ショートコラム<アザラシ?イルカ?、原始的カイギュウ目とはどんな動物なのか?> | アラフェネ動物記

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こんにちは、アラフェネです。

 

今回は、<ジュゴンとマナティ>のショートコラムになります。

 

アプリゲーム<けものフレンズ3>にも、<海牛類>が増えてきましたので、今回はジュゴンとマナティをテーマに見ていきたいと思います。

 

海牛目は、母親が赤ちゃんにミルクをあげる姿がとても馴染みがあることから、<人魚の伝説>のモデルとなった種です。

 

今回は、海牛目とは一体どんな動物なのか、簡単にみていきたいと思います。

 

 

 

  海牛(カイギュウ)って何?

 

 

カイギュウ目(海牛目、海牛類)とは、主に<アフリカ獣上目>に分類される<目>の一つで、

その中に、<ジュゴン>が属する<ジュゴン科>、マナティ3種が属する<マナティー科>が属しています。

 見た目がアザラシに似ている原始的な動物で、現生のゾウと共通している部分が多いことから、系統的にカイギュウ目とゾウ目は近い動物とされています(近縁)

 

 

〇アフリカ獣上目

<アフリカ獣上目>というのは主にアフリカ大陸を起源とし、進化した動物で、この中には陸海性の複数の動物種が含まれており、主に<ツチブタ科、ハイラックス科、ゾウ科、マナティ科、ジュゴン科>などの種が含まれており、これらの種をまとめて<近蹄類(きんているい)>と呼びます。

アフリカ獣上目は、分類上、各目の上、つまり上目として位置し、例えば、ゾウであれば、<哺乳綱アフリカ獣上目ゾウ目ゾウ科>となりますが、通常この上目は省略して表記されています。

 

アフリカ獣上目の生息地の一つとして、昔の海域とされる<テチス海域>と呼ばれる場所には多くの海獣類の化石が見つかっており、当時、陸生、水棲の動物が多く生息していたとされています。

 

 

〇テティス獣類

その海域に生息していた獣類の事を、海域の名前にちなみ<テチス獣類>とよばれ、

現在は便宜上<テティス獣類>という名称として表記されています。

 

<テティス獣類>は、現生動物である<カイギュウ目、ゾウ目(長鼻目)>などが含まれており、形態や遺伝子が共通している部分が多い為、ゾウとマナティ―は比較的近縁であると言われています。

 

ステラーカイギュウ

 

テティス獣類には他に、<束柱目(そくちゅうもく)>と呼ばれる目が存在し、

その中には<デスモスチルス>、<モエリテリウム>とよばれる陸生が生息していました。

 また、ジュゴン科の一種、<ステラーカイギュウ>もテティス獣類に含まれており、これらの種はすでに絶滅しました。

 

現在、テティス獣類は、陸性である<ゾウ目>と水棲である<海牛目>の2目という数少ない種となりました。

 

 

  ジュゴンとマナティ

 

上:マナティ

下:ジュゴン

 

上の図はマナティーとジュゴンを比べた表です。

 

現在の海牛目の現生種は<マナティー科>である<アメリカマナティー>、<アマゾンマナティー>、<アフリカマナティー>

<ジュゴン科>である<ジュゴン>のみです。

 

<アメリカマナティー>の体長は2.1m~4m、体重は200~600kg、<ジュゴン>は体長2.4~4m、体重は200~900kgと大型です。

見た目は、鰭脚類のアザラシにとても似ていますが、アザラシではありません。

 マナティーとジュゴンは非常によく似ていますが、明確に見分けるポイントがあり、マナティー後ろのヒレは丸形で、ジュゴンは三日月型なのが大きな特徴です。

また口にも大きな違いがあり、マナティーの口は海面などを浮いている昆布を食べる都合上、口が前寄りについていて、ジュゴンは下の海藻を食べる都合上、下向きについています。

 

・マナティーの分布

橙:アフリカマナティー

赤:アマゾンマナティ―

緑:アメリカマナティー

 

 

・ジュゴンの分布

ジュゴン

 

 

マナティーは主にアフリカ海域沿岸を中心に、ジュゴンは主にオーストラリア~東南アジアの熱帯海域沿岸を主な生息地としているため、沖縄県でも見られることがあります。

 

両種は比較的、熱帯の25~30℃ほどの比較的高い水温を好み、沿岸付近を活動圏にしているため、地域によって間近で観察することもできます。

水棲哺乳類では、非常に珍しい完全植物性で、マナティーは浮いている昆布など中心に、ジュゴンは海底の海藻(アマモ)などを掘り起こして食べます。

 

マナティーもジュゴン、両種とも<絶滅危惧種>指定されており、行動圏が沿岸を中心としていることから、ヒトの活動での影響を受けやすいです。

 主な要因として、生息地の破壊、水質汚染、取引による密猟により、マナティー科、ジュゴン科全種<VU:絶滅危惧Ⅱ類>

国際取引制限が最も厳しい、<ワシントン条約付属書Ⅰ>に登録されています。

 

 

両種は日本の水族館でも観察することができ、マナティーは<沖縄美ら海水族館(沖縄)、新屋島水族館(香川)、鳥羽水族館(三重)熱川バナナワニ園(神奈川)>、ジュゴンは<鳥羽水族館>のみ展示されています。

 

 

是非一度、熱帯の人魚をこの目で観察してみてはいかがでしょうか?

 

〇アメリカマナティー

・沖縄美ら海水族館

・新屋島水族館

 

 

〇アマゾンマナティ―

・熱川バナナワニ園

 

〇アフリカマナティー

〇ジュゴン

・鳥羽水族館

 

 

 

今回のショートコラムは以上となります。
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