったり、タカ類などは<鷹斑(たかふ)>とよばれる模様が入ります。
〇鉤爪
他の鳥類と比べ、太く、鋭い鉤爪を持っています。
握力が強大で、小型~中型の獲物を鷲掴みします。
〇ワシ類
・頭が白い
・頭部に羽毛が無い
・目の周りに黒い縁取り
ワシ類は約全長約85∼100㎝、翼開長200~250㎝と大型で、<ハクトウワシ>のよう頭が白くなったり、<ヒゲワシ>などの目に黒いアイライン、<ハゲワシ>のように頭部の羽毛が無いなどの特徴的な見た目をしている種が多いです。
また、羽の質がしっかりしていて、表面が広く、長時間の滑空を行い、獲物を見つけるのに特化しています。
くちばしが全体的に大型で咬合力が強く、大きな獲物の肉を引きちぎったり、かみ砕いたりするのに都合が良いです。
〇タカ類
・翼に斑紋がある
・尾羽が扇形で広い
タカ類の約全長45∼70㎝、翼開長100∼130㎝ハヤブサよりも大きく、ワシよりも小さいです。
くちばしが鋭く、強く湾曲しており、獲物を細かく引きちぎるのに適しています。
全体的に黒色~灰色、灰色~白色の羽色で、<鷹班(たかふ)>と呼ばれる縞模様がはいるのが大きな特徴です。
また、尾羽が扇形に広く、方向の舵を切るのに長けており、気流に乗りながら飛行することに特化しています。
〇ハヤブサ類
・翼がが細く、先がとがっている
・<チョウゲンボウ>などのように全体的に小型
ハヤブサは約全長35∼50㎝、翼開長84∼120㎝とタカやワシに比べやや小型で、<チョウゲンボウ>などは猛禽類の中では最小となっています。
ハヤブサ類はハトなどの鳥類などを獲物とすることも多く、小回りが利く飛行、時速200~300kmもの急降下を行えることから、鳥類界最速と呼ばれています。
それを可能にしているのが、細長く、先が尖った翼の形状で、空気抵抗をできるだけ受けない構造をした風切り羽や尾羽にあります。
この特徴を生かし、新幹線の<はやぶさ>や飛行機などにもヒントを得ています。
また、チョウゲンボウなど一部の種は一定時間同じ位置で高速で羽ばたく<ホバリング>などの特殊な飛行を行う種も存在します。
生態
続いて、生態です。
猛禽類の一群に属する鳥類は、生態系の最上位に君臨しており、捕食する動物の分布に強く左右されます。
動物種を主に捕食対象としていることから、<2次消費者>としての重要な役割を担います。
タカ目やハヤブサ目の食性はそのほとんどが肉食性で、主に小型∼中型の哺乳類などが中心ですが、中には<ハゲワシ>や<カラカラ>のように死体や腐肉、<ヒゲワシ>のように骨、<ミサゴ>のように魚肉など、特定の獲物しか狙わない種も存在します。
また、ハヤブサ目は、その高い飛行能力を生かし、ドバトなどの鳥類を獲物することが多く、最近では都市部に出没することが確認されています。
繁殖は、オス1羽とメス1羽とのつがいを形成し、子育てを行います。
営巣は他の肉食哺乳類の襲撃を避けるため、基本大木の高いところに木やわらを巣材とし、作ります。
基本は森林などで営巣することが多いですが、<ハヤブサ>や<オオタカ>などは、人口が比較的多い、都市部のビルなどの建物の隙間などに営巣します。
特に、ヨーロッパなどの歴史的建造物が多いところでは、営巣しやすい凹凸な建物などが多いことや、その間に草原や森林などが存在している緑化している環境では、ネズミなどの獲物が頻繁に通るため、捕食しやすく餌に困らない為、繁殖に最適であるといわれています。
タカ目・ハヤブサ目の基本情報は以上となります。
最後に、<けものフレンズ3>に登場している5種を簡単に紹介したいと思います。
ハクトウワシ
分類:タカ目タカ科ウミワシ属
生息地:北アメリカ沿岸部
全長:71∼96㎝、翼開長:168∼240㎝
主に北アメリカ大陸のアラスカを含む沿岸部を中心に生息している<オオワシ>に次ぐ大型の猛禽類です。
北半球の広範囲に広く分布することから、アイルランド、北海道や国後島にも飛来する姿が確認されています。
す。
翼開長は2mを超え、名前の<ハクトウ(白頭)>の通り、頭部から首にかけての羽毛や尾羽が全体的に白く、黒~茶褐色羽色をしたツートンカラーが特徴的です。
くちばしや鉤足は黄色で、目の周りには黒い縁取りがあることで目の鋭さを感じさせる見た目をしています。
陸上の哺乳類や鳥類も獲物としますが、沿岸部に分布しているウミワシに分類され、魚も多くの獲物とします。
北部では春~夏、南部では秋~春にかけて繁殖し、大木に営巣し、1∼2個の卵を産みます。
一度、森林伐採、狩猟、農薬汚染により個体数は減少していましたが、国が保護活動政策に尽力していたこともあり、生息数は回復傾向にあります。
ハクトウワシは強さと権威の象徴として国鳥とされており、<平和と戦争>を意味するアメリカの国章に描かれています。
オオタカ
分類:タカ目タカ科ハイタカ属
生息地:北半球各地
全長:48∼68.5㎝、翼開長106㎝
主に北アフリカ、ユーラシア大陸、ヨーロッパ、日本、北アメリカなど北半球の広範囲に生息する中型のハイタカで、
ドバトなどの鳥類を捕食することから、ヒトが多く住む都市圏でも見られることもあります。
大きさは100㎝ほどで<カラス>に近い大きさをしており、
背面は黒色~灰色の羽毛で覆われ、お腹に白色と黒の横縞のまだら模様の<鷹斑(たかふ)>、くちばし黒色で強く下に湾曲しており、鉤足は黄色いのが特徴です。
飛行能力が非常に高く、最大飛行速度80km/h、急降下速度130kmも超えることがあり、小回りの利く急な方向転換などを行うことができます。
元々森林や里山などに多く生息しており、小型の哺乳類や爬虫類などを捕食しますが、ハトやムクドリなどの鳥類も多く獲物と対象とするため、最近では都市圏を繁殖のために利用することが確認されています。
繁殖期は春ごろの3月~4月で、営巣し、3∼4個の卵を産み、主にメスが抱卵し、オスが給餌を行います。
ハヤブサ
分類:ハヤブサ目ハヤブサ科
生息地:南極を除いた世界各地
全長:34∼50㎝、翼開長:84∼120㎝
ユーラシア大陸、アジア、アフリカ、アメリカ大陸、ヨーロッパなど、南極大陸以外の世界中に分布している、小型~中型の猛禽類です。
表面は黒~灰色、腹部は白色に横縞の<斑紋>があり、くちばしの根元(ろう膜)や鉤足は黄色で、メスのほうがやや大型です。
翼は、カーブを描くように流線型を描いて先が尖っているのが特徴的で、空中で獲物を狩ることが多いことから、空気抵抗を受けにくいよう特化しています。
その為、飛行速度は鳥類の中でも、非常に早く、約100km、急降下速度は約300∼400kmとされています。
ネズミなどの小動物などを狙うこともありますが、獲物のほとんどは鳥類に依存しており、ハトやヒヨドリ、カモなどを狙います。
最近では、<オオタカ>と同じく、都市圏での繁殖増加が確認されており、特に緑化された都市などでは動物が集まるため、餌が豊富で繁殖には都合が良いようです。
3~4月ごろが繁殖シーズンで、建物や崖岩のくぼみなどに卵を3∼4個産み、オスメスが協力して子育てを行います。
フォークランドカラカラ
分類:ハヤブサ目ハヤブサ科アンデスカラカラ属
生息地:フォークランド諸島
全長:53∼65㎝、翼開長:40∼42㎝
南アメリカ南端の周辺に位置する、ホーン岬、フォークランド諸島、エスタドス島などに飛来する中型の猛禽類です。
ヒトを全く恐れず、神出鬼没で、持ち物を難なく持ち去っていくことから、
<フォークランドの悪魔>との異名をもっています。
全体的に茶褐色で、脚の膝辺りが明るい茶色、ろう膜と鉤足は黄色、くちばしの先が銀色に帯びているのが特徴です。
系統的にハヤブサに分類されていますが、ハヤブサと比べ翼がやや短めです。
他の猛禽類のように様々な獲物を狙いますが、死体の肉などを漁る、生態系における<スカベンジャー>の側面を持っています。
好奇心が強く、ヒトの持ち物などの人工物などを持ち去る、ゴミ箱を漁ることや鍵の開錠などを行える個体がいることから、オウム・インコと同程度の知能を持っているのではないかとされています。
地面や崖の上に巣をつくり、4個ほどの卵を産みます。
食料などをもとめ、ヒトが集う場所を徘徊する様子が確認されています。
ヘビクイワシ
分類:タカ目ヘビクイワシ科ヘビクイワシ属
生息地:アフリカ大陸
全長:120∼150㎝、翼開長:212㎝
アフリカ大陸のサハラ砂漠以南の草原や薮地に生息する、ヘビクイワシ科ヘビクイワシ属の1種のみに分類される大型の猛禽類です。
全長が1m以上と、猛禽類ですが<タンチョウ>のように細長いフォルムをしています。
ワシらしく、頭から首にかけての白色と風切り羽と腱(膝)あたりの黒色のツートンカラーで、頭には数本の飾り羽、目の周りには羽毛が無く、橙色の皮膚がむき出しになっているやや派手な形態をしています。
翼開長が2mを超え、翼が大型化していますが、基本地上での活動が多く、逃走時なども飛行ではなく走ることを優先とします。
名前に<ヘビクイ>と名前がついていますが、ヘビのみを主食としているのではなく、哺乳類、爬虫類、両生類など肉類であればほとんどの物を獲物とします。
しかし、ヘビ類などを捕食する際は、やや高く飛翔しながら体を浮かせ、細長い足などで頭を踏みつける独特な狩猟方法が印象的です。
繁殖はつがいは生涯ともにし、アカシアの木に営巣し、1∼3個の卵を産み、メスが抱卵します。
<ヘビクイワシ>は現在、IUCNの保護評価では<EN:絶滅危惧IB類>に指定されている絶滅危惧種で、<ワシントン条約付属書Ⅱ類>に登録され、国際取引が制限されています。
以上が<タカ目・ハヤブサ目>の内容でした。
動物園や花鳥園などで多く展示されており、また<バードフライト>、<バードショー>などでは超定番出演ということもあり、気高さと力強い羽ばたきを間近で体験することができます。
是非一度この目で観察してみてはいかがでしょうか?
今回の記事の内容は以上となります。
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