フィラリア | 戸部ウータン動物病院のブログ

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【フィラリアとは】

フィラリアは別名を犬糸状虫という虫です。
フィラリア成虫はそうめんそっくりの姿をしていてメスで長さ30センチにもなり、対象動物の心臓や肺動脈に寄生します。

 

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寄生された動物は血液循環がうまくいかなくなったり呼吸が苦しくなったりし、肝臓や腎臓にも影響が及んで衰弱して死に至ります。
フィラリア成虫がほんの1~2匹寄生しているだけでも咳などの症状を起こすほか、何十匹もが団子のように心臓に住みついてしまうと重篤な症状となります。

 

犬糸状虫の名のとおり、犬への感染が圧倒的に多いのですが、猫やフェレットなどもフィラリアにかかります。

 

【フィラリアに感染する仕組み】



フィラリア成虫は犬の体内で幼虫(ミクロフィラリア)を産みます。
その犬の血を蚊が吸うと、蚊の体内でミクロフィラリアは成長し、感染能力のある幼虫に成長します。
感染能力のあるフィラリア幼虫を体内にもった蚊が犬を刺したとき、感染幼虫が蚊から犬の体内に入って感染が成立します。
犬の体内に入った感染幼虫は約3ヶ月間は皮下や筋肉の中で成長します。
そのあと静脈から血管に入って血液の流れに乗って心臓に向かい、感染から約半年後に心臓や肺動脈に住みついて成虫になります。
生殖機会を得たフィラリア成虫はそこでミクロフィラリアを産み、ミクロフィラリアは血液に乗って犬の全身を流れながら蚊に吸われる機会を待ちます。
このように、蚊と犬の体内を巡回しながら子孫を増やしているのが、フィラリアという虫なのです。

 

【フィラリアに感染してしまったときの症状】
フィラリアに感染してもしばらくはなんの症状も現れません。
多くは数年が経過してから症状が現れます。
症状が出てきたときにはすでに重症という場合が少なくありません。
運動をしたあとでもないのにハーハーと息が荒い、ゼーゼー言う、ときどき咳をするなどが症状の出始めです。
元気がない、散歩を嫌がる、散歩の途中で座り込む、ふらふらする、突然倒れるなども見られるようになります。
やがて、食欲不振、嘔吐、重度の貧血、寝てばかりいる、お腹に水がたまる、血尿を出すなど重篤になります。
そして、心臓、肺、肝臓、腎臓などが機能不全に陥り、死亡します。

 

【きちんと予防薬を投与すれば感染は防げる】
フィラリアはきちんと予防薬を投与すればほぼ100パーセント防げる病気です。
フィラリア予防薬の投与には3つの方式があります。

 

 

 


■錠剤・散剤(粉)・チュアブル等のおやつ型など毎月1回口から入れるタイプ


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1ヶ月分:800円~ (体重・お薬の種類によって異なります)

■1年に1回注射をするタイプ

 

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5㎏以下:9,000円(注射代込み)~


■毎月1回液剤を皮膚に直接滴下するスポットタイプ

 


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【フィラリアのお薬を飲ませる前に】

 

フィラリア予防薬は必ずフィラリアに感染していないか血液検査を行い体重を計ってから適切な量を飲ませなければなりません。

気づかないうちにフィラリアに感染している犬に予防薬を投与すると、薬の作用で死んだ虫が犬の血管に詰まり、突然死することもあるからです。

毎年3・4・5月ぐらいに検査を行います。

※前年度、フィラリア薬を通年投与または注射で予防している子は投薬前の検査は必要ありません。

 

 

 

この機会に健康診断を兼ねた広めの血液検査をするのもいいでしょう。


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フィラリア検査のみ:2,500円(通常時期3,000円)

フィラリア検査+血球検査+生化学検査17項目:6,500円(通常時期13,000円)

※3・4・5月限定のキャンペーン価格です。

 

危険性がある為フィラリアの予防薬は要指示薬となります。(獣医師の処方が必要)

 

フィラリア予防薬は体重によって投薬量が決められているため、薬の効果を出すためには正確に体重を計る必要があります。


投薬期間は5月~12月の8ヶ月になります。


その間に体重が増えてしまったらひとつ上の投薬量に変えなければいけません。

 

 

【予防シーズンの始まりから終わりまで】

 

 

 


フィラリア症予防薬はいつからいつまで飲ませたら良いのでしょう。 
一年を通じて予防薬を投与するのでしたら何も考えることはありませんが、
最小の投薬期間で確実に予防するためには、感染開始と終了時期を知る必要があります。
そこでHDU(Heartworm Development heat Unit)の概念が生じてきました。 
これは、フィラリアを媒介する蚊の体内でミクロフィラリアが感染幼虫に発育するのに必要な積算温度の単位で、それによりフィラリアの感染開始と終了時期を算出するのです。

http://filaria.jp/html/hdu/index.html (詳しくはココ参照)


神奈川県は

もっとも早い感染開始日は5月 6日
もっとも遅い感染終了日は11月11日
となっています。

 

そして、誤解している人が多いのですが、フィラリア予防は蚊の活動期間内だけ薬を投与すればいいのではなく、蚊の活動開始1ヵ月後から蚊の活動終了1ヵ月後までが投薬期間です。
蚊の活動期間に対して投薬期間が1ヶ月ずつうしろにずれるのは、
フィラリア予防薬は実は〝予防〟ではなく、感染後に対処する〝駆虫〟だからです。
つまり、蚊に刺されて感染幼虫が犬の体内に入ってしまってから、その1ヵ月後に薬を与えてまとめて感染幼虫を殺すのが目的です。
ですから、寒い季節になって蚊の活動終了時期を迎えたら、蚊がいなくなったと思われる日の1ヵ月後に確実に最終の駆虫をし、そのシーズンの投薬は終わりということになります。

 

よって投薬期間は6月頭~12月になります。

月始に投薬する場合は6月~12月。

月末に投薬する場合は5月~12月。

 

当院ではわかりやすく5月~12月案内しております。

 

 

「もういいだろう」と思って最後の投薬をせずフィラリアになってしまう事が多いのです。
最後の投薬をきちんとしなければそのシーズンの投薬
がすべて無駄になります。
シーズン最後の投薬がいちばん大切です。

冬、もう蚊はいないと思っても家具の裏などで生き延びている蚊がいます。
現代は冬季でも室温が14度以上ある場合が多くなりました。
冬だから蚊はいない・刺さないとはいいきれなくなってきました。
蚊が吸血活動をする14度を目安にして蚊の活動に注意をし、確実なフィラリア予防をすることが大切です。


フィラリア予防薬は年間投薬が推奨されています。

 

【もしもフィラリアにかかってしまったら】
フィラリアの治療には大きく分けて3つの選択肢があります。

 

 

■手術で成虫を取り出す方法


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■薬で幼虫と成虫を全滅させる方法


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■薬で幼虫だけを殺して成虫はそのままにする方法


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どの方法を選ぶかは症状の程度と犬の年齢・体力などから総合的に判断します。

 

手術で成虫を取り出す場合は、犬に全身麻酔をかけ、喉のところを切開して血管内に管を挿入します。
管の先は物をつまめるようになっています。
それを成虫のいるところまでゆっくり進めて成虫をつまみ出します。
無事に成虫を取り出せたあとは通常のフィラリア予防薬によって幼虫を駆虫します。

 

 

薬によって幼虫と成虫を全滅させる治療と、幼虫だけ駆虫する治療は、薬剤による犬への負担と、駆虫によって死んだ虫が血管に詰まる恐れがあります。
今現在まだ比較的、体力のある犬にこの治療法を選択します。
駆虫後は安静にし、急性の血流不全を起こさせないように気をつけます。
体調回復後は通常のフィラリア予防薬を投与します。

 

 

 

【猫のフィラリア症 】
これまで猫はフィラリアの通常の宿主にはならないと考えられてきました。
この理由は、診断法が難しく、発見が困難なためです。
しかし、最近の研究では、猫のフィラリア症は、これまで考えられてきた以上に拡がっているとの報告が増えています。
犬のフィラリア感染率が高い地域では、猫の感染率も高くなります。
猫のフィラリア症は、最初ブラジルで1921年に報告があり、認知度が高まると共に、世界各国で報告されています。
猫のフィラリア症の症状は、発症後急速に衰弱し死に至るため、死因不明の急性死として診断されることが多く、実際の感染率は数字以上と見られています。
猫の場合、フィラリア症の特徴的な症状はなく、検査でも猫の場合検出不能のことが多く、生前の原因特定が難しい病気の1つです。
(このため、元気だった猫の、心臓病等の原因でもあるといわれています。) 

現在は猫用のフィラリア予防薬もあります。


猫ちゃんのフィラリア予防も推奨されています。